第6話


「一豊くんって鈍感だよね~」


俺が日向の頭を撫でているとそんなことを言い出した。いや結構アピールしても気づかなかった日向には言われたくないんだが。俺のことを好きな女子なんて利奈くらいだろう。冬優花は和希が常に違う女子を侍らせているからこっちに来てるだけだし。好きな人いるって言っていたが、アピールしなくていいんだろうか?


「日向ほど鈍感じゃないかないが。日向告白してきたやつの何人が好意を持っていると気づいた?」


「んー四人くらい~?」


「告白した人数を確かめてみろ。明らかに日向の方が鈍感だろ」


「そうかもしれない~。でも一豊くんのことを好きな女子って下の学年にも二人、上の学年にも一人、同じ学年にも三人いるよ~」


え?そんなに俺ってモテてるの?まぁ日向以外興味を持っていないし。誰かなのかは別に気にならないが。女子とはそれなりに日向関連で関わっているが、誰だかは分からない。まぁ日向ほど思われてはないだろう。よく彼氏を変えてる奴らが好きになっている可能性もある。そのうち覚めるだろう。俺はそんなに魅力的な男じゃないからな。


「そうか。まぁそれは置いといて、日向はどれくらい和希にアピールできたんだ?」


「今日の部活帰りにデートをしてくるんだよ~」


青春だな。しかも部活帰りに帰れるのは、ある程度好意を持ってないとできないだろう。普通は同じ部活のマネージャー以外と帰るからな。やっぱ疲れてる時は気の置けない友達と帰る方が疲れはたまらないからな。まぁ俺は冬優花と帰ることもそれなりにあるが、大体は部員と帰っている。


「それはよかったな。俺の言った男が喜ぶのを実践してみてくれ」


本当はデートはしてほしくないから心がズキズキと痛むが。これも日向の幸せのためだ。我慢をしよう。和希なら日向を任せられる。丸井は無理だが。丸井は女癖が悪いという噂が流れてるからな。付き合っても幸せになれないだろう。和希ならモテるが不倫はしないからなそれに優しいし。


「分かったよ~。もう少しでお昼時間終わるね~。そろそろ教室戻ろうか~」


「そうするか、部活頑張れよ」


俺達はここで分かれた。午後の授業も頑張って部活行くか。俺は控え投手だからいつ投げることになってもいいように最善を尽くさないいけない。まぁエースになりたいが、まだ上の学年がいるからな厳しいだろう。しかも所沢先輩は強豪大学からオファーが来てるほどの投手だ。だからエースを取ることは厳しい。


教室に入ると、嫉妬視線を一身に浴びた。まぁ日向の手料理を食べれるとなるとそうなるか。まぁでも日向は和希が好きだからすぐにこういった視線はなくなるだろう。こういった視線を浴びるってことは日向の特別な証拠だから喜ぶべきだろう。席に座ると、冬優花が話しかけてきた。


「一豊は誰かと付き合う気ないの?日向は和希が好きなのに」


「付き合うことにならない限りないな。まぁそれも時間の問題だろうが」


「それじゃ誰かと付き合う気は出てくるんだ」


利奈以外にもいるらしいからな。一途で好きになってくれた人から選ぶ。まぁ付き合ったら努力もする。だけど恐らく当分は付き合ってもダメージがでかく付き合う気にならないだろうな。それだけ日向は俺にとって特別なんだ。俺も主人公みたいだったら変わっていたかもしれない。


「まぁな。ショックは受けるから少し経ってからだが」


その時にはもう俺のことを好きな人も飽きてるかもしれないがな。だから彼女ができるかは分からない。それだけイケメンがこの学校には多いからな。それでも和希がモテてるんだから主人公の力はすごい。


「そうなんだ、、、、それなら私にもまだチャンスはあるよね。日向が好きにならないうちにものにしないと」


「まぁ先のことだしな。今考えても仕方ないだろ」


「私にとっては今が一番勝負のときだけどね」


「何が勝負なのか分からないが頑張れよ」


マネージャのキャプテンポディションか。あれはルックスとリーダーシップが求められるから大変だから今が勝負っていうのも分かる。マネージャーのキャプテンになった女子はもれなく野球部のレギュラーと付き合えるというジンクスがあるからそのポディションはみんな狙っている。だから競争率は高いのだ。


そんなことを話していると、先生が入ってきて授業が始まった。日本史の授業だ。いつも通りコスプレをして入ってくる。平安時代の束帯なコスプレだ。上品さがでていてなかなか似合っている。先生はコスプレによって雰囲気が変わるという俳優顔負けなの演技力がある。


「それじゃ始めるぞ」


それから授業が始まっていき、品格のある話し方で落ち着いていて聞きやすかった。それから授業は進み終わった。6限目も終わり、部活の準備をする。


「ふぅーやっと終わったね」


「そうだな、早くボールを投げたい。今日は朝から体が軽いんだよ」


今日なら今までで一番早い球を投げれる気がする。できればこの状態を夏まで続けたいが。そうすれば甲子園も夢じゃない。


「あんまり無理しないようにねぇー。夏の大会もう少しなんだから」


「分かってるよ。あんまり投げすぎることはないようにするさ」


それから用意を終えて、俺と冬優花は部活に向かった。



 










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