第37話 間違って飲んだジュースが
「私ね、穂信の事大好きなの」
「うん、知っているよ。どこか好き?」
「全部ちゅき」
こんにちは桃谷穂信です。
よく知らない家から遠い店で彼女がファジーネーブルを一気飲みしました。
店員によると間違えてしまったとのこと。
喉乾いたオレンジジュースありがとうございますと言いグイっと。
私はこの集まりで知り合った女の子にこの子と付き合っているからあなたたちとはお付き合い出来ません。と言うつもりでした。
加奈にはお友達を紹介すると言ったので、何かを察してオレンジジュースを飲み干して覚悟を決めようとしたかもしれない。
その加奈のおかげでありがたいようなそれはそれでありがたくないようなことになりました。
「その人、何番目ですか?」
おっと、そう来たか。そうだな、うん、その。
「一番目です」
正座をして背筋を伸ばした。
「私は?」
「大体、六番目くらい」
この子は重いと思っていた。その独占欲が強くて首に
「あの私は?」
「六番目くらい」
この子は
「あの僕は?」
「六番目くらい」
最近流行りの僕っ子。全ての僕っ子に謝るべきだ。この子多分モテたんだろうなって言えるくらい余裕のある女の子。
すごい上から目線、自分ってすごいよ。気を持たせてこの子くらいだったらこうやってこうしてという手練手管が中途半端に下手くそ。夜はカッコつけるわりには上手く無い。
こういう大変な時にもそばにいてくれて、まっすぐな女の子がいいっしょ。
あれ、待てよ。私、加奈にすごく不誠実では無いか? 大学という環境でこんなにたくさんの女の子といけない関係になっている。
「穂信が悪いんですからね。めっですよ。これ以上オイタすると穂信の好きなところ言っちゃいますよ。まずは案外脇が好き」
「こら加奈。何言っているの」
「ちょっと触ると顔が赤くなっちゃう」
「ばか、何を言っているのよ」
「もう穂信、私のおっぱいも好きなんだから」
「なんでそんなべろべろでアホな女の子がいいんですか?」
六番目以外から声が上がった。正直みんな六番目なんだけど。
「この子は私が一番辛い時にいてくれた子で私にとっての最優先で」
「そんな人がいるのに私たちに大好きだって言っていたの? 最低」
アンタは他がいるって言っても私が一番と言ったじゃん。
「その最低です」
バイト先の男で遊んでいるの知っているぞ。
「僕の心を
下手くそな手練手管を使いやがって。
「私、帰ります」
何人か五千円を置いて席を立った。
「待ってください」
加奈は突然立ち上がった。なぜかどこからか持ってきた一升瓶を持って、大声で振った。中身は入っていた。
「あなたたちが好きな穂信はその程度ですか」
「でもあなたは本命でしょ」
「ええだから、恋人権限で勝負しましょう」
そう宣言した加奈はすごく頼りがいがあった。
「って言ったから高窓呼んじゃった」
「そんなこと覚えているわけないですよ」
「データ集めしているうちに涼しい季節になったね。プログラムを考えよう。まずは徒競走から」
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