一人目
四方木 梓:「6時になったら突入しろ」
火茂瀬 真斗:「了解しました」
梓さんからの指示を聞いて電話を切る。
指紋が一致し、パーキングエリアの防犯カメラに一部始終が映っていたので、藤川を含む4人の逮捕状が発布された。
一週間の張り込みと、部下達の情報収集のお陰で3人の行動パターンが分かった。
行動時間も把握している。
午前6時は茶髪男の真南眞一郎が仕事のために家を出る5分前の時間だった。
今日は火曜日で仕事は休みではない。
確実に家に居る時間なのだ。
左腕につけた腕時計の秒針を見つめる。
15秒前……14……13……
殺してばかりで逮捕するのは久しぶりだ。
火茂瀬 真斗:「ふぅ……」
深呼吸をして高鳴る鼓動を抑える。
俺の背後には数十人の部下が居て、彼らは 逮捕のプロだ。
9……8……7……
何も心配は要らない。
6……5……4……
玄関に向かう。
――3
――2
――1
長針と秒針が12で重なる。
アパートの玄関チャイムを押す。
真南 眞一郎:「はぁーい」
怠そうな声が開く玄関の隙間から漏れてくる。
真南 眞一郎:「え」
玄関を開けて俺たちの姿を見た真南は目玉が飛び出そうなくらい目を開く。
咄嗟に閉めようとした玄関扉を掴んで阻止する。
火茂瀬 真斗:「真南眞一郎さんですね?」
真南 眞一郎:「え……ぁ……」
真南の心臓の音が聞こえてきそうだ。
肩で息をしている。
火茂瀬 真斗:「貴方に逮捕状が出ています」
目を泳がせている真南の前に逮捕状を晒す。
真南は逮捕状に並ぶ文字に目を走らせた。
自分の名前や身に覚えのある内容に、顔がみるみる青ざめていく。
真南 眞一郎:「ぉれ……し、知らない……俺は何も知らないッ!」
ドアノブから手を離した真南は家の中へ逃げようとした。
俺は捕まえようと手を伸ばす。
真南 眞一郎:「さ、触るなッ! ホモ!!」
火茂瀬 真斗:「え……」
伸ばした手が止まる。
部下がざわつくのを背中で感じた。
真南 眞一郎:「俺見たぞッ。あんた、車の中で」
火茂瀬 真斗:「うっせー! 俺はホモじゃなァァァァい!!!」
※文字数が少ないので本日はもう一話公開しております。
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