第54話

「日向か、制服ってことは学校帰りか」


やっぱり日向の制服は最高。これを毎日みれる俺は相当な幸運の持ち主では。制服ディズニーデートとか行きたい。ちなみに奏は私服だ。学校がテストですぐに帰ってきたらしい。奏の制服も可愛いんだがな。


「そうだよー。テスト週間だから勉強をしないといけないけど、ここでするからこれから長くいさせてもらうねー」


「日向さん勉強は一人でした方が捗るものよ。だから家で勉強したらどうかしら?」


「それなら奏ちゃんもテストしてるんだから今すぐ一人で集中して勉強したらどうかな?一人の方が捗るんでしょ?」


「私は家にお兄様がいるのが当たり前だから、お兄様がいる方が普通なのよ。だからお兄様といる方が捗るわ。だから他人である日向さんは一人の方がいいのよ。それに一回振られたからって和希さんのことを諦められめて、お兄様に慰められたからってすぐに鞍替えするのはどうかしら?」


二人は睨みあっていた。やっぱりこうなったか。まぁ予測はしていた。理由はなんでか知らないが二人は仲が悪い。奏よ。振られたことには言及するなよ。


「奏振られたことは相手の心を傷つけるから振れるな。それに教えてもらえるのだから、俺は誰かがいた方がいいぞ」


「ほら一豊くんもそう言ってるんだから、私はここで勉強するよ。奏ちゃんに何を言われようとね」


「私もここで勉強するから二人きりにはさせないわ。密室で異性と二人きりなんて何が起こるか分からないのだから」


俺にそんな度胸はないし、そもそも好きになってもらってないのに手をだしたりはしないんだが。日向のことは大切にしたいからな。好かれても大事に扱いたい。そんくらい日向のことが好きなのだ。愛して愛されたい。そのために少しづつ好かれようとしているのだから。今回も少しは好かれることにはなったはずだ。


「奏俺は手をだしたりはしないぞ?」


「お兄様がそうでも、日向さんが誘惑する可能性があるわよ」


好きな人に振られたばっかしなのに、誘ってくるようなことはしないだろう。そんなに軽い女子ではないんだから。もしそうだったら俺はこんなに好きにはなっていない。ビッチは好きじゃないしな。日向は清楚で、優しく、芯が強い女子だ。日向ほど優秀な女子もいない。ねると同格ぐらいのレベルだ。


「私をその辺の軽い女と一緒にしないでもらいたいなぁー」


「それじゃお兄様から手を引いてくれたいのだけれど。まだ和希さんともチャンスあるかもしれないわよ」


「まだ好きだけど、もう諦めたからそれ無理かなぁー。それに一豊くんは大切な幼馴染みだから離れたくないよ」


そう思ってもらえて嬉しいわ。いつかは恋愛対象に見られたら最高だが、まだ高校生活は長いから、あせる必要はない。少しづつ好かれればいい。大学は同じところに行くか分からないから、高校生のうちに付き合いたい。付き合って腕を組んだりして、制服デートをしたいからな。


「日向さんにはお兄様は渡さないわよ。モテる女に渡すと裏切る可能性があるわ。お兄様は私のお眼鏡に敵わないと、渡したりはしないのよ。、、、、お眼鏡に敵う人なんてそもそもいないから、私のお兄様は誰にも渡さないのだけれど」


「その辺で矛先を抑えろ二人とも。勉強するんだろ。これじゃいつまでたっても互いの主張しあっているだけだ」


「そうだね。この会話は合理的じゃないしね。それに早く勉強したいし。今日のところはこれで終わらせよう?」


「そうね、いつかは私の言ってることが本当になる日が来るわ」


とりあえず二人とも矛先を向けるのをやめたようだ。どちらもテストには力をいれてるから、勉強時間が潰れるのはよしとしないんだろう。どっちも進学校でトップクラスの成績なだけはある。俺も勉強しなきゃいけないと思ってる。どうしても東大に行きたいからな。六大学で野球やるのは夢だし。


「それじゃ勉強始めるか」


俺達は参考書を開き勉強を始めた。せっかく日向がいるなら数学をしてみるか。ちょうどバックに数学のプリントと参考書が入っていたし。日向は教えるのが分かりやすいから、勉強教わりたい。そして密着して匂いを楽しみたい。


俺は数学の参考書を開いた。そして問題を見るが、ちんぷんかんぷんだった。やっぱり文系にはきついな。なんで東大の文系でもあんなに難易度の高い問題が出るだろうな。


「珍しいねぇー。一豊くんが数学をやるなんて」


「せっかく日向と勉強してるなら、分からないところを聞ける今しかないと思ったからな」


「それならいつでも分からないところを聞いてね。いくらでも教えるよ」


そう言って優しく微笑んだ。やっぱり俺は日向が好きだなと改めて思った。恋ってどんな仕草も可愛く見えるよな。まぁ恋をしてなくても、日向の仕草を可愛いって言うやつの方が多いだろうけどな。


「ここが分からないんだが」


「ここはこいう公式を入れるんだよ」


日向は頬が触れそうなくらい近くによって来た。めっちゃええ匂いがする。しかも肩が触れあってる。ああ、ここは天国なのだろうか。だが真剣に聞かないと、日向に失礼なので、匂いを楽しみながらも、ちゃんと理解をした。やっぱり日向の教え方は分かりやすいと思いながら、どんどん進めていった。









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