第24話
看板をみると、今日は特別に入れます。是非総武高校のモデルとなった高校を楽しんでくださいという立て看板が置いてあった。やっぱり地域おこしって感じなんだな、今日のイベントは。千葉市も力をいれているんだろう。なかなか粋なことをしてくれる。折角だし入るか。
「奏入れるみたいだから入るぞ」
「そうね、折角だし特別棟に入りたいわ」
あそこは奉仕部があった場所か。うちの高校はぼろいからそういった特別な棟は存在しない。せいぜい部室棟があるくらいだ。奏の通っている渋渋にはありそうだが。まぁその分授業には力をいれていて、進学実績は高いんだが。東葛には敵わないが。それでも年に数人は東大はでるようになったが。昔を知っている人にはかなり快挙らしいが。
「それじゃ入るか」
俺達学校内に入った。すると予想より多くのコスプレイヤーがいた。コスプレしてるだけあってみんな美形だな。だがそんななかでもやはり奏は群を抜いて美少女だ。そりゃまぁ芸能人だしな。オーラーが違う。今は押さえていても周囲の視線を集めるくらいだ。
「お兄様、早く特別棟に行きたいわ。視線がうざったらしいし。何人かの男が話しかけようしてるわ」
話しかけられたら面倒だ。彼氏扱いされても周囲の人は引かないだろう。コスプレをしてる分イケメンだし。自分に自信を持っているタイプだろうしな。
「そうか、早くこの場を離れるか」
ちゃんとしたオタクなら対応するが。こいつらはなんちゃってオタクだからな。アニメみているイケメンって珍しくねって感じだろう。世界を見渡せばヨーロッパとかたくさんいそうだが。あいつら太ってなきゃ大体イケメンが多いし。まぁ日本人の感覚だけど。ヨーロッパの人がみたらまた違うんだろう。
俺達は気配を消して、この場を離れた。話しかけようとしてた男達は周囲をキョロキョロしている。これは陰業の術だ。隠れるときによく使える。
俺達は特別棟に着くと、中に入った。おおアニメのままだ。これが特別棟か。やっぱり実際に見るのと写真で見るのとは違うな。さすが聖地なだけはあって、ここに何があるとか説明されている。もし稲毛高校を受けれたなら、稲毛高校を受けていただろう。それだけの魅力が詰まっている。アニメのモデルの高校に通えるのは、楽しく感じるからな。
「それにしてもアニメのまんまね。あ、ここが奉仕部の部室らしいわ」
俺達は中に入った。おお、ここが奉仕部。実際に使われてないからアニメのまんまだな。特別棟自体あんまり使われてないらしいからな。そして席を自由に座ってくださいと書いてあったので、俺は八幡が座ってた席に座った。
「写真撮っていいかしら?」
「いいぞ、でもいいのか俺がいて」
「アニメの再現を見たいからいいのよ。後で私も撮ってちょうだい」
そう言って、奏は写真を何枚か撮った。いろんな角度からな。そしておれも奏が雪ノ下の座ってた席に座り本を読んでいるところだったりを写真に撮った。あとはいろは的なあざとい写真とかな。よく似合っていたけど。
「最後に全体写真を撮りましょう。誰かが来る前にね」
まぁここは有名だからな。すぐに人が来るだろう。むしろ今人がいない方な珍しいだろう。そして全体写真を撮ると、俺達は奉仕部の部室をでた。ちょうど次のコスプレーヤと通りすぎて、この時間にでてよかったと思った。なんか通りすぎたコスプレーヤー奏和見て悔しがっていたしな。まぁ一緒に写真を撮って、あわよくば連絡先を交換したかったのだろう。
「それで次はどこに行く?」
「八幡達のクラスに行きたいわ」
「それじゃそこ行くか」
俺達は特別棟を出て八幡達のクラスに向かった。クラスにつくと何人かが椅子に座ったり、頬杖をつきながら、思い思いに写真を撮っていた。ここには男はいないのでナンパをされる心配はない。そもそもコスプレーヤー自体男は少ないしな。コスプレだと過激なのが多い。それに男のオタクは撮られるより、撮る方が好きなやつが多いからな。
俺達も椅子に座って少し談笑をして、総武高校の生徒の気分を味わったあと、写真を撮り始めた。なかなかうまい感じに撮れたな。奏はこれを恐らくXに投稿するだろうな。その時一緒にいたのは誰と聞かれそうだが。正直に答えるのだろうか?今は兄でも嫉妬するやつが一定数いるからな。
「後で写真を送ってほしいわ。Xに投稿するから」
「いいぞ、兄妹ってことは伏せるのか?」
「そうね、要らぬ嫉妬を買いそうだし、何よりお兄様を知りたいという女子がでかねないわ」
まぁ美少女の兄ってなったらイケメンをイメージするからな。実際は血が繋がってないから、そこまで似てないが。一応親戚ではあるらしいがな。だから俺が家を継ぐこともそこまで批判されていない。
「実際に顔を出したら興味が失せそうだかな。まぁそれだも嫉妬した男に特定されかねないから顔出しは無理だが」
そんなことを話して、黒板を最後撮って、教室をでた。次は八幡が昼食を食べていた屋上である。海沿いだからいい風が吹いてそうだ。
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