第62話 駐車場での戦い
ホテルの廊下を駆けて行く。
まだ、十分間に合うはずだ。
だがふと思った。
念のためにとスマホを取り出して電話を掛けた。
「もしもし、山本君かい。どうしたんだ?」
「ゴールドさん大変です!Mが現われました。しかも、私の部下で・・・能力者を連れ去って・・・」
「なっ、Mだと!? 山本君やつには今は近付くな!」
急に大声で言われる。
ちょっと驚いた。
「えっ、どうしたんですか?」
「やつは・・・以前よりも能力が増えて強化されている・・・あの時・・・やっぱ伝えておくべきだったか」
能力が増えている?
どういう事だ・・・いや、けど今は坂田君を!!
「でも、ゴールドさん今は私はやつを追いかけます。そして、部下を・・・坂田君を連れ戻します!」
電話の向こうでゴールドさんのため息が聞こえた。
「はぁ・・・止めても無駄のようだな。分った・・・やつの目だけは見るなよ」
「目ですか・・・」
「今のあいつには『征服』という能力が付いている。半径5m以内の人間で目を2秒以上合わせると発動する。
そうなると、やつに完全に掌握される。
完全な操り人形の出来上がりってわけだ。しかも、無期限でな」
征服・・・私とは違う「せいふく」なんだな。
でも、無期限って・・・どうなるんだ?
「そこで、以前話をした『封印』だ。これを使えばやつの能力も封印出来るし、征服で完全掌握された意識も封印する事が出来る。
かなり万能な能力だったんだが・・・間に合わなかったな・・・」
そうだったのか・・・だからあの時調べていたのか。
「何にしても、気をつけるんだ。
俺も直ぐに駆けつけるが・・・場所はどこだ?」
「C市の歓楽街のホテルですが・・・」
「おおっ!!だったら15分で行ける。幸い、楓も一緒だ。無茶はするなよ!だが何かあったら俺が全部ケツを持つからな遠慮せずにやってくれ」
「はい!」
そうして、通話を切った。
しばらく走ると、さっきのフル武装をした連中が見えた。
どうもホテルの駐車場がある方向へ向かっているようだ。
気づかれないように距離を置きつつ追跡する。
すると・・・やはり駐車場が目的地のようだった。
黒のワンボックカーに乗り込もうとしている。
逃がすわけには行かない。
今は迷彩服装備で手にはHK416Dアサルトライフルと、サブウェポンにハイキャパを持っている。
背中にベネリも背負っているが・・・これは邪魔になると思い空間収納に収納した。
相手は犯罪者だ・・・遠慮はしない。
ゴールドさんもケツ持ってくれると言ったし、多少は暴れても大丈夫・・・だろう。
HK416Dを構えて、ワンボックスカーのタイヤを狙う。
ダダダダダッ!!
タイヤに上手く命中し、こちら側を向いていた前後のタイヤは破裂しホイールも損傷した。
これなら動けまい。
その攻撃に反応してか、Mと一緒に現われた黒尽くめのフル装備の5人は二人はMを守るように立ち。
他の一人は坂田君を守る。
残り二人はこちら側に銃を向けて警戒している。
さあ、今日は一切遠慮はしないぞ。
直ぐにドアから身を乗り出して、一人の胴体を打ち抜く。
ダダダッ!!
それと同時に走りこみ、もう一人も狙い撃つ。
ダダダッ!!
二人とも命中し倒れこむ。
次は、牽制でMに打ち込む。
流石に命中はしなかったが、相手は怯んだようだった。
だが、坂田君を守っていた黒尽くめが、私に向かって銃を撃ってきた。
パンパンパンッ!!
幸い、相手の装備はハンドガンのみ。
駐車場にある遮蔽物を上手く使い移動&隠れながら打ち込む。
ダダダダッ!!
ぐあっ!と相手の悲鳴が聞こえた。
致命傷では無いが当たったようだった。
サバゲ時代はアタッカーメインだったが、こんなに映画の主人公のようにここまで上手く行くとは思わなかった。
正直、脳内はアドレナリン出まくりで心臓はバクバクと打っている。
あと2人・・・。
相手からもパンパンと撃ってくるが、こっちも遠慮なく打ち込む。
しかも、こっちはフルオートだ。
弾幕の厚さが比較にならないくらい厚い。
その内、流れ弾が当たったのかギャッと言う声で、あと一人になったようだ。
今だ!と相手狙い撃ち最後の一人も倒した・・・。
坂田君は頭を抑えて床に伏せて震えている。
Mは・・・そのままこちらを見つめている。
そういえば、Mは攻撃無効能力を持っていたな・・・後は、目を今は合わせちゃダメだったか。
「急な襲撃で誰かと思ったら・・・さっきの男か。 う~ん、それが君の能力って事かい?」
「どうだろうな」
「それおもちゃだろ?おもちゃじゃ人は殺せないよ・・・うん、決めた君も欲しいな」
「断る。私はお前に征服される気は無い」
そう言うと非常に驚いた顔をしてこっちを見てきた。
そして、ニコニコとして手を広げて大げさに言った。
「驚いた。つまり僕の能力まで知っているのか!!それも能力かい??すごいなすごいな!」
「そんな事はどうでもいい。坂田君は返してもらうぞ」
「えー、もうちょっとお話しようよ。あのね。僕はこの世界を全て変えようと思っているんだ。だから君のような優れた能力者は是非とも欲しい・・・ねえ、僕の仲間になってよ。それに・・・僕は君の能力をもっと強化してあげられるんだよ?」
手を出してそう言ってくる。
いちいち演技掛かった物言いをしてうざいな。
そして、何を言っているんだこの男は。
「断る」
「さあ、こっちを見て」
するとMの目がボワッと紫色に光った。
「そうすると、お前の能力に掛かるんだろう?」
「はぁ・・・そこまで知っているのか・・・調査?解読?そういった類のもあるのかな?」
「答えてくれる思うか?」
「そっちこそ・・・大人しく僕が言う事を聞くと思っているのかい?」
そう言った瞬間、懐から銃を取り出して撃ってきた。
パンッ!
幸いな事に目を見ておらず、体や動作に警戒していたおかげで避ける事が出来た。
私も銃を向け発砲する。
ダダダダダダッ!!
だが、やはりMのバリアのような膜に弾は吸収されてしまう。
「おおおおっ!!! いいっ!! いいぞ君!!」
くそっ、また始まったか。
やはり、攻撃は快感に変換されているようだ。
そうして、こちらから攻撃するさなかも銃を遠慮なく撃ってくる。
こっちはかわしながら撃っているのに、相手は言うなれば無敵の固定砲台。
こっちが当たるのは必然だった。
バンッ!!
ぐっ・・・肩に思いっきり当たった。
激痛がする。
こりゃ、骨砕けてるわな。
だが、諦めない・・・徐々に距離を詰めていた私は一気に走りこんだ。
お前の仲間だったSと同じ最後にしてやる!!
「この距離でもお前は無効化出来るのか!!?」
「ん?」
顔には届かなかったが、肩を掴み火魔法を最大出力で発動する。
ゴオオオオオオ!!
轟音と共に手から出る極太のバーナー。
そして、意外にもMの着ている服は燃えたが・・・やはりこれでもダメージは通らないか・・・。
だが、その時だった。
「ひょおおおおおおおおおおおお!!!! しゅしゅごい!!!しゅごいいいいいぃぃぃぃ!!!」
Mが奇声というべきか絶叫を上げた。
「だ、だめええぇぇぇぇぇ・・・・もう、これは・・・・あああああああああああああああ!!! ・・・あっ」
その瞬間、Mはガクっとぐったりと倒れこんだ。
な、何だ!?
私の火魔法の攻撃が・・・通ったのか??
よ、良かった・・・けど、もう・・・俺も・・・意識が・・・・・・・
そのまま私の意識は闇に飲まれ倒れこんでしまった。
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