第49話 宝竜族との出会い
星空が綺麗な数日前の夜のこと。
辺りに蔓延る魔物を倒したネルラは空を見ては目を伏せた。
……このところずっと空を見る癖がついてしまっている。それが悪い事だとは思わない、けど……。
一体何故自分は戦っているのか、誰の為に戦っているのか。よく分からなくなってしまった。
俺は振り返るように後ろの、燃え盛る聖騎士たちの亡骸を見る。
彼ら彼女らは既に人では無くなっていた。ヴォーティガンの魔術なのか、はたまた別人の魔法なのかは分からないけれど、人の身でありながら人を捨てていた。
そんな簡単にポンポン人を捨てちゃあダメだろうが。そんな俺の言葉も、大して彼らには響いてはいなかった。
だから仕方なく、魔法で殺した。
最初は分離させようと頑張ったんだぜ?
だけどせっかく分離させても……。
「貴様ら逆賊に助けられるなどあってはならぬ!死ねぇ!!」
だぜ?
そりゃ俺も悲しくなったさ。ゲイルさんも同じくらい悲しそうな目をしてたな。
──まぁそりゃそうだよな。誰だって知り合いを殺すのは辛いだろうさ。
ちなみにゲイルさんは……
「知り合いはいなくてよかった。いたら少なくとも平静を装えなかった。ところで今すぐ君を襲ってもいいかな?」
と言っていたので、多分本当に知り合いがいたんだと思うよ。
ヴィヴィアンは……うん、まぁなんというか……。
◇
「ははは!!見ろ!人がゴミのようだ!!……失礼調子に乗りましたわ。すみません、あの?ゲイル、やめなさい?……いっだぁぁぁ!!?あ、顎、顎外れるっ!!ヘルプヘルプ!!」
知り合いをゴミ呼ばわりされて静かにブチ切れたゲイルの手で普通に顎を外されかけていた。ちなみにずっと謝っていたので流石にゲイルさんもため息混じりとはいえ許してはいた。
まぁ人の地雷も見抜けぬ王とかどっちにしろ謀反なり起こされて滅んでたような気がしてならないんだが?
そのことをそれとなく尋ねたら、ヴィヴィアンは……。
「あら、私はまともよ。私がまともだったからこの数年間は戦争が無かったのですから。それまでは他国と戦争ばっかりする論調ばかりで、退屈でしたのよ。何より国のほぼ全ての人が国の中の魔物から目を逸らしていましたからね」
……国としてダメだろ。なんで最初に国の中を整えないんですかね……。
◇◇
……「まじでこの国に来てから大していいこともないし、帰ろっかなほんとに」
既に俺は普通の毎日、かけがえのない普遍的な毎日を恋焦がれていた。
少量の肉をかじりながら、堕落を謳歌する。あの頃に戻りたい……。
「……?なんだこれ……宝石?」
目の前を石をつけたような人が通ったように見えた。俺はふと気になってそちらに意識を向けた。
「何かいるのか……?」
恐る恐る耳を澄ませてみると、確かになにかの足音が聞こえる。
それは宝石もとい石をガチャガチャと擦れ合わせるような奇妙な音をしていた。
「────?……ゲイルさーん、ヴィヴィアン様〜!なんか変な音が聞こえるんですけ」
俺はとりあえず二人に訪ねようとして。
唖然とした。
そこには、宝石を纏った様な小人達に囲まれた二人がいたのだから。
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