第49話 海へ
「よう!よういっちゃん!」
相変わらずなガチムチ髭ずらでむさ苦しい感じがするおっさんである後藤さんが、既にいつもの喫茶店で座って待っていた。
「待ちました?」
「いや、さっき着いたばっかりだ」
そして、私も向かい側に座る。
後藤さんは時折、窓の外を見て机の上に置いている手をグニグニと揉んでいる。
ああ、能力使いまくっているな。
今はお尻なのか、おっぱいなのか・・・
「今はどっちですか?」
「おっぱい」
真顔で言われる。
「ふぅ・・・まあ、とりあえず本題に入ろうか」
ふぅ・・・って何だ!?何してるんだ!?
「さて、今度の能力者だけど・・・う~ん・・・ちょっと何ていうかなぁ・・・」
「どうしたんですか?」
「いやね。意味が分らないんだよ。」
「はぁ」
「女性だけが当然ながら狙われているんだけど・・・腋毛が生えるんだ」
「・・・は?」
「は?だよねぇ・・・」
「俺もさ。最初意味分らなかったんだよ。んで、現地に行って見て見たら確かに生えてた」
「は?」
「急にさ、きゃあぁぁぁと声が聞こえて見て見たら水着着ていた美女の脇から腋毛がもっさりと」
「意味不明ですね」
「ああ、ちなみに個人差はあったよ。もっさりもあればちょろっともあったり・・・」
「そうなんですか・・・」
「おかげで、そのビーチは閑古鳥が鳴いているんだよねぇ・・・」
「まあ、そんな怪奇現象が起これば誰も近付かなくなりますよねぇ・・・」
「これ何の能力者だと思う?」
いや、腋毛を生やす事が出来る能力者だろう。
って何で?って話だよなぁ・・・。
ハゲの呪いが変化してそうなった?
女性に何か恨みがあった?
う~ん、分らない・・・。
「正直、検討付かないですねぇ・・・」
「だよなぁ・・・」
「おまけに、突然生えるから、どこに能力者が居るのか分らないんだよ」
「困りましたね」
「だろ?」
「これって、ゴールドさん案件なんじゃ・・・」
「あー、あの人の能力なら一発なんだがなぁ・・・あの人1ヶ月出張らしい」
鑑定さえあれば一発で能力者も分るんだけど。
無理なのか。
「とりあえず、海で張り込むしかないかと思うんだけど、よういっちゃん何かいい装備無い?」
「装備って・・・」
「ああ、もちろん着るのはさやかな」
「う~ん、そうなると海ならアレしか無いですが着てくれますかね?」
「やっぱアレか」
そう!ついにあの制服というか・・・スクール水着の出番ですっ!!
ひゃっほーい!と言いたいが・・・ギャル子か・・・。
ノーマルバージョンのギャル子なら大歓迎なんだが。
「さやかちゃんには、くれぐれもギャルじゃない格好でお願いします」
「・・・おい」
「スクール水着でギャルってありえなくないですか?」
「う~ん・・・確かに変だな」
「そう言うわけで、条件はそれだけです」
「う~ん・・・難しいと思うけど善処します」
後藤さんマジで考え込んでいる。
そんなに難しいのか!?
「じゃあ、とりあえず明日の朝からD県の海水浴場に行くから駅集合で」
「はい」
「俺が車は出すから」
「おお、了解です」
そして、その日は解散し家へ帰り翌日の準備を行った。
「さてと・・・ついに、これの出番が来たか」
******
K県立商業高等学校 女子 スクール水着
能力
筋力:+3000
体力:+3000
耐性:+4000
敏捷:+2500(水中時+3500)
魔力:+2000
魔耐:+1000
技能:水中呼吸、水中高速移動、水魔法
******
以前、公園で出会った鈴ちゃんに着せようとして拒絶された制服である。
地味に強いのだが今回の能力者相手に、どこまで通用するのか。
というか、能力者の能力が不明なところが痛い。
この能力なら、とりあえず水中なら最強だからそこら辺を有効活用しないとなぁ・・・。
さて、後は問題の私の装備か・・・。
正直、海に電動ガンやらは持っていけない。
何故なら錆びるからだ。
なので、今回は使い捨てでも良いように安いエアーコッキングガンのCZ-75と、ミニ電動ガンAK-47を持っていく事にした。
威力は試してみたら実銃ほどは無いものの意外と威力はあった。
まあ、一気にサバゲ初心者感は出てしまうのと、使い勝手が悪いのが欠点か。
最も、海と言う事もあるし、周りに人も多いから果たして使う機会があるのか疑問だったりする。
何はともあれ、準備しておくに越したことは無いか。
そう色々と考えながら明日に備えて早めに寝ることにした。
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