第19話

やがて、流鉄が来たので俺達は乗った。やっぱりこの声優の声はいいな。帰り道で聞けるのは癒される。これが萌え声で癒されるってことだろう。日向を見るとハイライトオフでこっちを見ていた。またか、今度はなんだ?声は漏れてないはずだぞ。


「そんなに声優がいいの?私の声の方が癒されるはずでしょ。やっぱり演技された声の方がいいの?それなら声優になってこの声優が出てこないくらい活躍しようかな。それに声優のなれば一豊くんも私だけを見て推してくれるだろうし」


思いっきりばれてんだが。あれなのヤンデレはヤンデレになる相手の心を読むのを標準装備してるのか?ヤバイなそれ。心の声とか表情にも出せないってことじゃん。


「別に特定の声優を好きな訳じゃないからな。アイドルとして声優を見てる訳じゃないし。まぁ日向の声優をやってる姿は見たいしなったら推すがな」


日向が声優になったら貢ぐまである。だが不特定多数の人間に日向が見られるってことだよな。それに同じ業界のからのイケメンからも狙われるし、そいつらに勝たなきゃいけないのか。なかなかきついな。まぁ日向が別のやつを好きになったら諦めるけど。


すると日向はハイライトをオンにする。何とかなったみたいだ。今の日向だったらホントウにあの声優に役を与えないくらい力を持って潰しそうだからよかった。


「それじゃ私声優目指そうかな。アニメ声優は興味あったし。何より一豊くんを夢中にできるしね」


「応援するぞ。俺が一番最初のファンになる」


日向の声優かぁー。このアニメ声を活かせるだろう。それに頭もいいからバラエティでも活躍できるだろう。もしかしたらMCもできるかもしれない。それだけの可能性を持っている。


「ふふふ嬉しいなぁー。それじゃすぐにヒロインの座を射止めて見せるよ」


そんなことを話していると、すぐに最寄り駅に着いた。馬橋駅では降りる人が多い。まぁ終点だからな。ここから乗り換える人も多いんだろう。俺達はここで降りるが。流鉄を降りると、サラリーマンとかがこっちを見てきたりしたが、歩を止めるとナンパしてきたりするのでそのまま駅員に定期を見せて、駅を出た。


「ちょっと寄り道しない?」


「この辺何もないと思うが」


「スポーツオーソリティ行こうよ。私もグローブほしいんだ」


キャッチボールするためか。多分俺とだと思うが、グローブ持ってなかったけ?硬式用を買おうとしてるのか?いくらキャッチャーやっていたとはいえブランクがあるのに硬式は危なくないか。女子が怪我なんかしたら笑えないぞ。しかも俺が男から針の筵にされる。


「硬式用グローブを買う気か?軟式でいいんじゃないか?」


「私弓道部やめて、野球部のマネージャになるから、投球を受けれるようになりたいんだよ」


え?辞めるの?まぁ弓道部に居づらいのは分かるし、日向の知識なら野球部にはおることは可能だろう。それに変な輩も野球部にはいないし。弓道部では上級生や同級生に口説かれているという噂も聞いたし。大体が嫉妬で悪く言っていたが。


「俺が軽く投げるからそこからなれていくぞ」


「うんブルペンキャッチャーをできるくらいのレベルにはするよ」


マネージャーで球も受けれるとか、今までいないだろう。それだけ高校野球はレベルが高いのだ。だが日向の目とキャッチング技術ならすぐに捕れるようになるな。元々中学の時は俺の球を受けていたくらいだし。高校生になってから俺も球速が上がったからすぐには俺球を捕るのは無理だろうが、下級生なら捕れるだろう。うちにはピッチャーにたいしてキャッチャーが少なすぎるから日向が捕れるようになるのはありがたい。


「それじゃオーソリティーに行くか。ついでにシャカシャカチキンでも買っとこう。辛いのを今俺の口は欲してるからな」


「ほんとと味が辛い甘いとどっちもいけるのはなかなかだよね。普通はどっちかだし」


「刺激が強いのが好きなんだよ。多分味が濃いのが好きなんだろうな」


それから俺達はオーソルティーに向かって歩き始めた。昔はここの商店街もそれなり繁盛してたが、今は数えるくらいの店しか開いてなくて寂しいな。近くにスーパができた影響か。地元じゃないのになんで知っているんだと思うかもしれんが、昔この辺に住んでいたことがあるんだ。だから昔の商店街は知っている。


「ちょっと満満寺行かない?幼稚園の頃ここの近くで、ちょっと懐かしいし」


「そうだな、まぁ知ってる先生はいないから幼稚園の方には顔を出さないが、あの寺を久しぶりに見るのはいいかもな」


初詣はいっつも近く神社じゃなくて千葉神社でお参りしてるし。満満寺は国宝の金剛力士像があって文化的価値も高い。それに鎌倉時代に千葉氏がたてた寺だから千葉神社とも関係はあるしな。そんなことを考えながら歩いているとすぐに着いた。


俺達は寺内に入り、久しぶりの空気を感じた。やっぱりここは相性がいいな。霊気が綺麗だ。お墓にも悪霊はいないし、何よりその寺のでかさに久しぶりだから大きく感じる。観光スポット以外でこの大きさはあまりないんじゃないだろうか。


「うーんやっぱり空気がいいね」


「そうだなお参りしていくか?」


「折角だししていこうか」


俺達は賽銭箱にお金をいれて願った。俺は日向にもっと好かれますようにとお願いした。




 









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