第16話

すると冬優花がニコニコしながら近づいてきた。何か良いことでもあったんだろうか?好きな人と話したとか?そういえば日向は部活気まずくなっていないだろうか。振られてすぐにその相手といるなんてなかなかきついだろう。問題はこれぞっとばっかしに近づいて来る男と嫌がらせをする女子だろう。まぁその辺は俺が警戒しておく。


「よくレギュラーに勝てたね。しかもあの配球を読んでいる所の顔カッコよすぎだよ。思わずニヤニヤしちゃったよ」


要するに俺の顔を見て機嫌をよくしたのか。何か恥ずかしいな。だからなんか試合中たまに視線を感じるのか。あれカッコ良いと思って見てたのか。俺にもモテ期が来たのか?まぁ正直中学の頃にモテていたら反応は違ったかもしれないが、今は日向が好きだから特にモテたいとも思わない。日向が好きになってくれればそれで良い。


「あんまりニヤニヤするなよ。危うく通報されちゃうぞ」


これは俺の実体験だ。あまりにもねるの足が素晴らしくて、にやけていたら、いつまにか警察官が来ていた。しかも犯罪もうすでに犯すだろうと言う前提でな。


「それは一豊だからだと思うよ。一豊がニヤニヤすると、何か企んでいる犯罪者みたいに見えるから」


なにそれショック。それ気持ち悪いってことじゃん。これでもそこそこイケメンだと思っていたんだが。やっぱりイケメンなんだと思っているのは勘違いだったのか?でも真剣に考えていたらカッコいいと言われたし、いやギャップ萌え的な感じかもしれないか。


「実際に言葉にされると傷つくな」  


「まぁ気持ち悪いときとかよくあるけど、やるときはやるって知っているからね。そこが良いんだよ。ギャップがあってそれが魅力なんだよ」


やっぱり普段から気持ち悪いことが多いのか。まぁねるをよく見てニヤニヤしてるしな。学校にねる関連の持ってくるのやめるか。ニヤニヤしてるのは主にそれが原因だし。


「そうか、あんまりねるの雑誌を持ってこないようにするわ」


「その方がいいかもね。それで今日の練習はこれで終わり?」


「そうだな、軽くアップして終わりだな。テストも近いしな」


うちは学年順位によって受ける大学を相談するから定期テストでもガチで高得点を取りに行く。三年生なら尚更だろう。まぁたまにしたの順位でも難関大学行きたいって言って難関大学受験して、受かる人もいるが。大体のやつは勉強する習慣がついたやつがそれ相応のところを受ける。


「数学やだなぁー」


「それは同感だ。でもいづれ乗り越えなきないけない壁なんだよなぁー」


フランス語である程度余裕を持てるって言っても、数学は最低でも20点は取らないといけない。共通テストもあるしやることは盛りだくさんだ。だが今はまだ二年だから大丈夫だ。赤点を取らない程度に勉強しておこう。数学は夏休みに集中してやる。


「東大だもんね。数学共通テストでも二次でもでるし」


「二次に関してはフランス語で得点とってどうにかするが、共通テストがなぁー。8割は最低でも取らなきゃいけないし。難易度高い」


過去問を解きまくればなんとかならないかねぇー。公式を理解すればそこまで難しい問題はでないんだが。その公式が意味不明だからな。何でこうなったらこうなるとかわけわからん。


「数学で八割は厳しいね。私は私大文系だから関係ないけど」


六大学でやれる自信はあるが、やっぱり東大で優勝したいからな、何としてでも受かりたい。対策をしまくるしかないだろう。


「俺は東大しか受けんからな。何としても数学を最低合格レベルまではあげないとな。それじゃアップしてくるわ」


俺そう言ってグラウンドに向かうと、冬優花もついてきた。たぶんストレッチの手伝いをしてくれるのだろう。たまにやってもらってるからな。


「ストレッチ手伝うよ。体はよくほぐさないといけないしね」


「助かる一人だと限界の少し手前ぐらいしかいかないからな」


俺は軽くランニングでグラウンドを軽く回った。その後冬優花に軽く背中を押してもらったり、腕を伸ばしてくれたりした。いつも思うが女子に触れられるって緊張するな。だからボディタッチの多い冬優花には触れられるとドキドキしている。


「ん。終わったみたいだね」

 

「お陰でかなりほぐれたわ。ありがとな」


「マネージャとして選手を支えるのが仕事だしね。まぁこんなことするの一豊だけだけど。他の人にやったら勘違いされるし」


美少女にここまで献身的にされたらそりゃ勘違いするよな。俺は日向が好きだから勘違いしないが。好きな人がいなかったら勘違いしてたかもな。


「まぁ冬優花は可愛いからな。学校じゃ日向に次ぐ美少女だと思うし」


すると冬優花はほほを赤く染めた。そして手のひらをほほに当ててニヤニヤした。美少女がニヤニヤしていてもキモく思えないのは不思議だ。


「ふふ、可愛いっていわれちゃった。嬉しいよ♪」


「事実を言ったまでだ。アイドルにだってなれるだろうな」


すると冬優花は俺の手をつかみ心臓に寄せた。

すごいドキドキしてるんだが。そんなにドキドキすることあったか?


「こんなにドキドキキュンキュンしてるよ。やっぱり私は諦めない」


「そうか、なにかは知らないがまぁ頑張れ」


そして手を離すと、にっこりと微笑んだ。思わずキュンとした。まさか俺が日向とねる以外でキュンとするときが来るとは。思いもよらなかったわ。そうしてストレッチが終わり互いに帰る用意をして、学校を出た。今日は日向が心配だから俺は日向と帰ることにした。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る