第11話 恩人探し

――――【ノルド目線】


「ステータスオープン!」


―――――――――――――――――――――――

種族:人間


レベル:80


固有スキル:悪の枢軸ディクテイター 魅了 寝取り 房中術


職種:暗黒騎士テラーナイト


熟練度:75


職種スキル:暗黒剣 暗黒魔導

―――――――――――――――――――――――


 10歳でもうこの完成度とは……。


 改めてノルドのチートっぷりに驚きを隠せない。レベルの上限が99なのにもう半分まで到達している。


 それにしても、どんだけマセガキなんだよ!


 まだ少年なのにエロ特化した固有スキルに吹き出してしまいそうになる。


 ステータスを見て俺の方針は決まった。


 とにかくエリーゼには接近しない。それによりケインの覚醒フラグは折れるはずだ。


 また万が一、覚醒勇者となったケインよりも最低でもステータスを上回るように修行を重ねること。


 それさえできれば、俺のハッピースローライフは確定だ!


 だが不安が残る……。


 ケインが雑魚すぎて、エリーゼがちゃんと惚れてくれるかどうか。


「グラハムはいるか?」

「は! お坊ちゃまのお傍に」

「ちょうどいい。おまえに頼みたいことがあるのだが引き受けてくれるかな?」

「はい、なんなりと」


 俺はゲーム内で、エリーゼのマグダリア家追い落とし工作に暗躍した壮年の執事を呼びつけていた。



――――【エリーゼ目線】


 鉄格子の向こうにいる少年と私の専属メイド、リンが対峙していました。私は彼から見えない位置で二人のやり取りを聞き入ります。


 リンはメガネのブリッジを指で押し上げると、まるでゴキブ……黒々としたあの昆虫を見るような目で彼に語りかけていました。


「あなたがケインであるということは、ど辺境であるスォープ村へわざわざ出向いた調査員により明らかになりました」

「本当ですか!? やっぱりボクで間違いなかったでしょ」


 彼はリンの言葉を聞いた瞬間に希望の光が差してきたような笑顔へと変わり、鉄格子を掴んでいます。


 なんか笑顔を通り越して、ドヤ顔になった彼が無性にムカついてたまりせん。


 リンは軽くせき払いすると、彼の落ち度を指摘しました。


「ですが、エリーゼさまの命の恩人を騙ったことは到底許されるようなものではありません」

「それは違います! ボクはその恩人に騙されたんですよ。マグダリア家に来れば、ボクはエリーと……あんなことやこんなことを……って」


 うっ、彼がニタリと笑ったところを見てしまい、鳥肌とともに凄まじい吐き気が……いえ、それに留まらず蕁麻疹まで出てしまう有り様でした。


 本当に気持ち悪い子。


治癒ヒール】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】【治癒】!


 悪寒を消すために【治癒】を自分に重ねがけして、ようやく落ち着きを取り戻しました。


「その証拠についてはなにも得られておりません。あなたがウソをついている可能性は否定できませんから」


 ケインは不安そうにリンに訊ねています。


「あのぉ……ボクはどうなるんでしょう?」

「そうですね……良くて辺境の村へ強制送還、悪くて騎士団に罪人として突き出す、といったところでしょうか」

「そんなぁぁぁ~~~~~!」


 リンは首を左右に振って彼に呆れていたのですが、私はひとつ気になることがありました。


「エリーゼお嬢さま!?」

「エリー!」

「私に助力することを約束されるのでしたら、あなたの死刑にも等しい罪を許しましょう!」


 私が姿を現したことに驚く二人。ケインはすぐさま私の提案に疑問を投げかけます。


「助力?」

「はい、あなたは私の愛しき恩人のあの方を探すお手伝いをしていただきたいのです。さきほど仰ってましたよね、私の恩人さまと多少なりとも言葉を交わされていた、と」


「うん! 分かったよ、ボクはエリーに協力する。ボクがあいつと話したことは事実なんだよ。信じて」


 平気でウソをついてしまうような方をどうやって信じればよいのでしょう? それにこの妙に馴れ馴れしい態度には我慢が限界を迎えてしまいました。


「あの……エリーと気安く呼ぶのは止めていただけませんか? そのように呼んでいいのはあのお方と家族だけなのです」

「ご、ごめん……」


 しゅんとなり、身体を小さくしたケインでしたがちっともかわいげがないのです。


「リン、彼の牢の錠前を外してあげてください」

「お嬢さま!? よろしいので?」

「はい、いまから恩人さまを探しに行きますので」


 鉄格子の外に出てきたケインはようやく解放されたよろこびからか、腕を伸ばして高く上げていました。


「くれぐれもウソだったなんてことは言わないでくださいね。そのときは……」

「はいぃっ!」


 あんなケインに一縷の望みを託すのは裂け目の入ったロープの吊り橋を渡るようなもの……。


 でも……。


 お待ちになっていてください。


 私はあなたがどこにいらっしゃろうとも、必ず見つけ出してみせます! そしてどうしようもなく焦がれて止まない私のこの想いを伝えようと思います。


「お、お嬢さま……本当にこの者を信用して大丈夫なのでしょうか?」

「分かりません……ですが、彼を飼っておけばいつかあのお方に再び逢えるような気がするのです」


 そう、ただの女の勘でしたが……。


―――――――――あとがき――――――――――

10回クイズ~!!!

エロ、エロ、エロ、エロ、エロ、エロ、エロ、エロ、エロ、エロ、エロ!

作者の頭の中出しは……? ひき出しの間違いだった、めんごめんご。


【エロ!!!】


正解! そのまんまです。

ちなみに作者はあとがきで何回エロと書いたでしょう? 当たった方も外れた方もフォロー、ご評価お願いいたします。

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