第23話 人形使いの館へ


山の上の別荘のようなところに人形使いは住んでいるらしい。

何かいかにもな場所である。

やっぱ、地下室とかあるんだろうか。


ちなみに、移動には後藤さんの乗ってきていたバイクにニケツで乗っている。

ガチムチなおっさんに抱きつく、フツメンのおっさん。

非常に嫌な構図である。


そして、後藤さんの持ってきていた荷物は空間収納に入れてある。

それにしても、バックが滅茶苦茶重かった・・・あれを軽々と背負っているこのおっさんも凄いが、何が中に入っているんだ?


しかし、この後藤さんの乗っているバイクは大型の国産メーカーのヤマダ CBRR1000RRだ。

190cmもあると大型のバイクも小さく見えてしまう。

そして、その後ろに乗るおっさんは、まるでツーリングに連れて行って貰っている子供のような感じだ。


まあ、それはいいとして、人形使いの住む家の山の麓までやってきた。


「着きましたね」


「そうだな。じゃあ、作戦通り一丁やりますかっ!」


「ええ」


作戦は単純、私が制服能力で正面突破。

後藤さんが裏から回り込み、人形を私が引き付けている間に人形使いを取り押さえて作戦完了。

上手く行けばいいけども。


空間収納より後藤さんのバックを取り出す。

重っ!!


「後藤さん、とりあえずどうぞ」


「いやー、その能力も凄くいいなー。っていうか、3つも能力貰えるなんて羨ましいな!」


「確かにこの収納だけは非常に便利なんですよね。それにしても、後藤さんそのバック何が入ってるんですか?」


「これかい? まあ、秘密の仕事道具だな!」


「なんですかそれ」


「さてっ!じゃあ、そろそろ行きますかっ。 よういっちゃんも気をつけてなっ!」


そう言って、森の中に颯爽と入っていく後藤さん。

何気に身のこなし軽いな・・・何かスポーツでもやっているんだろうか?


さて、私も一丁頑張ってみるか・・・変身!


そして、いつもの迷彩服に一瞬で着替える。

今回は前回と違う点が。

武器は自宅の物置から掘り起こした電動ガン。

H&K MP5 A4 フルオートのサブマシンガンだ。

固定ストックが付いている割には取り回しが非常に良く使い勝手が良い。

サバゲ時代からの愛用品だったりする。

そして、腰のホルスターにはサブウェポンとしてハイキャパ。

タクティカルベストの背中にはベネリM3を背負っている。

ベネリM3は建物内のドア破りに使えないかと思って装備してみた。


まあ、格好だけなら特殊部隊っぽいけども。

私の中ではフルアーマー山本洋一と思っている。


うん、それはいい。


装備が微妙に重いが、制服能力のおかげか身は軽い。

今なら猛ダッシュで一気に頂上まで走れる自信がある。


まあ、それは念のため警戒も含めて歩いて行くが・・・


しばらく歩くと、山の途中にも関わらず鉄の柵状の門があった。

そして、その両サイドには人・・・なのか?


いや、まるで人形だな。


近付くと・・・


「オマチシテオリマシタ」


喋った・・・何か生気の無い顔出し、片言だし怖い・・・。

でも、顔は本当に美人さんだな。

これは、やっぱ元は人なのか?


「ゴシュジンサマガオマチシテオリマス。ドウゾナカヘ・・・」


何か案内されたというか、待ち構えられてる・・・。

だが、ここは素直に従うか。


だが、この人形・・・確かにゾンビというかゆっくり歩いていく。

非常にイライラするが・・・ここは平常心平常心。


どうにか時間を掛けて、頂上の館に付いた。

まさに洋館という言葉がピッタリの建物だ。

メイドや執事が出てきそうだ・・・まあ、出てきたのは人形ですけどね。


そして、扉がゆっくりと開く。


これまたゆっくりのっそりと動く美人な顔立ちをした人形?が二人で扉を開けていた。


最初に連れてきた人形がゆっくりこっちを向いた。


「サア、ナカヘドウゾ」


怖い・・・。

そして、これ思いっきり罠じゃないのか?

手に持つMP5を構えゆっくりと中に入っていく。


中は如何にもな洋館仕様。

広い玄関に中央には大きな階段。

吹き抜けで2階はぐるりと1階を囲むように廊下があり、それぞれ1階も2階も各部屋用の扉が幾つもある。

何部屋あるのかね。この家は。


てっきり、階段の上の方から館の主が待っていたぞ!と名乗り現れるかもと思っていたが、それは無かった。


「ショウショウ、オマチクダサイ・・・」


このまま待てってか。

警戒しながら、そのまま待つこと数分・・・。


2階の奥のドアが開き、こちらへ歩いてくる男性が現れた。

髪は長めで色白の痩せた男だった。

年は・・・私より若いのか?

そして、目が合う。


「なんだ、後藤じゃなかったのか」


第一声がこれだった。

やはり後藤さんを知っているのか・・・


「まあ、いい・・・能力者狩りだろ?」


「そうだ」


「やっと来たか・・・」


やっと?まるで待っていたかのような発言だ。

どういう意味だ?


「不思議そうだな」


「ああ、まるで待ってたようじゃないか」


「ああ、待っていたさ」


「どういう事だ」


「こういう事だ」


突然全てのドアが開き、ゆっくりと人形達が入ってくる。

かなり怖い。


「どうだ? 僕の傑作達は・・・」


「中々の趣味だね。でも、趣味趣向が私と違うから理解はし難いが・・・」


「そうか・・・」


「そして、これも元は人間なのか?」


「まさか、この子達は僕が自ら作った最高傑作だ・・・所詮ベースが人ではバランスも悪ければ使い勝手もな・・・」


「待て・・・じゃあ、人だった人形はどうしたんだ!」


「んー、最初の頃は壊したり、作り変えたりしていたけども・・・後は納得行かなくてB級品として取っているよ」


「何・・・壊したって・・・」


「人形だからね。造形が悪ければ作り直す。造形の世界では当たり前でしょ。失敗しちゃったり、納得いかないと壊しちゃったのは・・・まあ、しょうがないよね」


「こいつ・・・」


中々のイカレた野郎のようだった。

そして、じわじわと近付く取り巻きの人形達。


こいつの話だと、取り巻きは人間では無いらしい。

なら遠慮はいらないな。


「お前さんの大事な人形壊しちまうけど悪く思うなよ」


そして、MP5を構えまずは横から迫る人形へ銃口を向け引き金を引く。

狙いは頭か。


ダダダダダッ!!


弾は所詮BB弾だが、能力により強化され威力は実銃相当になる。

しかも、今回は以前入れていた弾2.0gから0.25gと重さが若干あるタイプに代えたせいか以前よりも威力が上がっている。


人形の顔面には当たるたびに顔が削られ首無しになった。

しかし・・・


首が無い状態でも歩いてくる・・・怖すぎだろう!!


「ほほぅ・・・最初は実銃かと思ったがエアーガンか・・・だが本物の銃のような威力・・・これがお前の能力か」


「さあてね。人形壊して怒るかと思ったが意外と冷静だな」


「それは幾らでも作れるからな」


「・・・」


とりあえず、迫り来る人形に打ち続ける。

頭がダメなら足。

胴体で破壊。


実銃なら等の昔に弾切れだが、これは電動ガン。

多弾数マガジンで1回のマガジンでも250発入る。

おまけに、予備マガジンも200連マガジンが後6本はある。

サバゲ装備なめんな!

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