第57話

「そういえば一豊くんが辛いものを好きになったきっかけってあるの~?」


「元々味が濃いのが好きだったからな。濃さを求めていて、辛いのは味が濃いから、食べたらヒリヒリする辛さに嵌まったんだよ。それから辛いのを求めるようになったんだよな。甘いのも好きだから、珍しいタイプかもしれないが」


旨辛と言われるものはかなり好みの味をしている。辛いのも甘いのも濃ければ濃いほどいい。お陰で味の薄いものは食べなくなったから、病院食は味が薄くて、物足りなかった。まぁ今日は久しぶりに外でラーメンを食べれるから楽しみだが。今までよりも美味しく感じるだろう。


そんなことを考えていると、辛味噌ラーメンが来た。匂いからして、辛さが伝わる。来れこそ日本の宝だ。辛い味噌ラーメンは日本くらいにしかないんじゃないんだろうか。


俺は思わず笑みを溢しながら、いただきますと言って食べ始めた。


「あーこの喉にガツンとくる辛さが堪らないよ」


「この辛いのラーメンは私を癒してくれるわ」


「私は辛いのは食べれないけど、ここの蔵出し味噌はさっぱりしていて美味しいね~」


「そう言えば、日向はここにくるの始めてか。まぁわざわざ一人でラーメンを食べには来ないよな。女子一人だとナンパをされる可能性が高いし。まぁ行きたくなったら、いつでも俺を呼んでくれ」


「うん、気になったラーメン屋があったら、一豊くんを呼ぶよ。そして服も買うのも良いかもね~」


「さりげなくお兄様をデートに誘うのをやめてくれないかしら?お兄様は私のものなのよ。そもそも日向さんは振られたばっかで他の男にちょっかいをかけるとかビッチかしら?」


「妹なら、お兄ちゃんが誰とでかけようとなにかを言う筋合いはないんじゃない?それにデートじゃなくて、ただ単に一豊くんの服を選びたいだけだよ」


やっぱり男としては見られていないんだな。なんとか意識してもらえるように頑張らないとな。和希に振られた今がチャンスでもあるから。他の男にはやらない。和希に振られてから、ちょっかいをかけてくる男が増えている気がするが。そいつらには負けるわけにはいかない。


「まぁそいうことだから、許してくれ」


「、、、、日向さんは意識してないのね。お兄様は気づいていない。まだ私にもチャンスがあるってことね。何とかしてお兄様には勘づかれないようにしないといけないわね」


なにか奏はぶつぶつ言っていたが、やがて日向の目を見ると、デートじゃないなら、私がいても良いわよねと言った。すると日向は渋い表情を作ったが、特に拒否する要素もなくそれを受け入れた。


そしてラーメンを食べ終わり、俺達は店を出た。久々に満足の出きる食事だった。やっぱり辛いのは正義だな。さて次はどこに行くかね。本屋とかもいいかもしれない。もしくは図書館か。どっちに行くか迷うな。


「どこか行きたい場所はあるか?」


「本屋に行きたいかな~。気になっている新刊が出ているみたいだし~」


「それじゃ本屋に行くか」


俺達は千葉駅付近で一番でかい本屋に向かった。千葉駅付近はほんとなんでもあるよな。さすが千葉の中心地なだけはある。柏よりも揃ってるんじゃないだろうか。


本屋に着くと、俺達はそれぞれ好きな本を選びに行った。俺はもちろんラノベである。まぁ異世界転生系とかチート系は読まないが。あれだよ主流と外れているものを読んでいる俺はなんか特別な感性を持ってる気がするからな。とりあえず何を買うか。俺のことを好きなのはお前だけかよかタイトル的にハーレム系じゃないってことか。これは珍しい、これは買いだな。


後は東京レイヴンズの小説を買った。どんどんクライマックスに近づいてきて、面白くなってきてるんだよな。


そしてほくほく顔で、俺は会計をして本屋の外で日向達がでてくるを待った。少しするとバックにいっぱいいっぱいの本を詰めていた日向がでてきた。そして奏もちょうどでてくる。


「よくそんなに買ったな日向」


まぁ昔から日向は知的好奇心が高いから、いろんな本を読み漁っていたが。大体が図書館にあるものだった。まぁ高校生になって、自由に使えるようになったから、いろんな本を買い漁るようになったんだろう。


「気になっちゃうと買っちゃうんだよね~」


「それじゃ半分持つぞ。重いだろ」


「さすが一豊くん~。気遣いをできるなんて、ポイント高いよ~」


これは好感度を気にしてじゃなく単純に重いだろうと思って持つだけだ。下心はないからな。まぁ幼馴染みとして、慣れているから、今さらキュンときたとかはないだろうがな。


「役割分担みたいなものだ」


そう言って、俺は日向から本の入ったバックを受けとった。結構重いなこれは。十冊くらい買っているだろ。知識がある女子は魅力的だと思うから、こんだけ本を買うのは好感度が高い。


「それじゃ次はどこ行こうかな~?」


「アクセサリーでも見に行かないか?あっちじやそいう店はあまりないからな」


柏の高島屋にはあるが、あそこはハイブランドの店が多くて、なかなか手がだせるところじゃないからな。千葉は高校生にはちょっと高いが、手がだせないほどじゃない。それにアクセサリーを着けていてもそこまでここは違和感がない。







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主人公に振られた幼馴染み。ヤンデレ化したんだか 作家目指すもの @Ronisei

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