第24話 人形使い


ダダダッ! ダダダッ!


と延々と発砲音がし、その度に人形が破壊されていく。

足が破壊され、そのまま倒れこみ腕だけど匍匐前進で近付く人形は腕を狙い動けなくする。

そのままその場でジタバタと、まるでひっくり返ったカブトムシのような動きをしている。

正直気持ち悪い。


「ふむ、あれは美しくないな」


と人形使いが呟き、壊れた人形に手を向けるとボワッと人形が光、その後動きが停止し崩れていく。


「何をやった!?」


「もはや役目を終えた人形を終わらせただけだ・・・」


「余裕だな!!」


何がやりたいのかイマイチ分らないが、これは幸い。

そして人形達の動きは遅い。

近付く前に排除可能だが終わりが無い。


やはり、ここは人形使い本人を狙うしかないか。

だが、その周りには取り巻きのように囲む人形が居た。

そして、見えているのは頭部だけ・・・これでは殺してしまう。


「こうやっているのもつまらないな・・・飽きてくる」


そう言う人形使い。

こっちは必死だってのに余裕な様子がかなり頭にくる。

しばらく破壊を続ける・・・


「ふぅ・・・これでフロアに居るのは取り巻きだけのようだな」


「思った以上に時間が掛かったようだな」


「うるせぇ!」


ダダッダダダッ!!


銃を取り巻きの人形めがけて狙い撃つ。

両サイドの人形が砕け、倒れ後は正面の2体のみ。


「これまでのようだな」


「いや、むしろここからだよ。」


「何?」


そう言うと、別の扉からギィーと音がなり1体の人形が現れる。

だが他の人形と明らかに動きが違う。

まるで人のように滑らかな動きだ。


「どうだい?私が能力を手に入れて研究し、最初の頃に作った人形だ・・・動きは人間に近い・・・だがフォルムが納得いかないけどね」


確かに顔は人間に近い。

だが他の人形と違うのは・・・


球体関節になっている。


人形らしいと言えば人形らしい。


「私の能力も難しいものでね。人のフォルムを追求すると動きが悪い。球体関節だと何故かスムーズに動く。何故だろうね?人間に近付けようにも近付かない・・・」


「まあ、能力が中々思うように行かないのは同意だ」


「だろう? だから、人を人間に変えてみたんだが・・・今度は何故か動かなくなったんだよ」


「そうなのか」


「ああ、だから・・・


 

 中をバラして球体関節に変えたり、色んな部位を繰り抜いたり、改造を施したんだがどうにも上手く行かない」


「お前・・・」


「つまらない能力だろう?」


「その人間はどうなった」


「ああ、改造するとね。どうも死んじゃうみたい。まあ、元は人間だしね。それ以前に僕の能力じゃ人に戻せないみたいだし。良くわかんないや」


「・・・お前は人の命を何だと思ってるんだ」


「人の命の価値って、それこそ何基準で決めるの? もう話はこれくらいでいいよ。さあ、最後の勝負を始めようじゃないか」


と人形使いが言った瞬間。

球体関節の人形が動き出した。


と言うよりも走り出した。 速いっ!


一気に近寄ってくる人形。


こっちもMP5を構え射撃体勢に入る。

ダダダッ!!

と人形の頭部を狙い撃ったが、首を右にグィンと動かし銃弾をかわす。


そして、そのまま飛び込んで来て、右手で手刀を作り右下から振り上げる。


「マズいっ!!」


私も慌てて、体を反り攻撃をかわす。

しかし、手で持っていたMP5にガキンと音が鳴り、そのままMP5は中央より切断された。


ガチャ、ガランガランと折れたMP5が転がり落ちる音が響く。


そのまま手刀を振り上げたポーズで固まる人形。


体を反り、そのままバックステップで後方に下がる私。


「なんつー攻撃力だ。プラスチックとは言えスパッと切り落とすとは・・・」


「凄いでしょ? 戦う事に関しては最高傑作だよね。けど、僕はそういうの求めて無いんだけど」


「まあ、まだまだこれからだよ」


背中からベネリを引き抜き、ガチャンとスライドを引き弾を入れる。

とりあえず、人形の足元を狙わせて貰う!


バンッ!!


と足元を狙うが、咄嗟に人形は横に飛び避ける。


私も再度装填し撃ちまくる。


ガシャン!バンッ! ガシャン! バンッ!


くそっ、全然あたらねぇ。

そして、飛び跳ねながら段々と距離を詰めてくる人形。

これじゃあ、こっちがマズイ状況になるな。


ん、待てよ・・・わざわざコイツと戦う必要があるのか?


ガシャン! 


と装填し、私は人形使いの方を狙う。


バンッ!!


と撃った瞬間、人形は跳躍し弾に当たりに行った。

左肩から下がごっそりと飛び散る。


「あっ! お前っ!!」


ははは、そうか。

やっぱ、ご主人様は守ろうとするよな!


ガシャン! バンッ!  ガシャン! バンッ!!


人形の足を打ち抜き、崩れ倒れる人形。

意外とあっさりと終わってしまった。

卑怯とか言わないでね。



「さあ、これでもう終わりかな」


「ちっ、卑怯者め・・・」


「いや、命狙いに来ているのに卑怯も何も無いでしょ」


「まあ、いい。 じゃあ、次の人形を・・・」



パンッ!!



銃声? 私じゃ無いんだが・・・


「そろそろ遊びは終わりにしようや、田中ちゃんよ」


「後藤か・・・」


二階から後藤さんが現れる。

っていうか、あれは本物の銃・・・しかも何故にH&KのUSP・・・。


そんな左肩に大きなバックを背負い、右手でハンドガンを持ち狙い歩いてくる。


「もう詰んでいると思うけどよ」


「そうだな。お前が来るって事はそういう事何だな」


「じゃあ、田中ちゃんよ人形はもう解除しな」


「ゲームオーバーか・・・」


そう言って、護衛に付いていた2体の人形が崩れ落ちた。


それにしても、人形使いは田中って言うのか。


「よういっちゃ~ん、能力回収カード出して」


「あ、はい」


空間収納から出す。


「投げていいよー」


「はい、どうぞ」


ナイスキャッチな後藤さん。

そして、カードを見つめて急に真剣な表情になる。



「よういっちゃん・・・。 カードこれで間違い無いんだな」



「え? はい・・・そうですが」



「赤・・・か」

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