第41話 湖畔のアバンチュール

 俺がメタミン村で功績を上げたのがよほど悔しかったらしい。体のいい厄介払いでバカンスという休みをもらってしまった。


「ノ……ノルドさま……似合ってますか?」


 気高くはあるものの、どちらかと言うと控え目なエリーゼは恥ずかしそうに俺のまえで恵体を披露していた。


 性格こそ控え目だが、身体の自己主張はすさまじい……。


 実りに実ったたわわはビキニからこぼれ落ちそうになっており、思わず息をごくりと飲み込んでしまう。


 メイナもすごかったが、エリーゼはそれを凌いでしまっていた。


 なにを食ったら、こんな乳モンスターができてしまうのか知りたい。


 こんな美巨乳を見せつけられたら、ノルドがやたらとエリーゼの乳房ばかり揉んだり吸ったりして執着していた気持ちも分からなくはない。


 俺たちはヴィランス公爵領にあるリゾート地、モコ湖まで来ていのだが、満々と水をたたえる湖の水面に陽の光が照らされ、キラキラと輝いていたが、エリーゼの透き通るような白い肌のまえでは水面の輝きさえも霞んでしまう。


 木々で覆われた湖畔のビーチには俺たち二人だけしかおらず、さすが領主特権といったところだ。さっきまでメイナたちがいたんだが、いつの間にか姿が見えなくなってしまっていた。


 向こう岸に見える青々と繁った初夏の新緑の萌えも、エリーゼの弾けるような瑞々しさに比べれば、大したことのないように思えてくる。


 芸術の範疇を逸脱し、エロすぎる聖女をまえに俺はベンチに腰かけ、ロダンの『考える人』のようにうなだれてしまう。


 そうエリーゼに悟られてはいけないからだ。


「ワルドさまはどうしてノルドさまに徴税の請負などさせたのでしょうか?」


「それか……従者たちが俺を持ち上げ始めてきて、それを警戒したんだろう。俺の評判を落としたいがためにやらせたことがあいつにとって裏目にでた。ジョンの摂政といっても、ああ見えて、あいつは小心者だ」


 俺の言葉を聞いたエリーゼは泣き出しそうな目をして押し黙る。


 領地経営が上手くいかず、一家離散したマグダリア家だが家族仲は良好。


 一方、ヴィランス家は臣下最高位の摂政に昇りつめたが、親子関係は最悪と言えた。


 『成勇』では、ロータスが幼王ジョンにワルドなど奸臣を近づけないようにしていたが、ワルドに命じられてノルドがロータスを暗殺したことから、アッカーセン王国は転げ落ちるように滅びの道へ進んでいくんだよな……。


 いい大人だった俺が若いノルドに転成して、ワルドに反発するのは大人気ないんだが、ワルドが俺の転生まえの親父に似ていて、ノルドの気持ちはいたいほどによく分かる。


 聖女のように慈愛に満ちたエリーゼからすれば、俺と両親の関係が心配でならないのだろう。


「別にエリーゼが気にすることじゃない。無事学院を卒業できた暁には、おまえをちゃんと親許に帰れるよう取り計らってやる。おまえはおまえが真に愛する男結ばれるべきだからな」


 いまは金がないから俺の下でメイドなんかしているが生活が安定すれば、卒業する頃には勇者の力に覚醒したケインの下へ走ることだろう。


「帰りません……」

「なにを言ってるんだ。もう詰まらない演技はするな。俺はぜんぶ分かっている」

「演技?」


「おまえはケインと結託して、俺をはめようとしてるんだろ?」

「いいえ、私はむしろノルドさまにはめて欲しいというか……」


 ぽっ♡ といった感じで頬を赤らめ、急にもじもじしだすエリーゼ……。これ以上追及してもややこしくなるだけなので諦める。


 水着に大きな麦わら帽子をかぶったエリーゼは周辺を一望して感嘆の声を漏らす。


「ノルドさまの領内は本当に豊かですね。マグダリアにはこんなに風光明媚なところはありませんでしたから……」

「ははは! このようなもの仮初めの繁栄にすぎん」


「そんなことありません! 私の両親は領民を慈しもうと思った結果があのようなことになりましたので……」

「そうだな。マグダリア伯爵はもう少し上手く立ち回るべきだった」


「ノルドさま……」


 ぼそりとつぶやくようにマグダリア伯爵を気遣うような言葉を吐くとエリーゼは泣き出しそうになるのを必死にこらえているようだった。


「神聖同盟の盟主であったマグダリア伯爵の失脚について調べさせてはいるが、結論が出るまではもう少し時間がかかる」

「お気遣い、ありがとうございます」


 エリーゼはぴたりと柔肌を寄せてくる。


「別におまえのためだけにやってるわけじゃない……」


 そう答えるだけで俺は精いっぱいだった。


 俺がエリーゼに殺されない未来のために……。


 少し沈んだ表情をしていたようでエリーゼが俺を気遣い声をかけてくれる。


「あのノルドさま……いっしょに泳ぎませんか?」

「いや、ここでもう少し考え事したい。俺のことは気にするな。勝手に遊んでこい」

「はい……」


 俺といっしょに泳げないことが残念だったのか、いつも微笑みを湛える彼女の表情に少し影が落ちたが、やはり年相応で遊びたかったのだろう。気を取り直してくれたようで砂浜を駆けて、湖へと向かっていった。


 実は俺はエリーゼがビキニ姿で砂浜を走るところが見たかった!


 瑞々しい肌にばいんばいん揺れるおっぱい、弾けるような笑顔で走り回る姿にそんじょそこらのグラビアアイドルなんて、比べてはいけない存在だった。



 まさにエロ聖女さま!!!

 


 はしゃぐエリーゼに心はほっこり、股間はもっこりさせながら、バカンスを堪能していたが、湖で泳いでいた彼女が手を上げ、なにやらSOSを送ってきているようだった。


 ベンチから飛び起き、湖へ寄ると……彼女は困ったような顔して一向に湖から出てこようとしない。


「ノ……ノルドさま……水着が流されちゃいました……」

「本当に世話の焼ける奴だ。俺が取ってきてやる。どこにあるんだ?」


 エリーゼはパパッと二ヶ所を指差した。


「両方だと!?」


 顔を真っ赤にして、エリーゼは無言でこくりと頷く。


 しっかりしてる娘だと思っていたが、案外ドジっ子だったみたいだ。


 いや待てよ……いまエリーゼは一糸纏わぬ姿!?


 俺が湖へ入ろうと水際へゆくとエリーゼはなにを思ったのか手ブラ手パン状態で身体をくねくねさせながら、俺の下へ向かってくる。なんだか足が生えたてで、上手く歩けない人魚姫みたいな印象だ。


「待て待て! 全裸で浜にあがってくるんじゃない!」


 浜だけにはまぐりが見えてしまうじゃないか!


 もしかして、俺を誘惑するために、このばるんばるん1メートル近いバストを揺らしなから、全裸で俺に迫ってきているのか?


 俺が訝しんでいる間にもエリーゼは俺に抱きついてきて、


「怖かったです……」

「いや別に魔物が水中に潜んでいたわけじゃないだろう……」

「はい……ですが怖かったんです……」


 実にけしからんドすけべ聖女を砂浜に砂風呂よろしく埋めて隠しておいた。


 ぷかぷかと湖に浮かぶビキニのセットを確保した。この薄布がエリーゼのおぱいと具を包みこんでいるのか、そう思うだけで興奮を覚えてしまう。


 回収し終え、エリーゼへ返したころだ。


「お兄しゃまぁぁぁぁ~!!!」


 マリィがお子さま水着に身を包み、走り込んでくる。


 見た目はどっからどう見てもスク水……。


「マリィさま、そんな急ぐと転んじゃいますよ」

「大丈夫なのら~!」


 マリィはゆっくり歩くメイナさんに手を振っていた。だがそのときたった。


 マリィを心配したメイナさんはなにもないのに腰が抜けたようにストンと砂浜に座りこんでしまう。


「メイナ!」

「メイナさん!」

「メイナお母しゃん!」


 すぐに駆け寄り、彼女を抱きかかえると……、


 くそっ!


「凄い熱だ……」


 服のうえからでも発熱が分かってしまうくらいだった。


―――――――――あとがき――――――――――

腐っても性女もとい聖女(候補)エリーゼがいますからね。病気なんてサクサクっと治してしまうかもしれないんですが、エリーゼとメイナはノルドを巡る恋敵(?)同士。

ノルドの股間がただで済むわけがありませんw


作者、性懲りもなく冷やし中華みたいに新連載を始めました。


【ネトラレうれしい! 許婚のモラハラ幼馴染が寝取られたけど、間男の告白を蹴った美少女たちが、俺と幼馴染が別れた途端に恋心を露わにしてくるんだが。】


脳死しない笑えるNTRざまぁラブコメですので読んでいただけるとうれしいです!


表紙リンク↓

https://kakuyomu.jp/works/16817330667920018002

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る