第44話 性欲処理メイド

「なぜエリーゼが俺の部屋にいるっ!?」

「はい……リリアン学院長が『相思相愛の二人を家庭の事情で引き離すのは忍びない。せめて学院にいる間は二人の好きにさせてやろう』とご配慮くださったんです」


 あいつぅぅ!!!


 余計なことをぉぉぉーーーーーーーーーー!!!


「くそっ、こうなったらリリアンがレンサルの始めたホストクラブにドはまりして、パンツのなかに金を入れるなんていう下品な飲み方してることを世間に公表してやろうか……」

「……ノルドさま?」


 ノルドの癖に釣られ、俺は親指の爪を噛んで悔しがっていた。


 俺がレンサルに男が女を接待する酒場があるなんて、ついうっかり話したものだから、商才のあるレンサルは授業料を払えないと泣きついてきたイケメン下級貴族たちを集めて、ホストクラブを始めたのだ。


「いやなんでもない」


 しかも、いつのまにかエリーゼと相思相愛にされてしまってるじゃねえかよ!


「だが俺は鍵をかけておいたはず……なぜ入れた?」

「それも学院長が……」

「くそっ! ぜんぶ分かってて、俺をはめやがった!」


 日頃の仕返しとばかりに俺を弄んで楽しんでやがるんだ。


「ノルドさまぁ……ノルドさまがはめるのはこちらなのではありませんか?」

「は?」


 唐突に出されたエリーゼのものに驚いた。


 くばぁ♡


 俺に見せつけるようにして、


 なっ!?


「あうう……な、なかに入っちゃうぅぅ! ノルドさまの硬いものがあぁぁぁ……」

「入れなきゃできないんだから、少しは静かにしろ!」


「あ、ああん……ひっ! ノ、ノルドさまぁぁ……

そんな一気にぃぃ!!! ふ、深いですぅぅ」

「変な声を出すんじゃない! 誰かに聞かれたら、どうするんだ……」


「あああん、そんな抜き差ししちゃらめぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


 俺の剣が激しくエリーゼのものに刺さり、ぴゅっと飛んでしまった……。


「夜長にいかがでしたか? マグダリア家に伝わる宝具願掛け白ひげ突撃一番です」


 いやどっからどう見ても、黒ひげ危機一発だろ……。しかも突撃一番とかエロゲでしか許されない名称だぞ……。


 起こしてしまって申し訳ないとばかりにエリーゼはわざわざ黒ひげ危機一発の紛い物っぽいものを持ってきて、二人でベッドのうえで遊んでいた。


 だが目のやり場に困るというか、まさか彼女が自分からそんな服で来てしまうなんて思っても見なかった。


 ノルドがエリーゼを寝取る際に着ていたあのどちゃくそエロいメイド服を着ていたのだから……。


 乳袋を覆う生地は明らかに足りてなく、見えてますよ、エリーゼさん。桜色のものが……。


 スカートは丈が短くおパンツはもちろんのこと、ストッキングを留めるガーターベルトの紐のほとんどが見えてしまうほどだった。


 それで思い出すのが、あのノルドを見下すようなエリーゼの冷たい氷上、いや表情。彼女がノルドを刺殺するときに返り血を浴びて妖しく笑う表情と相まって、俺にトラウマに近い強い印象を与えている。


 それが、いまのエリーゼはどうだ?


 恥ずかしそうに口元に手を当て、ちらちらと俺を見ては顔を赤くしている。


 それにあのシーンとは髪型が違う。嗅いでしまうだけで、えっりえりにしてやるよってくらいに、いい香りに魅了されてしまうエリーゼの髪はツインテールになっていた。


 年齢より遥かに大人びたどエロい身体つきなのに幼く見えてしまうツインテは反則チートとしか言いようがない!


 おまけに首輪と鎖までつけてしまっていた……。


「あまり……まじまじ見られてしまうと恥ずかしいです……」

「いや恥ずかしいならなぜ俺のまえで、そんな格好をする?」


「メイナさんとマリィさまが……そのノルドさまがこのような格好を好まれるとお聞きしたので」


 完全に俺の家族に趣味を把握されとるぅぅ!!!


「おかしいんです……私」


 まあノルドを屠ったときの変わりようを知ってる俺からしたら、確かにおかしいな。


「お父さま、お母さまから執着する心を捨てなさいと教えられてきて、それに素直に従い、なんの疑問も持たずに生きてきました。ですがクラスの令嬢たちがノルドさまと目が合った、声をかけられた、手を取って教えを受けた……彼女たちが目を輝かせて、話す姿を見て心がざわついてしまいます……」


「嫉妬しているとでも言いたいのか?」

「はい……誰にもノルドさまを渡したくないのです」


「まず言わせてくれ。エリーゼ、おまえは間違っている。男女の恋愛は一方的であってはならない。ちゃんと相手の気持ちを推し量ってやらないと、な」


「ノルドさまは強いお言葉を使われますが、本当にお優しいんですね。私はそんなノルドさまが好きなんです」


「俺が優しい? 勘違いするな! 俺はこの国を牛耳るワルド・ヴィランスの息子、言わば悪の化身、闇の権化、女の敵だ!!!」

「でもメイナさんを見る目は優しく、マリィさまを溺愛されています」


「くっ!?」

「おまえを家に招いたのは過ちだったようだ……」

「私はノルドさまに過ちを冒してほしいです」


 えっと意訳してみます。


『私はノルドさまに犯してほしいです』


 うわぁぁぁぁ!?


「おまえの恋愛感は歪んでいるっ! 俺のような女っ垂らしにそんなことを言えば、どうなるか分かっているのか!」

「どうなるのですか?」


 まるで赤ちゃんが親を見るような純粋無垢な瞳で、エリーゼは俺に訊ねてくる。


「おまえは俺の子を孕むことになるんだ! ひとりじゃないぞ、何人も何人もだっ!!!」

「うれしいです……そんなにもノルドさまに愛されるなんて!!!」

「は……?」

 

 ぽっと顔を赤らめ、頬に手を当てながら照れるエリーゼに対して、俺はなにも言うことができないでいた。


 婚約もしていない男に種付けされて、よろこぶとかおかしいだろ……。


 バーン!


 俺とエリーゼは膝を突き合わせて、話しているといきなりドアが開いて……、


「ノルドっ、交尾しよっ♡」

「マオ!?」

「マオさん!?」


 マオはチャイナドレスの裾をまくって、ピンク色の紐パンを見せてくる。


 おまえは俺のセフレか! と突っ込みそうになってしまった。いやセフレだからなにを突っ込んでもいいのか……。


「ノルド~ひどいよぉ~、あたしを放置プレイするとかあり得ないから」


 あ……俺の家で預かったまま忘れてた。


 またややこしい奴が俺の部屋にあがりこんできた……。いや待てよ、マオを利用すれば、エリーゼが俺から離れてくれるんじゃないか?


 なんせこいつも俺に好意があるという演技をしてるだけなのだから。


―――――――――あとがき――――――――――

読者の皆さま、本当に申し訳ありません。叡智なシーンを書いちゃうとマジで作者が黒ひげ危機一発で垢ごと吹っ飛んでしまうので、この程度しか書けないことをお許しください。いいよ、かまわんよ、とお優しい読者さまがいらっしゃれば、フォロー、ご評価お願いいたします。

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