第43話

「来たぞー俺が秋葉に」

 

「テンション高いね。いつもこんな感じなの?」


日向は呆れてるような引いてるような感じになっている。そして残念なものを見るような目になっている。秋葉に来たらテンション上がるのがオタクってもんだろ。これはオタクのいろはを教えないとな。オタクと言うものは聖地って言う言葉に弱いのだ。千葉県も数々のアニメの聖地になっているからアニメを知ったときは興奮したものだ。


「まぁなオタクなんて大体秋葉って聞くと興奮するもんだぞ。だから俺を知るならオタクのことも知る必要があるな。だからアニメとアイドルの素晴らしさを今日俺が教える」


「お願いね。まぁあんまりガッツリは無理だからね」


「その辺は弁えているから大丈夫だ」

 

いきなりオタクトークをしても引かれるだけだからな。ライトなことからした方がいい。好みを理解してくれるからってガンガンオタクトークをオタクはしがちだが、それは悪手だ。なるべくオタク要素が少ないところから話をすべきだ。


「それじゃ行こっか。まずどこ行く?」


「とりあえずアイドルショップだな。櫻坂のCDも置いてあるし、アイドルを知るにはあそこがいいだろうしな」


アイドルを推すのも俺の趣味だ。ねるとかるんとか声が天使なんだよな。あれくらいの天使はそうはいない。日向は目を細めた。


「ガチ恋はしてないよね?もししてるなら私が芸能界に入って裏の顔をつかんで近づけないようにするけど」


あの天使達に裏の顔なんてないと思うが。あったら日向は躊躇いもせずに潰しにいくだろうな。だから日向にガチ恋はしてないように言わないとな。テレビからねるとるんがいなくなるのは寂しいし、ファンなのにそれを潰すきっかけは作りたくない。


「ガチ恋はしてないぞ。別に好きな人いるからな」


「好きな人?スキナヒト?スキナヒト?ダメダメカズトヨクンはダレニモワタサナイ。タトエアイドルデモ。ネェオシエテスキナヒト」


日向完全にヤンデレ化してるよな。まぁそれだけ愛されてるってことだから嬉しいが。だがここで発言を間違えるとバットエンドまっしぐらだ。改めて義弘のすごさが分かったわ。あいついつもヤンデレを相手してるのに未だに監禁されたことないんだからな。悠香のヤンデレ具合なら一回はありそうなものだが。


「それは言えないが、少なくとも日向が納得するやつだぞ」


日向が好きだなんて、日向本人には言えないからな。気まずくなってしまう。日向は私の知ってる人か。それならつけて潰すしかないよねと言っているが、安心しろそうはならないから。いつかは告白する日が来るからそのときまで待っていてくれ。


「私は誰だろうと納得はしないよ!一豊くんはダレニモワタサナイ」


「大丈夫だいづれ分かる。それよりせっかく秋葉に来たんだ楽しもうぜ」


「そうかもしれないね。誰かも分からない人に起こっても仕方ないからね。、、、、いづれ潰すけどねふふふふ」

 

まずはアイドルショップに行くか。周囲の目が気になるが。まぁもうすでにかなりのやつに見られているから今更だが。それにしても女子も多くなったものだな。まぁ大体の女子が二人以上だが。まぁ一人だとアニメイトとかに入った瞬間ナンパをされるから正解だがな。オタクを狙ったナンパ師も多いし。


「そろそろ行くぞ。そんな怪しい笑みを浮かべてないで」


「そうだね。先のことを考えるより、今楽しまなきゃ損だよね」


先ってなんのこと考えてたやら。楽しんでくれるなら先のことは後回しにしよう。義弘ならなに感づきそうだけど。あいつはヤンデレの幼馴染みと長いこと一緒にいたからな。俺はヤンデレの考えを察しろとか無理だ。経験が違が過ぎる。それに奏にも言われる通り鈍いしな。まぁ日向が俺のことを好きじゃないのは確かだろうが。


俺達はアイドルショップに向かって、歩きだした。まさかアイドルに出会うとは知らないで。


「それで一豊くんは誰が推しなの?」


「るんだな。あれは天使すぎる」


「へぇー参考までにどこが好きなのかな?」


「まずは声だな。あの可愛い声は体に染み渡る。そして優しいところだ。あとはあのんふふと言う笑い声だな。あれはキュン死しそうになったわ」


「声だったら私の声も可愛いかな?」


「日向の声はねるに似て可愛いな」


これは事実だ。目を閉じたらどっちの声か分からないからな。ねるはヤンデレにはならなそうだが。あと美海さんにも似てるよな。声優とかやってみたら向いてそうだ。


「ふふ可愛いって言われちゃった」


ヤバいほほを赤くして照れてる姿めっちゃきゅんきゅんするんだが。これが天使か。日向はやっぱりトップクラスの可愛さだな。通りすぎる人皆日向を見てるし。まぁ誰にも日向はナンパさせないが。秋葉なら今の俺はイケメンなほうだろう。


「一豊くん守ってね」


「日向には指一本振れさせねーよ。お、着いたみたいだな」


「へぇーもっと大きいビルかと思ったけど、意外にこじんまりしてるんだね」


「坂道グループの唯一専門的に扱ってる店だが、そこまで大きくないな。もっと大きくても問題ないと思うがな」


他に競う会社はないし。アイドル好きにもここは知名度が高い。秋葉という最高の立地にもあるし。そう思いながら俺達はエレベータに乗りアイドルショップを目指した。












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