第39話 一方その頃ロブタ
一方、その頃。
ネルラを排除したと思い込んでいたロブタは……。
「やっふーーー!!最高だよ俺の人生ッッ!!」
はしゃいでいた。まぁ気持ちよさそうに。
彼は英雄として祭り上げられ、挙句の果てに今国王様に褒章を賜っていたところの帰り道のさなかである。
あまりにもついている。運がめぐりまくって自分がまるで主人公の様だとそう思っていた。
「……ネルラの死体が見つからなかったのは少し気がかりだが……ははっ!まぁ万が一生きてたところで使い物にならないほどに弱ってるだろうしな!……それよりも次はどの魔物を狩りに行こうかな?」
そんなことを言いながらギルドに入る。
すると当然のようにたくさんの人達(まぁファン)が沢山群がってくる。
「ロブタ様!あぁ!英雄様が来たぞ!!」
「あれがロブタ様ッ!夢みたいだわ!……」
「さすがはロブタ様、このギルドで最も有名なお方だ!」
実際ロブタはあの後も、ネルラを探索するという名分で原作知識を活かして厄介な魔物を次々と討伐しては英雄と呼ばれるほどに成長していた。
「(ちょろいぜ、この世界。やっぱ魔剣ディアゴスティードは最強だな!触れるだけで次々と高レベルモンスターが消し飛んでくもんな!) 」
ロブタはそういうと、ギルドカウンターに足を運び今日の依頼を確認する。すると見たことない魔物の討伐依頼が載っていたのだ。
「今日は英雄様のお目に叶いそうなクエストはありませんね。……ああ、こちらのクエスト……リヴァイアサンの討伐ですか?───すみませんどうやら船が大破して暫く出港できないとのことで……この依頼は取り消しとなってしまったのです。──それよりも、こちらのアダマントウィッチと言う魔物の討伐依頼とかはどうですか?」
「ふーん?まぁそれなら。じゃあそのアダマントウィッチ?ってのはどこにいるのか教えてくれますか?」
「はい、こちらのウィッチは確か───」
◇◇◇
ギルドを出たあと、ふと疑問を口に出すロブタ。
「……リヴァイアサンなんていたっけ?この世界……まぁいっか。それよりもこのアダマントウィッチを討伐する依頼に集中しようっと!」
そう言って駆け出した。
……ロブタは知らない。
この魔物、アダマントウィッチは特殊な方法でのみ倒せる魔物だということ。そしてこの魔物はそれ以外の方法で倒すと───どこかに転移して、その上で超強力なモードのまま暴走するというあまりにもクソ仕様を有していたことを。
ちなみに原作において、この魔物を序盤に適当に処理した結果突然滅亡フラグ(王都消滅)が発生するパターンもあったので二週目以降をプレイしていた人にとって必須すぎる知識であった。
だが残念なことに、ロブタは一周しかしていない。しかもテキストは割と流し読みまたはそもそも見ない、人だ。
つまり何が言いたいかと言うと……この先何処かに破滅級の性能の化け物が解き放たれると言うことである。
……当然そんな破滅フラグ、ネルラの所に行かないわけがなくて……。
「やっぱり俺、運があるなぁ!この確かなんだっけ?アダマントウィッチってレア素材落とすじゃん!あれで防具作ってもらおっかなぁ!」
そんな事を考えながら、呑気にアダマントウィッチを目指して走り出したロブタであった。
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