第32話 ウザい聖剣

「えーーーっ!? 二人ともまだえっちしてないの? 若いのに? おかしいでしょ、美男美女で精力満天原サ□メなのに」


 おまえ……ぜったいANYC○LORから怒られるぞ。


「まんてんばらサ□メ?」


 ほらほら、現地人のエリーゼが食いついてきてしまったじゃないか!


「エリーゼちゃん、V Tuberって知ってる?」

「ぶいちゅーばー? なんですか、それ……」

幼気いたいけな娘に余計なことは教えなくていい!」


 メタ発言を繰り返す聖剣の精をヘッドロックで固め、拳の角をこめかみに強く押し当て、尋問した。


「いだい、いだい、いだいったら!」

「おまえは本当に異世界人なのかよ!」

「人じゃないもん。精霊だもん」

「こいつは!」


 エックスはフヒューっと口を尖らせて、俺に口答えする。


 正直しばきてー!


「とにかくそのメタ発言を止めておけ。エリーゼが混乱する」

「あれれ? 彼女面すんなとか言ってたくせにノルドも意外と彼女に惚れてたりして、ワラ」


「おまえを【地獄の業火ヘルファイア】でオリハルコンの固まりに戻してやってもいいんだぞ」


 俺は片手に黒く燃える炎を出して、茶化してくるエックスを脅した。


「ひぃぃぃーーーっ、だめだって! せっかく生を受け、200年も封印されて娑婆の空気吸えると思ったのに溶かされるとか、この鬼畜、粗ちん、早漏、種なし!」


 マジでこいつを溶かして、辱めのためにオリハルコンのディルドーに変えてやろうかと思った。


「もういい……おまえはもうしゃべるな。【静寂サイレンス】」

「むぐーっ! むぐーっ!」


 俺はエックスの口周りの頬を掴んで、暗黒魔導で黙らせた。


 まったく歩く猥談かよ……。


「ノルドさまはそうなんですか?」

「そうなのか、とは?」

「あの、その種がないとか……」

「そんなわけがあるか! 俺は公爵家の種馬と呼ばれるほどの男だ。勝手に不能扱いするな」


 ぽっ♡


「うれしいです……」


 俺がノルド口調でエリーゼに返答した途端頬を赤らめて、悶え始めた。


 もしかして、期待されてるのか?


「ああっ、今夜ノルドさまにもし種付けされちゃったら、どうしましょう♡ いやん……私ったらなに考えてるの~♡♡♡」


 エリーゼが妄想の世界へ旅立っているのを冷めた目で観察していると聖剣の精が俺の肩を叩いて呼びかけてくる。頻繁に肩を叩かれるので仕方なくエックスの解呪してやると、エリーゼを見て顎に手を置き感慨深そうな顔をしていた。


「ふ~ん、どっかで見たことあるなぁ~って思ったら、あの子がエミーラの子孫なんだね」

「ああ……」

「ホント、エミーラとそっくり」

あいつエリーゼは戦闘タイプじゃない」


「そうじゃなくて、かわいい顔してえっちなことに興味津々なと・こ・ろ」


 俺はおまえが建国戦争後にエミーラから封印された理由が良く分かった気がするよ……。


 そんなことより……。


「まさかとは思うが、いまのおまえの所有者は俺なのか?」

「そだよ」


 平然と答えるエックスだったが、俺は正直焦った。


「なんだと!? 他の者が持ったりしたら代わるんだよな? いやむしろ代わってもらわないと困る」


 ケインの目の前に落とし物として放置しておけば、あいつのことだ、きっと自分の物と言い張るはずだと思っていたのに……。


「どして、困んの? 最初に封印から解いた者が所有者なんだって。その程度で浮気するようなあたしじゃないし~。あたしみたいな美少女がノルドをご主人さまだと認めてあげてるんだよ。もっとよろこびなよ」


 肘先で俺をつついて、この色男みたいな仕草をしてくるが、俺はそれどころじゃなかった。


「俺が他の奴に貸してもその能力は使えるのか? 使えるよな、ぜったいに」

「ムリムリムリ~」

「名義変更とかギルドに行けばできるんだよな? できないとか言わないよな?」


「できないよ。ちょっとさ~、あたしをそんな浮気者みたいな言い方しないでくれる? ノルド一筋なんだからねっ♡」


 俺は思わず額に手を当てて、天を仰いだ。


 前世から含めて、ゲームでこんなにも最強武器を手に入れて、悲しいことはかつてない。


「どうしたの、ノルド。そんなにあたしを物にしたのがうれしかったの? だよね! 世界最強のエックスちゃんだもんね」


 おまけにマジでウザい。


 それよりも目に余ったのが……。


「とりあえずだな……全裸でうろうろするのはどうかと」

「もしかして、ノルドがあたしに服買ってくれんの?」

「鞘が服になるんだったか?」


「うん! そう!」


 エックスが他の奴に握られるのを頑なに拒否するので、鞘を作るついでに仕方なく聖剣エクスカリバーのレプリカをあの辺りの巨岩に刺しておいた……。


 あとはケインを呼び出せばいいだけだ。


 さっそく俺は手紙をしたためる。


―――――――――――――――――――――――

 ケインさま 


 入学当初から一目あなたを見たときから胸が苦しくてたまりません。苦しいはずなのにあなたの一挙手一投足が気になって、眠ることもままならないでいます。


 あなたを遠くの陰から見守るだけでは堪えられそうにありません。こんな手紙であなたの気を引こうとする私ですが、どうか学院内の伝説の聖剣の下へいらしてくださることを心より願っています。


      真の勇者さまの再来を望むノルンより

―――――――――――――――――――――――


 エロゲの主人公だけあり性欲は強いほうのケインだから、エリーゼが俺を籠絡しようと離れているいまなら、簡単に落ちるはずだ!


 女の子にラブレターをもらおうものなら、確実に食いついてくるだろう。書き終わると、俺はすぐさまケインのドアの隙間からラブレターを差し込んでおいた。


 それにしても参ったな。


 俺、二刀流のスキルあったかな……。


 ああ、あったわ。


 ステータスを確認すると、


―――――――――――――――――――――――

【闇刻二刀流】

 説明しよう。

 暗黒騎士の剣技スキルだ。

 特に聖剣と魔剣のコンビネーションにおいて、もっと効果を発揮するぞ!

―――――――――――――――――――――――


 ムカつく書き方の癖にきょうびのソシャゲより雑な解説文で使えそうなのか、使えなさそうなのかまったく分からない。


 厨二病っぽいスキルで使うのが躊躇ためらわれるけど……。


―――――――――あとがき――――――――――

明けましておめでとうございます。旧年中はたくさん読んでいただき、感謝の言葉もありません。今年も垢が吹っ飛ばない程度にえっな作品を書きたいのでヨロシコです(≧▽≦)

ノルドに嵌められること必死のケインw ケインがノルドに無自覚ざまぁされるところが見たい! という読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。


作者、性懲りもなく冷やし中華みたいに新連載を始めました。


【ネトラレうれしい! 許婚のモラハラ幼馴染が寝取られたけど、間男の告白を蹴った美少女たちが、俺と幼馴染が別れた途端に恋心を露わにしてくるんだが。】


脳死しない笑えるNTRざまぁラブコメですので読んでいただけるとうれしいです!


表紙リンク↓

https://kakuyomu.jp/works/16817330667920018002

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