第37話 めんどくさい奴らに目を付けられた
肩こりが治った。何故か知らないけど、体の調子がかなり良い。
「ルクスなんかした?」
「もちろん!聞きますか?」
「──長くなりそうだから良いで……」
「それは勿論、ネルラ様のお身体に負荷をかけていた全ての要因として存在している全てのダメージの丁寧且つ理論的な修復を行いました。もちろん愛すべきネルラ様の大切なお身体にかかっていた負荷は当然かなり重症でした。それを私は自分の身を削りながら少しづつ汗水垂らして治したんです。だから貴方様の肉体の修復の際にすこぉしだけ私の汗が混ざってしまっているかもしれないですが、それはつまり私と貴方様の共同作業ということです。ああそれを考えると何だが私の心が昂ってきた気がします。私は今すぐにでも貴方様を襲ってもっと濃ゆい行為をしたいですが、お疲れなのは多分変わらないのでそれをしたい気持ちをぐっと抑えて、その代わり寝ているお姿を横からじっっっくりと拝見させていただきたく───」
「そっかありがとう!うん、とっても嬉しいから少し短く、掻い摘んで、端的に話してくれるかな!」
多分死ぬ程想いが重い気がした。と言うかなんかナチュラルに襲われそうなのが怖いんですけど?
ルクスは"えーこの想いを纏めるなんて出来ないっ!"と叫んでいた。(俺以外には見えないらしいが)
◇◇◇
しばらく横になったあと、俺は外に赴いた。
流石に寝すぎて身体がバキバキなり始めたので仕方なくだ。
聖剣の国と言いながら、割かし怖い国なのでは無いか?そう思いながら俺は昼下がりの温かな気温の中で日向ぼっこをする事にした。
そして何者かに襲われた。
◇
「ん?……誰かそこにい────ッッ!!危な!!」
近くの茂みからガサガサ音がしていたので、軽く尋ねるつもりで話しかけた俺に対する反応はナイフによる投擲だった。
紙一重でそれを躱しながら俺はルクスを鞘から引き抜き、臨戦態勢を取る。
「──おやおや、コレを躱すとは。流石に舐めてかかりすぎましたかねぇ」
茂みの奥から現れたのは、日向ぼっこするにはちょっとだけ暑そう──いや結構暑そうだな。と思わせてくれる真っ黒なフードに身を隠したザ、アサシンといった感じの男だった。
一応個性付けなのか知らないが、顔には映画ジョーカーを思わせるピエロ調のフェイスペイントを彩に添えてあるようだ。
「誰だ!と聞いたところで、答えてくれなさそうだな。まあそりゃそうかアンタみたいな暗殺者風の奴が情報なんて───」
「私の名前は【コックロータス・ピエロスキー】と申します。貴方が危険な存在である事を察知した【魔王軍第二位 キャスパリーグ】様の命令により、貴方を始末しにまいりました」
うん全部言っちゃったよ。と言うかキャスパリーグってマジですか?
キャスパリーグ。それはアーサー王伝説並びにシャルルマーニュ伝説等に登場する"猫"である。
まあ猫と言っても、可愛らしさの微塵もない話しか無いのだが。
どっちかと言うと俺はこの話を聞いた時に、洗脳してたんだろうなぁと思う程度には猫?猫とは一体?ってなる話ばっかりだからなぁ。
なんかよく分からんけど、いきなりやばそうな話に絡まれている。
そしてどう考えてもそっちは破滅フラグだよねぇ。と言うか聞いたことないんだよなゲーム内で魔王軍の他の奴らとかについての話って。
──なぜ聞いたことないのかと言うと、出てこないからである。
四天王は出てくるが、その上にいる十二柱の魔王軍最高戦力とかいう奴らは、誰も登場しないからだ。
確か開発者が言うには───、
『強くしすぎてボツになった。ほぼ死に設定だから無視しておk』
とか言っていた奴らだ。……ちなみに魔王の戦闘能力自体は、その十二柱のやつより弱いというね。
そんなヤツらの、第二位に目をつけられたというのはかなりまずい。
俺は焦りながら、何とか起死回生の一手はないのかと模索していた。そしてそこに痺れを切らしたアサシン【コックロータス・ピエロスキー】が攻撃を放つ。
「悩んでるとこ、悪いが死ねぇぇぇ!!」
あまりにも直球であった。
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