第6話 ゴーレム退治からの【オルダ】の街

 目を開けると、ゴーレムがめっちゃこっちを観察していた。


「……なんすか?俺見ても何も楽しくないと思いますけどね?」


 とりあえず俺は剣を握る。ちなみにこの剣はネルラ君の私物?のようなもので、結構年季が入っていてボロボロだった。


 剣を握ると自然とどうやって体を動かすべきかと言うイメージが脳内を駆け巡る。


「行くぞ、おりゃーーーー!!」


 俺が安全地帯から出ると、すぐにゴーレムの目が赤く灯される。それが敵対の合図だ。

 直ぐさまゴーレムは重たい拳をゆっくりと持ち上げる。だが俺はゴーレムには目もくれずに後ろに回り込むと、そのまま剣を背中の一点に差し込んだ。


「ーーーーーーーー!」


 剣を差し込んだ場所がひび割れ、その瞬間にゴーレムは声もなく崩れて土塊になってしまった。


「よしっ!……やー案外サクッと倒せた、流石はネルラ君だよ。にしても鍛えていたからすぐに体が動けるのって凄いよなぁ」


 俺は崩れたゴーレムの土塊の中から石を取り出し、微かに入ってくる光に当てて眺める。

 ゴーレムは昔の人が作り出した土の魔力生命体だ。巨大な図体と前方からの攻撃に対する防御力が高い魔物だ。

 まあ弱点モロ出しで顔も全然怖くないし、ほんとに弱い魔物なんだけどね。だって実際戦闘経験ゼロな10歳児の俺ですらサクッとかれる程だしな。


 とりあえず拾った魔力核の欠片を寝床のそばに集めると、俺は次のリポップを待つべく剣を立てかけて横になる。

 ……やっぱお腹すいた。うーん、一度街に行ってみるか?


 俺はこの辺りのマップを思い出す。【リクソダンジョン】の近くには確か【オルダ】と言う街があったはず。そこには小さいながらもちゃんとギルドもあった筈だし、食料もそこで調達出来たよな?


 だけど歩きたくねぇ〜。5kmだぞ5km?主人公はマップワープ出来るからいいかもだけど5km走っていけと。無理だって。


 だがのんびりしていても、当然ながら解決する問題では無い。仕方が無いので俺は剣を手に取り、ダンジョンから出ることにした。

 あたりは昼過ぎなので、特に危険な魔物がいる訳では無いが……まあなるべく会いたくないのでコソコソと走る。


「うわ、【ニードルラビット】かよ?!……ゲーム内よりビジュ怖すぎるだろ!?」


 俺は近くをトコトコと駆けていく【ニードルラビット】を見つけた。白っぽい兎に頭から不釣合いなほどにでかい棘が生えているそれは、ゲームではペットにされる程に大人気な魔物だった。

 だけど冷静に考えたら、あの棘普通に刺さったら人死ぬよな、怖。


 俺はコソコソ、と木の影に隠れたりしゃがんだりしながら……さながら某スネ〇ークみたいなスニーキングをしながら進んで行った。


 ◇


 ひとつ分かったのは、ネルラ君の身体能力が馬鹿みたいに高いということである。ジャンプひとっ飛びで木の上に飛べた時は、さすがにおかしいだろコレ!?となったけどね。どう考えても人間辞めてんだよなネルラ君。


 なので戦闘になりかけたら即座に木の上にジャンプしてスニーキングする事で何とかやり過ごしていた。

 そして案外快適にサクサク進んで行けたので、俺は思わず───、


「このまま何事も無ければあと数十分で辿り着けるな!」


 なーんていう、盛大なフラグを建ててしまったのだった。


 ◇◇


「まじか。魔物と人がばりばり戦闘してるじゃん」


 それは街が見えてあと少しって時の事だった。丁度近くにあった小川を越えようとしていた俺の元に、戦闘音が響いてきたのだ。


「ゃぁぁぁぁ!!!」

「はぁぁぁ!!!」

「お、おいっ!突っ込みすぎだ?!」


 と言う、多分3人の声が聞こえたのだ。その声の感じから2人は子供かな?で1人は多分保護者枠だろうね?

 俺はちょいと気になったけど、まあ大丈夫だろう。と言うことで無視してさっさと走り出すことにした。

 だってお腹すいたし、早くゴーレムの素材を換金しに行かないとね!

 やっぱり怠惰に生きるにはお金が無いと話にならないもんね!!


 ◇


【────ここは【オルダ】の街、辺境にある小さな牧歌的な街にようこそ、旅人冒険者さん!】


 そんな看板を見ながら、俺は歩いて行く。ゲーム内で見た時より、少し大きく感じたけれど多分それは俺が小さいからだろうな。


 そうしてオルダの街に辿り着いた俺は、まずはギルドに行こう!そう考えてギルドを探す。


「おや?少年?……迷子かい?」

「あら、可愛らしい子供じゃないの。どうしたの?……お母さんからお使い?」

「───坊主邪魔だ!……ちょっとどいてくれ急ぎなんだ!」


 道中結構な人間に話しかけられたけど、俺はコミュ力高くないので割と困ってしまった。アワアワしていたら何人も助けてくれたよ。なんというかアレだね、ネルラ君がイケメンで助かったなぁと思ったよ。


 多分前世の俺が街でアワアワしてても誰も助けてくれないだろうしね。


 そうして【冒険者ギルド】に俺は辿り着いたのであった。

 ちなみに先程から既に街の至る所の人が慌ただしく動いていたので、既に何か嫌な予感がすっごいするんですが、あの?……やめてよ?さっきフラグ建てたせいでとか。

















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