第23話 聖剣士というか……
……「あの?聞き間違いとかじゃ無いですよね?俺を聖剣の国に連行とか聞こえたんですが?」
「事実だが?というか君の足、潰したはずなのになぜ普通に歩いている?……まさかそれも聖剣の能力なのか?気になるな。すまないがもう一度足をへし折ってもよろしいか?」
「いいわけねぇよ!誰が許可するかよッ!」
「やめんか、ガウェイン卿。せっかく新人の聖剣士を確保出来たのだからそれ以上嫌がらせをするとまた逃げられてしまうぞ」
どうやらこの女の騎士さんは優しいようだ。俺は少しほっとした。
「それはそれとして、私もなぜ足が元通りになっているのか気になるな。うむ、ガウェイン卿少しだけ手加減してへし折りなさい」
ほっとした気分を返して欲しい。
「かしこまりました。シャルル卿。では御心のままに、失礼します──フン!」
ボキっ。足から軽やかな音がした。というかこの人ら躊躇い無さすぎじゃないですかね〜。
まあ俺の足はすぐにルクスの効果で復元されるんですけどね。
ちなみルクスが割と恨めしそうに見ているのだが、俺がストップをかけているので動きはしない。
「……不思議ですね、一瞬聖剣が光ったからおそらく、聖剣の効果だと思いますよ?ガウェイン卿」
「ふむ、そうでしたか。では、失礼しました。改めて君……私たちと共に来い。君の力はどんなものか分からないが、聖剣を手にしたのだ、それ即ち我々の国に赴く義務がある」
「──ガウェイン卿!!……とりあえずそこの君船は乗れるか?」
「は、はい…」
「よし、では行くぞ。着いてこい、そこの女もお前の連れ人だろ?早くついてこい!!」
◇◇◇
全てが強引に進んでいく。まるでこっちの話など聞く気すらないというレベルの、あまりにも雑な感じで俺は船に載せられることとなった。
「ね、ネルラ様の脚をぶっ壊したり、腕を壊したあの男……後で殺しておきますね!」
どうやらルクス的には割とブチギレ案件だったらしい。頭から湯気を出しながら頬を膨らませている。
俺はまあ別に死ぬ訳じゃないし。それにあの人ら敵に回したら厄介そうだからと伝えて、ルクスを落ち着かせた。
「それに俺は君の力を信じてるからね。何よりルクスの力をまじかで感じられてとても今嬉しいんだ」
「ね、ネルラ様がそういうならいいのですが……でも、やっぱり一度ぶっ殺しといた方が……」
ルクスも又、結構気が早いようだ。それでも俺たちを載せた船はすぐに進もうと言う準備を始めていた。
「にしてもこれ、なんで蒸気船なんだ?……あの世界観にこんな船あったっけ?」
俺は首を傾げる。そもそもあのゲーム内に、こんな船はなかったはず。つまりこの船はより高度な技術を用いて─、
「やぁ君が拾ってきたという聖剣士か?ふふ初めまして。私は聖騎士団の一人、風の聖剣士【ゲイル】だ。──先程は済まなかったね。私の同僚二人が迷惑をかけたみたいで」
そういうとゲイルさんは頭を垂れた。
緑の爽やかなポニーテールの、本当によく見るタイプの女騎士さんが現れた。
俺は慌てることなく"いやほんとに。どうなってるんですかお宅の国の教育は!"とキレた。
いやそれぐらい言わせて欲しい。
するとゲイルさんは苦虫を噛み潰したような顔で。
「あの二人、まあ見たらわかると思うが……脳筋でね。悲しいことに人の話を聞く気がないんだ。まあ今ばちばちに騎士団長に怒られているから……それで君の溜飲が下がってくれたら嬉しいんだがね。……少し隣で話してもいいか?」
そう言いながら、俺の隣に座る。
「えぇ、どうぞ。……それで俺はどうなるんですか?この後って……」
俺はすぐにそれを尋ねる。するとゲイルさんは少し悩んだあと、口を開く。
「君は聖剣士だ。聖剣という武器に選ばれた君は、私達の国で魔物を倒す役目に着いて貰うことになるだろう」
なるほど、魔物を倒す仕事をさせられるって訳か。嫌だが?いやなんというか活躍して破滅フラグをおったてる予感が──ん?そもそも外の国で破滅フラグってたつか?立たない気がするんだが?
「……ちなみに待遇ってどうなるんですか?俺は外の国の人ですけど」
「ああ、かなり良いぞ。当然ながら3食風呂付きふかふかベット……」
「ぜひ、今後ともよろしくお願いします」
俺は食い気味に答える。なんというか、あまりにも一年間のあの生活が惨めすぎて、早く抜け出したいと思っていたところだ。
だからこの選択を受けない理由はまず無い。
「そ、そうか。……ちなみかなり激務だが、聖剣を持ってるだけであの国ではかなり待遇が良いぞ?特に村人からはめっっっちゃ尊敬の眼差しで見られるからな!んふー!とっても心地いいぞ!」
なんか途中から鼻息荒くなっていたけれど、まあ気にしない方がいいのかな?
「なるほど、わかりました。……そういえば聖剣を使えるということは魔法って……」
「ああ、勿論使えよ。ただ聖属性の魔法になるんだがね……まさか君は知らないのか?聖剣と魔法について!」
俺が知らないと伝えると、ゲイルさんは少し考えたあと……部屋に案内してくれた。
案外この船でかいんだなぁって俺が思いながら俺は部屋に入る。
「お邪魔しま……す…………あの、すみません。ちょっと先に……その……」
俺は静かに目を閉じる。まぁ一言で言うと、散乱した下着の山を見てしまったがゆえの行為だ。
「?ああ、服か。……なぁに、気にしないでくれ、私の服なんて見たところで一銭も価値がないからね」
「価値あるよ!?どー考えてもこの女騎士様の服とか色んな意味で価値あるよぉ?!」
「?昔道端で私の下着を販売していたが、誰も買わなかったが?」
「そりゃそうだろうが!!あんた思ってたよりやばい人なんじゃないんすか?!なんか怖いんで外に出て……あれ?」
そう言いながら俺は部屋から外に出ようとするが、何故か鍵がかかっている。
「あれ?逃げないでくれよ。……なぁに、少しだけ君の味を味わいたいだけなんだから……ね!」
そう言いながら、ゆっくりと騎士さんが服を脱ぎながら歩いてくる。あの?えっと?
◇◇◇◇
その日、少しだけ俺は大人の階段を登った。
ただ一つ言いたい。
聖騎士全員ヤバいやつなのでは?と。
ちなみゲイルさんは、ツヤツヤした肌を堪能しながら、俺に聖剣と神聖魔法についてしっかりと教えてくれた。
半分ぐらい俺は惚けていたんですがね。
ちなみにその様子を見ていたルクス曰く、ご主人様のご主人様が取られた……許せない、やっぱりこの船の人皆殺しにしてきます!
と言っていた。やめてね?少なくともなんか聖騎士さんはみんなヤバいやつしかいないから、なるべく触れない方がいいからね?
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