永久に
萌が生きているのか死んでいるのか分からない状況で、僕は理性が狂い、萌に似ている女性が被害者になった時、殺人犯を殺すようになった。
そうすることで萌の復讐をしていると、僕自身に錯覚させていた。
火茂瀬と行動するようになった僕は霊感を手に入れ、見えなかった情報を知ることが出来るようになり、萌と再会することができた。
だが、萌は僕の目の前で、自分の命と引き換えに交代人格であるヒツキを殺し、僕達を守ったのだ。
僕は萌の為に最期まで何もしてあげられなかった。
四方木 梓:「萌、会いに来たよ」
頬にガーゼを貼った僕は山梨に来ていた。
もちろん、墓参りだ。
萌の墓は空っぽではなくなったのだ。
四方木 梓:「今頃になっちゃったけど、これを書きに来たんだ」
僕は墓石に話しかけながら、胸ポケットから折りたたんだ紙を取り出した。
それは今朝、役所で貰った婚姻届。
本当は2人で役所に取りに行って、2人で出しに行こうと思っていた物だ。
四方木 梓:「僕の名前も萌の名前も書いて、印鑑も押してある。けど、萌の印鑑は萌に押してほしいんだ」
霊感を持つようになっても、ここに 萌の気配は感じられなかった。
ただ 墓の周りが温かい気がするのは、手に入れた霊感のお陰なのかもしれない。
中で眠っているのだろうか。
四方木 梓:「萌、待っててね」
僕は地面に腰を下ろし、萌の墓石に寄り掛かる。
萌に寄り掛かっている様な気がする。
ゆっくりと内ポケットから 血がこびり付いた拳銃を取り出した。
これはヒツキが所持していた物で、 ヒツキを殺した物でもあるが、萌の命を奪った物でもある。
僕は婚姻届を握り締め、 拳銃が逆さまになる様に銃口を喉に向ける。
萌の命と引き換えになった、僕の命。
粗末にするわけにはいかないと考えたが、 萌の居ないこの世に生きる意味などもう無かった。
四方木 梓:「萌、愛してるよ……」
僕は萌と永遠に一緒になる為にトリガーを引いた。
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