第30話 制服の有効活用
家に帰り着いて色々と思案した。
眼鏡の能力者を捕まえる能力か・・・。
まあ、街中という事もあるし、余り目立つような事もしたくない。
それと、どうしてもここは制服マニアとしての矜持と言うべきか・・・どうせならば、あのギャル子こと、さやかちゃんに似合う制服を選びたい。
ふむ・・・やはりOL系がいいがやっぱり能力的に戦闘向きじゃない。
でも、ギャルOLも捨てがたい。
アニメ系か・・・いや、街中でそれは逆に目立ってしまう。
メイド服か?ギャルメイドも居ないこともない。
でも、悪質なメイド喫茶の客引きのように思われてしまうかもしれない。
そうなると、JKと言うだけあるから女子高生の制服か・・・しかし、清楚系を求める私の趣向と違い過ぎる。
ギャルか・・・
遠い目で部屋のコレクションを見つめながらふと思いつた。
そういえば、昔オークションであんまり見かけないと思って落とした制服が・・・
お、あったあった。
*****
D県立工業高等学校 女子夏制服
能力
筋力:+1500
体力:+1500
耐性:+1000
敏捷:+1000
魔力:+1500
魔耐:+1000
技能:雷魔法
*****
そうそう、これこれ。
ここって、女子少ないんだよね。
工業高校だし。
そして、私の学生時代なんかはヤンキーが多かった。
ガラが悪いと言うかなんというか。
制服は極めてシンプル。
黒のボックススカートに、白のワイシャツ。
リボンも何も無い。
飾り気のかけらも無い。
何故ここの制服は拘らないのか!?
と小一時間ほど説教したくなるくらいシンプルだったりする。
何かこう、折角の制服なのだからもっと拘って欲しいという思いがどうしても出てしまう。
まあ、それはともかく、そういったヤンキーが多いイメージなせいか、ギャル子ことさやかちゃんでもピッタリなイメージになってしまったのだ。偏見かもしれないが。
そして、何より技能に付いている雷魔法。
私の着ていた迷彩服だとガスバーナー程度だったけど、倍の魔力値のあるこれなら・・・と思うものの、実際に使ってみないと分らないか。
ただ、私の評価も元々低かったせいか、能力値がやや低い気がする。
それでも私の迷彩服の倍の能力はあるけども。
これなら大丈夫だろう。
そんなわけで、この制服に決めて明日の準備を完了した。
翌日、朝から集合場所に向かう。
いつもの駅の噴水前。
既に後藤さんとさやかちゃんが待っていた。
デカイガチムチのおっさんとギャル。
異色の組み合わせだ。
「よういっちゃ~ん!おはよー!」
と元気よく挨拶してくるさやかちゃん。
見た目はアレだけど、性格はいいんだよなぁ。
「よういっちゃん!おはよう!」
そして、朝から元気のいい後藤さん。
さわやかさ+ガチムチ加減である。
「おはようございます」
「じゃあ、揃った事だし、いつもの喫茶店にでも行くか!」
そして、喫茶店へ向かう3人。
到着し、後藤さんとさやかちゃん。
向側に私一人と座る。
「で、よういっちゃん。何かいいのあったかい?」
「ええ、これです」
アタッシュケースを取り出して開いてみせる。
中から綺麗に畳んで入れられた制服。
「えー、これD工の制服じゃん!」
「そうそう。やっぱ現役のJKは分るかー」
「これどうしたの?」
「え・・・そりゃ、オークションとかで落札して・・・」
「うわ、キモ」
頭の中にガーーーンという音が鳴る。
やっぱりキモイ言われた。
いやさ、分っているけどさ。
なんだろうやっぱり悲しい・・・。
「いやいや、よういっちゃ~ん!冗談だって!そんな泣きそうな顔にならないでよ!」
「おいおい、さやか・・・よういっちゃんいじめるなよ」
「ごめーん、マジで冗談だからさーゆるして~」
と手を合わせて謝ってくるギャル子。
まあ、私も大人だ。
ここは落ち着いて大人の対応をっと。
「ははは、大丈夫ですよー。自分でもキモイの理解してますし」
「いや、そう自分を卑下しなくても・・・」
「うん、ごめんね。よういっちゃん。マジで悪かったし」
「ま、まあ、話を戻しましょう。今回のこの制服ですけど、基本的な身体能力向上と雷魔法が付いています」
「えっ!?魔法!?」
「魔法!!!」
二人とも魔法にかなり驚いている。
まあ、いきなりこの現代&現実に魔法だしね。
「あー、何か私の能力で制服によっては魔法が付与されるんですよ。まあ、どの程度かは私は自分じゃ女子制服なんて着れないんで分らないんですがねぇ・・・」
「へー、すごいじゃん! ちょっと着てみたくなったかも!」
「やっぱ、よういっちゃんの能力面白いなぁー。じゃあ、早速試してみるか! さやか着替えてこい!」
「ラジャ!」
アタッシュケースごと颯爽と持っていき着替えにいった。
喫茶店のトイレで着替えてくるそうだけど、何かいきなり制服になって出てくるとお店の人怪しいと思うんじゃ・・・。
そして、しばらくして、さやかちゃんが戻ってきた。
「ほらっ!兄貴―、よういっちゃんーどう?似合う~??」
と何か良く分らないポーズを決めているさやかちゃん。
正直、ただのギャルだ。
そして、制服が地味だ。
「うん、地味だな」
「地味ですね」
「なっ!? 私が着ているのに地味とかーー!! って、まあ、確かにここの制服地味だけどねぇー」
「でも、これ着てると体が凄く軽いよ! あとなんか力がみなぎって来る気がする!!」
そう言って、何か拳を握り構えたりポーズをとったりする。
「さて、二人とも。とりあえず、雷魔法の威力が分らないんで、どっか外で試しましょう」
「ああ、そうだね」
「だねー」
そして、喫茶店を出てとりあえず河原に向かった。
人も回りに居なさそうな場所だったので丁度いいかと思った。
「さてっ、じゃあ、一丁やってみますかっ! はっ!!」
手をかざしてポーズを決めるさやかちゃん。
でも、何も出ない。
「あ?あれ? はっ!はっ!」
何か頑張っているようだけど出ない。
何か見ていて痛い子にしか見えない。
ギャルだけど。
「出ないけど・・・? もしかして、魔法とかって騙した!?」
「いやいや、それは無いと思う・・・う~ん、例えばサンダー!とか言って、雷を飛ばすイメージでやってみたらどうかな?」
「う~ん、何か恥ずかしいなぁ・・・」
そして、構えて手を突き出す。
「サンダー!」
ジジジジジジジッ!!!
と音が鳴り、一直線に細い稲妻ような物が飛んでいった。
そして、川の水面に当たった瞬間。
ボンッ!と音が鳴り煙が上がった。
「うわーー!何これーー!?」
「これはすげぇな!よういっちゃん!!」
「おー、出ましたね」
「ねぇ、でもこれ人殺しちゃうんじゃない?」
そうさやかちゃんに突っ込まれた。
うん、確かにこれじゃ即死、黒こげになってしまうと思う。
ここは・・・
「よし!特訓だ!!」
「えぇぇぇぇ・・・」
非常に嫌そうな声を上げるギャル子。
「いや、ここは頑張って貰おう!」
無慈悲なガチムチ兄貴。
そして、昼前までに何とか無詠唱でスタンガンレベルの電撃が出せるようになったギャル子ことさやかちゃんでした。
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