第25話

少し歩き屋上に来た。ここはまだ誰もいない。じきに来るだろうが。ここもモデルになっているからな。それにしてもいい風だ。稲毛高校の人達はここでお昼を食べれるのが羨ましいな。うちの高校も一応屋上はあるがただの高いところだし。こんなにいい風は吹いてないし、景色もよくない。ここは風だけじゃなく、部活をやっていたら青春してるなぁーと思いながらお昼を食べるしな。ここでマッカンを飲んだら気持ちいいんだろうな。


「お兄様これマッカンよ。お兄様がトイレに行っている間に買っておいたわ」


「おお、やっぱ奏は分かっているな」


俺はそれを受けとりプルタブを開けて、景色を見ながら飲んだ。やっぱいつもより美味しいな。マッカンが自販機にあるとはさすが俺の青春ラブコメは間違っているのモデルになっているだけはある。


そして二人で飲んでいると、ドアが開けられる。誰か来たか?俺はそう思いながらも、景色を見ていると、肩を叩かれた。奏だったらお兄様と呼ぶはずだから別のやつだな。俺は振り向くと、いろはのコスプレをした、美少女がいた。


「初めまして、安希といいます♪今後お見知りおきを」


うわぁーすげーあざとい。いろはを再現したようなあざとさ。最高だな。ヤンデレはいてもあざといのはいなかったから新鮮だ。それにしてもなんで話しかけてきたんだ?


「よろしく。それでなんで話しかけてきたんだ?」


「知的そうに見えるお兄さんに興味を持ったんですよ♪きっとお金持ちになるだろうと思ってですね」


お金目当てかよ。まぁ普通に逆ナンはしてこないよな。そこまでイケメンじゃないし。ていうかお金目当てなのも隠そうともしないんだな。いづればれるしって感じなんだろう。それなら最初っからそれ目当てで近づいたと言った方がいいか。


「安希さん、お兄様は賢いけど、お金を稼ぐのに興味はないわよ。それに夢は専業主夫よ。どう考えてもお金持ちにはならないわ」


まぁ専業主夫になりたいのは本当だ。それ稼ぐことに執着もない。自分の使う分だけは株で稼ぐつもりだが。つまり少ししか稼ぐつもりはないってことだ。大学は経済系にいくつもりだ。そっちの方が株を稼ぐ方法をしれそうだからな。


「それは働かせればいいんですよぉー。なんだかんで高給取りになりそうですし」


日向が働けと言ったら働くな。まぁ日向だけでも充分稼げると思うが。それだけ能力高いし。まぁ日向を社会に出したらもてすぎて怖いが。やっぱ芸能界の方がいいか。ナンパしてくるのも半滅するだろうし。


「それよりお兄さんは私のことどう思いますかぁー。お兄さんこういったあざといの好きそうですし」


自分であざといと言っちゃうのかよ。まぁあざといが。これは素じゃないってことか?もっと素は腹黒い的な。


「お兄さん腹黒くないですよぉー」


怖、なんで思ってることが分かるんだよ。今日初対面だよね?あれか心理学で学んでいるか心でも読めるのか?後者だったら色々とばれてそうで怖いわ。


「私心理学に嵌まっていて、大まかな考えてることが分かるんですよぉー」


「大まかどころかドンピシャで当ててるんだが」


「大まかなことが分かればあとは状況で分かりますからねぇー」


俺の考えを状況から読んだってことか。相当心理学の知識持ってそうだな。男とか手玉に取ってそう。なにそれ男の敵じゃん。いや気づかないやつは楽しいからそれでいいのか。哀れだ。


「それで何の用だ?」


「一緒に写真を撮ろうと思ったんですよぉー」


「後でこんな美少女撮れたんですからお金払ってくださいとか言わない?」


「ここは海外じゃないんですからそんなのと言いませんよ」


ジト目で言ってきた。いやだってこんな美少女が写真撮ろうと言ってきたら、普通疑うだろ。イケメンなら分からなくもないが、俺だぞ。イケメンでもないちょっと賢く見えるだけの男だぞ。それなお金持ちになりそうって言っていたし、つまりお金持ちを探しているってことだろ。港区行けよ。安希ならそこら辺の港区男子捕まえられるぞ。てことで今から東京に行ってください。


「それで撮ってくれますか?」


そう上目遣いで聞いてきた。可愛すぎだろ。やっぱあざといって男の天敵だわ。これは断れん。


「はぁーそれじゃ奏頼むわ」


「はぁー分かったわ。それと安希さんお兄様は渡さないわよ」


「そいうことですか。私も始めて男の人を逆ナンしたので渡すつもりはないですけどねぇー」


なんか奏と安希がバチバチしてんだが。君達仲悪いな。女子同士で愛称が合わないのだろうか?あざといのって女子に嫌われる傾向があるし。


「それじゃ早く撮るぞ」


「こんな美少女と撮れるのにあまり嬉しくなさそうですねー」


「そりゃ好きな人いるしな。それにあざといのは好きだが、心を読まれるのは怖いし」


「好きな人いるんですか!くっだけどきっとての届かない存在のはず」


「お兄様の好きな人は幼馴染みよ。むしろ私の次に一番近い人よ」


次って家族だからだろ。家族ということを抜けば一番近いのは日向だと思うが。


「どこのアニメの主人公ですか!しかも鈍感って。もう主人公ですよね」


主人公は和希だ。俺は脇役でしかないぞ。主人公なら今頃俺は日向と付き合っているからな。でも日向は振られた。だから俺にもまだチャンスはあるだろう。一番近い存在だし。










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