第20話 夢の中で
暗闇の中で1時間は待っただろうか、送電トラブルだったようで復旧し走り出した。
乗務員のお姉ちゃんがライトを返しに来てくれた。
凄く丁寧に御礼を言ってくれてこっちも嬉しい気分になった。
何か単純な事だけど自分の能力が役に立つのは嬉しい。
ちなみに御礼と言って、乗務員のお姉ちゃんがアイスをタダでくれた。
ビールと弁当が欲しかったのだけど、お姉ちゃんは颯爽と去っていった。
まあ、また来てくれた時に買えば良いか。
そう思って、何気に突然のトラブルで気が張っていたのか疲れたので一眠りする事にした。
「ほっほっほ・・・お久しぶりです山本洋一さま」
「えっ!? あの時の執事のおじさん!!」
「はい、そうです。能力は上手く使ってらっしゃいますね」
「え、いや・・・う~ん、使えているのかな??」
「ええ、人助けなさっているじゃないですか。とても素晴らしい事ですよ」
「まあ、成り行きというか何と言うかという感じですが・・・」
「いえいえ、助けるという行動が大事なんですよ」
「はぁ・・・」
また、夢の中に現れた執事のおじさん・・・この人は一体何者なのか。
「私は、まあ・・・あなた達人類から見ると神みたいなものですよ」
えっ!?神!?? って・・・
「なので、思考しているのも聞こえるのですよ」
えっ!?マジですか!?
「マジなのです・・・ほっほっほ」
「いや、あのー、何ていうか数々の無礼をすみません・・・」
「いやいや、山本洋一さまは全然無礼も何も無いですよ。そのままでいいのですよ」
「はぁ・・・」
それにしても、いきなり神様が何のようなのだろう??
「ええ、そうですよね。いきなり何事かと思われますよね」
ああ、そうだった思考も読まれているんだった。
「気にしないで下さい」
はい。
「実はですね。山本洋一さまに協力して頂きたいことがあるのですよ」
協力ですか?
「ええ、ご存知の通り人類の皆様に毎年一人づつ能力を配布しているんですが、こちらも勿論人間性も考えて能力を配布しているんですよ。」
はあ。
「ですが、能力を配布した後に性格が変わってしまう人が居てですねぇ・・・」
ああ・・・ありそうですね。
これで俺は誰にも負けない!!とか。
欲望のままに動く人も居そうですね。
「ご理解早くて助かります。まさにその通りなのです」
まあ、私の場合は小心者なので暴走は無いと思いますが・・・
「はい、今回は3つも能力を与えるとなっていたので、かなり該当者は絞っていたので大丈夫だとは思っていました」
そうなんですか・・・
「話がズレましたが山本洋一さまの能力を持って、暴走した能力者を止めて頂きたいのです」
えっ!?
「勿論、タダとは言いませんし協力者も付けます」
ええっ!?
「詳しい話はメールで送りますので」
ええええっ!?
「それでは、山本洋一さま宜しくお願い致します」
えっ、ちょっと!!ちょっと!!
一方的過ぎませんか!?
おーーーい!!
そして、気が付くと電車の中で目が覚めたのだった・・・。
そして、右下にはメールアイコンが・・・開きたく無い。
******
「ほっほっほ・・・ちょっと強引だったようですが、とりあえず何とかなりますかね」
「いや、ちょっと酷くないですか??」
「ですが、あれだけ能力を持っているので、能力者の義務は果たして頂かないと・・・。それに、それ相応のご褒美は渡していますし」
「まあ、そうですけど。ただ、今回は査定が厳しくないですか?性格が違う意味で難有りですよ。戦えるんですか?」
「ほっほっほ・・・こればかりは頑張っていただくしか・・・」
「・・・心配だ」
「まあ、我々が干渉出来るのは、ここまでですから」
「それはそうですけど」
「信じるしか無いのですよ。我々天界の為にも、地球の為にも」
「・・・そう、ですね」
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