第59話 ある能力者4
人は僕の事をイケメンだとか、カッコイイとか言ってくれる。
悪い気はしない。
でも、それを前面に出したりは僕自身もしたくない。
だって、性格悪いねとか言われたくないし。
僕は普通に生きたい。
普通の仕事をして、普通の家庭を持って、普通に人生を終えたい。
言うなれば控えめに生きていたいんだ。
何故そう思うのか。
それは僕の家庭が滅茶苦茶だったからだ。
物心付いた時には母は居ない。
父だけだった。
周りの親戚は何故か父に色々とタカリに来る。
まだ幼い僕にひどい暴言を吐く親戚も居た。
家に居たくなかった。
だから、いつも学校以外は家の部屋の中に閉じ篭っていた。
学校では人気者。
家ではただひたすら部屋の中で嵐が過ぎ去るのを待つのみ・・・何も出来ない何者にもなれない自分が居た。
いつからか普通に生きたい。
普通に生活したいと思うようになった。
高校、大学に入り家庭も落ち着いてきた。
父も前よりは元気になっていた。
その頃には、もう親戚と呼べる人間は周りには何故か居なくなっていた。
父が頑張ったのだろう。
父には感謝している。
一人で僕を育ててくれた事を。
守ってくれていた事も。
だがいつからだろうか、母が居ないという事が心の中にぽっかりと空いたようなむなしい感覚を覚えるようになったのは・・・。
いつまでたっても埋まらないこの感情。
そんなある日の事だった。
高校の先輩からあるDVDを借りた。
タイトルは
「人妻母乳遊戯5」
最初は意味が分らなかった。
僕も年相応に性には興味はある。
だがいきなり先輩は何故こんなディープなDVDを貸してきたのだろう。
熟女にも人妻にも興味は無い。
ましてや、赤ちゃんが飲む母乳だなんて意味が分らなかった。
だが、若さゆえかDVDを再生した。
しばらくは普通のインタビューから始まり、体をまさぐりはじめるところから始まる。
その途中・・・衝撃を受けた。
乳房から飛び出る母乳・・・そして、それを舐め飲む男優。
普通ではありえない光景に僕は雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
そして、後半では母乳が出る女優4人が男優に母乳をぶっかけるシーンには戦慄を覚えた。
こんな世界があったなんて・・・
それから、僕は密かに母乳系のビデオばかりをかき集めた。
そして、見入ってしまい毎日目の下に隈が出来る日々だった。
社会人になった現在も、前ほどでは無いがネットとかでも母乳カテゴリで検索し新作をチェックしている。
母乳でなければ反応しない自分も居た。
そんなある日の事だった。
******
件名:おめでとう
本文:キミに能力を与えよう。
キミは・・・母乳フェチか。
その気持ちが本物なのを見込んで以下の能力を与えよう。
キミが対象とする母乳の出る女性を操る事が出来る能力を与えよう。
中々破格な能力だね。
さあ、これでキミの欲望を満たすといい。
ああ、先に行っておくけど副作用とか一切無いからね。
じゃあ、このメールは自動的に破棄させて貰うよ。
******
いきなり目の前に現れた文章。
意味が分らなかった。
能力・・・母乳の出る女性を操れるか・・・本当だったらビデオのようなプレイが出来るのか。
夢のような話だな。
そう思って、その時は話を流していた。
ある日の仕事中の事だった。
「坂田君 この書類を総務の加藤さんのところに持っていってくれる?」
「分りました」
「あー、そうそう、加藤さん産休明けで仕事立て込んでるだろうから、居なかったら机の上に置いて置くだけでもいいよー」
「分りました。山本係長」
そう上司に言われて、加藤さんのところに書類を持っていった。
産休明けか・・・母乳も良く出る時期だしぱっつんぱっつんに張っているんだろうなぁ・・・。
と思わず想像してしまった。
総務に到着すると誰も居なかった。
あれ?皆どこに行ったんだろう。
すると給湯室から物音が聞こえた。
誰か居るみたいだ。
「すみませーん」
「はーい、あっ、ちょっと待ってて下さいね」
これは確か加藤さんの声だったはず。
何をしているのかな?
と覗き込もうとすると、慌てて出てくる加藤さん。
何だろう、胸元のボタンがズレているような。
「あれ?業務の坂田君じゃない。どうしたの?」
「いえ、山本係長から加藤さんに書類を渡すように頼まれて」
「あー、あの書類かぁ・・・急ぎって言ってなかった?」
「いえ、言われてないですよ。」
「そっかー良かったぁー」
「それにしても、総務の皆さんどこに行ったんですか?」
「あー、社長の気まぐれの食事会」
「なるほど」
この会社は社長が気まぐれで、部署毎に突然食事会を行ったりする。
今日は総務だったのか。
「でも、加藤さんは行かなかったんですか?」
「うーん、仕事溜まっているのもあるし、後は色々とねぇー」
「色々?」
「ええ、産休明けでねちょっと胸とか苦しいし、ちょっとお堅い場所で長時間はきつくてねぇ・・・」
ああ、女性は色々とあるみたいだもんな。
それにしても、胸元が気になるな。
「なるほどー、ちなみに加藤さんボタンなんかズレてますよ」
「あらやだ。ホントだわー。変なところみられちゃった」
そう言って、いそいそとボタンを直す加藤さん。
「いえいえ、僕の方こそこんなところで言っちゃってすみません」
「もう、イケメンの坂田君にだらしないところみられちゃったわー」
「何言ってるんですか」
「あのね。ちょうどさっきまで人が居なかったから、実は給湯室で胸絞ってたのよ」
・・・なんだって!?
あれか、授乳中の人はマメに絞らないといけない人も多いらしいからな。
もったいないな。僕が代わりに飲むのに。
「何かもったいないですね」
「あはは、そうよねー。けど保存するにも余るくらい量が出るから、何なら坂田君飲む?あはは」
「おおー、じゃあ飲ませて下さいよーー」
と笑いながら言った瞬間だった。
一瞬の事だったが、加藤さんの目がボワッと青く光った気がした。
そして・・・
「はい、どうぞ飲んで」
いきなり加藤さんが胸元のボタンを外し始める。
「えっ、ちょっと加藤さん?? 何やってるんですか!!」
そうして、Eカップはあるだろうか大きめの胸がボロンと開放される。
「さあ、飲んでいいですよ」
目の前に出された胸。
先端は母乳を出した後か、テカっていて妖しさといやらしさがある。
その瞬間理性が吹き飛んだ。
「じょ、冗談だったなんて言わないで下さいよ!!」
そう言って、目の前の乳にむしゃぶりついた。
本物の母乳。
味は薄くて、甘みがあるような無いような・・・だが何だろうこの満たされていく気持ちは・・・。
そのまましばしの時間ゴクゴクと飲み干していた。
時間も忘れるくらい飲んでいた。
しばらくすると足音や人の声が聞こえてきた。
マズイっ!!
「加藤さん!!給湯室に戻って服を戻して!!」
「はい・・・」
僕も急いで身を整える。
ハンカチで口元を拭った。
「あれー? 業務の坂田くんだーー」
「おう坂田何やってるの?」
総務の人達が戻ってきた。
危なかった・・・。
「いえ、加藤さんに書類を持ってきたところで・・・」
「そうかー」
そうして、急いで自分の部署に戻ったが心臓はバクバクと動いていた。
さっきのアレは何だったんだ?
加藤さんが・・・いきなり僕の命令に従っていた・・・これはもしかしてこの前の変な文章の能力?
本当にこんな事がありえるのか?
でも、僕は確かにあの時加藤さんの母乳を飲んでいた。
今でも口の中の残るミルク感・・・そしておっぱいの感触。
唇に残る乳首の感覚・・・。
これは夢じゃない・・・現実だ。
その日から僕の日常は変わってしまった。
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