第34話

俺は密教なんかは研究したが、神道はあまり研究してないので、興味がある。密教は陰陽道に組み込まれているからたくさんの書籍が家にある。まぁ神道も組み込まれているが、そこまで多くない。神道は基本的に儀式が多いからな。陰陽道は呪術や占星術を重視してるし。


「お兄様神道というものはやはり呪術はないのかしら?」

 

「いやあるとは思うぞ。少ないと思うが」


神道でも土御門神道とか、陰陽道に関係ある神道はあるだろうしな。千葉神社の神道も陰陽師がお参りに来るからありそうだしな。そもそも昔から土御門と交流があったから普通にあるだろう。


呪術は宗教によって多岐にわたる。魔術なんかは魔方陣が主だ。呪術は符を使う。まぁ魔術は見たことないけど、来月フランスで父さん達の昔からの知り合いが魔術省長官になったらしいからフランスに行って祝うらしい。そのときに魔術も見せてくれるのだとか。だから前もって調べられる範囲で調べた。どれも興味を持てるような内容だった。


そんなことを考えてると凜が御幣を持ってきた。近くで見ると神々しいさを感じる。恐らく長年使ってきたものなんだろう。御幣自体に霊気が宿っている。神様に近い霊気が。まぁ媒介してる道具だからそうなるんだろうな。


「それじゃやるわよ」


俺達は正座して本殿の前で頭を下げた。すると凜は本殿の前で祝詞を唱えた。言葉は昔の言葉を使ってるから不思議に感じだ。呪術も昔の言葉を使うが、元となっている言葉が中国に由来する言葉だから神道とはまた違う。呪術はいろんなものが混ざってるが、基本的なものは密教とか道教だからな。


やがて祝詞を唱え終わると、俺たちのほうを向いて、御幣を左右に振った。恐らくこれがお払いだろう。それにしても神々しい霊気が俺達に注いでいるな。これが守るってやつだろうか。周りの霊気も神々しい霊気になる。ここまでできるやつはそんなにいないだろう。修行してるだけあるな。凜の力は本物だ。


「終わったわよ」


俺は自分のからだの周りの霊気を見る。俺達の霊気には神々しい霊気が守るように重なっている。これが神様が守るってことか。凜は神々しい霊気を放っている。神社でお祓いをすると、凜本人にもこれだけの神様の霊気がつくのか。陰陽道だと、本人の霊気がでてくるが、神道だと神様の霊気がでるらしいな。


「これはすごいな。神様を感じる」


「これが神道よ。まぁこれが分かる人はあまりいないんだけど」


そりゃそうだよな。霊気を視える人自体がそんなに多くない。神様の霊気を感じれる人はさらに少ない。幽霊視えるのとは訳が違うからな。ある程度視える人がさらにそれを磨いて見えるかどうかだからな。陰陽師はみんな視えるが。視たことある人はそんなに多くないだろう。陰陽師は神様に頼まなくてもある程度のことならできちゃうからな。


「これはなかなか面白いものが見えたわね。これが本当に神様が守るってことなのかしら」


奏は自分の周りの霊気を視てそう感想をこぼす。神道も侮れないな。ちょっと陰陽師のための図書館行って学んでくるか。あそこなら神道の本もたくさんあるだろう。コピーだがな。まぁ実際の書籍は神社に保管されてるから仕方ない。個人で持っている訳じゃないからな。神社が次の神主に伝承していくためにおいてあるからな。陰陽師は陰陽寮で使われていたやつを書籍に残して個人で持っているだけだから、神社とは違う。まぁ歴史のある名家は家で継承する呪術本もあるが。土御門家にも結構ある。その書籍は外には漏らさないという決まりがある。


「そうだろうな。今なら強力な呪術も使えそうだ。神様と一体になった気がしてな」


陰陽道は基本自分の霊気で呪術を使うが。神道や道教や仏教には神様や仏と一体となって呪術を使うものもある。その破壊力はすさまじいらしい。土御門家に伝わる伝記に書いてあった。


「神道はすごいわ。神様の霊気を使えるんですもの」


「まぁ一時的だけど。結局は個人の霊気が高くなきゃ呪術戦や強力な怨霊と戦うのは無理よ」


「でも数発なら相当レベルの高い呪術を使えるんだろ?」


例えば仏や神様が使ったとされる呪術とかな。一時的でもそれを使えれば大体のやつは一発で終わるだろう。まぁ強力な怨霊は倒せるか分からないが。


「そうね。一応何個かは習得してるわよ」


充分だろそれだけできれば。そうそう神様の一撃で倒せない怨霊はいない。陰陽道全盛期に色々な怨霊や妖怪は退治されたり封印されていて、現代じゃ実在したかどうかすら怪しいと世間は思っている。まぁそれだけ科学が発展したからだろうけど。だからほとんどのことは科学で証明されて、証明されてないことは嘘だと思われている。それが現代の考えだ。


「神級レベルの一発が出せればほとんど問題ないだろ」


「そうね、私達じゃできない一撃を放てるんだから充分よ」


「まぁそうかもしれないわ」


俺達はそれからどいう呪術が使えるのかを凜に聞いていた。町を一個滅ぼせる一撃があることを知ったときは驚いた。かなり霊力を消費するらしいが。









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