第12話

やがて冬優花も食べ終わると、手の平に顎をおいていた。なにそれ萌える。冬優花はあざとさが一切ないからこれをやっても天然の可愛さを感じる。まぁ美少女ってのもあるだろうが。特に美味しいものを食べてるときの笑顔は最高だ。


現に周りの奴らは冬優花のことを見て顔を赤くしている。俺もあまりこういったシチュエーションにはならないから萌えたりするのだ。 

 

「一豊くんと日向ちゃんの出会いってどんな感じだったの?」


「日向って声がアニメ声だろ?だからあざといと小学生の頃女子からいじめられて、男は好意を持ってるやつもいたが、助けるとどうなるか分からなかったから助けなかったんだよ。それでいじめてた所をたまたま見た俺が証拠を取っていじめるならばらすぞと脅して、週刊誌に出すぞと言ったら止まったんだよ。議員の子供だから世間体があるからな。それからいじめはなくなったが、俺も避けられるようになって、一緒に遊ぶようになって仲良くなった感じだ」


あの時日向を助けて正解だったと今は思う。じゃなきゃ大切な幼馴染みになれなかっただろうからな。そして天子みたいにあの笑顔を見せることもなかっただろう。まさしく日向に出会えたのは運命とゆっても過言じゃない。それにチャンスはまだあるし。


「ふぅーんそうなんだ。確かにあの声はあざといと思われても仕方ないかもね。いじめるのは論外だけど。でもそれなら今回の告白は結構危ないんじゃない?」


「そうなんだよなぁー。振られたことによって特別視されていた日向がいじめられる可能性はある」


まぁなんとしても守るが。振った側の和希は動けないだろう。むしろ動いたら悪化する可能性するある。振っても大切に思われていると。できるだけ側にいるか。


「まぁ私も観察しておくよ」


そう言うと、休み時間が終わった。とりあえず目下は丸井を警戒することだな。なにか企んでそうだし。今回の振ったことに関してもなにか知ってるような気がする。じゃないと噂の早まり具合が早すぎる。日向のことだ誰もいない場所を選んでいるはずだ。それなのに広がった。そして朝から接触してきた丸井は怪しすぎる。


俺達はそれぞれ授業の準備をして、日本史の先生が入ってくるのを待つ。日本史の先生は思想を押し付ける先生もいるが、この先生は押し付けてこないから好きだ。それに授業もコスプレをしたり毒舌になったりして面白いしな。大化の改新は革命だというところは他の歴史的事件と違うって言ってるから面白い。


そして、コスプレをした宗村先生が入ってきた。今日は平安時代の貴族の束帯か、元俳優なだけあって雰囲気まで貴族風だ。しゃべり方も違うのだろうか?


「それじゃ始めるよ。まず藤原氏が力を持った事件を言ってください。一豊くんお願いします」


「承和の変と応天門の変と阿衡の紛議と昌泰の変と安なの変です」


「完璧です。それではこれから詳しく説明いたします」


それからなんでこの事件が起こったのかと、その後の結果どうなったかと皮肉を言って毒舌になりながら授業は進んでいった。まだ習ってないのに俺が答えられたのを疑問に思うやつもいるだろう。俺は日本史は高1の時に一通り終わらせたのだ。やってると楽しくて仕方ないからな。本来寝ててもいいんだが、宗村先生の授業は面白いから聞いている。


そして授業が終わり、俺は教科書を閉めた。次は国語か。しかも漢文だな。そこまで得意じゃないから真面目に授業を受けよう。そう思って授業を受けて、6限目も終わり放課後になった。そして俺は部活の用意をする。冬優花もマネージャーだから俺が準備するのを待っている。準備を終えると、俺達はグラウンドに向かった。


「一豊ってエース目指さないの?」


「今の先輩の代は強いし、絶対的エースの向井先輩がいるしな。俺じゃ無理だ。あの人はプロでもやってけるレベルだしな。だが俺たちの代になったら目指すぞ。甲子園目指すならやっぱりエースで投げたいからな」


今の先輩の代は過去最高に強いと言っても過言じゃない。それだけ攻守のレベルが高い。特に投手陣は皆推薦が来るレベルだ。1番甲子園に近い代で、今年ダメだったら甲子園は無理だろう。だから監督もかなり本気になっている。俺も甲子園で投げてみたいから粉骨砕身の精神でいく。


「まぁ今年は強いって野球の雑誌ても一面飾ってたしね。おまけにイケメンが多いからそっち方面ても女子から注目を浴びてるみたいだね」


「まぁそんな簡単に振り向かないと思うがな。大体が野球にかけてるし。それに冬優花だって美少女マネージャーって話題になっているだろ」


「はぁーそのせいで他校の野球部から告白や紹介してということが多いらしいのよ」


これで甲子園にでもいったらタレントになれそうだよな。まぁならないだろうけど。マネージャーに誇りを感じてるっぽいし。中途半端は嫌いそうだしな。


「そりゃご苦労なことで」


損なことを話してるとグラウンドに着いたのでそこで別れ部室に向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る