あなたの仮カノ子になりたい
第7話 策略では無く
「え?」
「なんかさ、絶倫が仁科と本気で付き合うから、チャンスあるかもって思っている子はいらないって、宣言したらしいよ」
逢坂女子は夏休みが短い、他の学校は七末から九初まであるのに、うちは盆が終わったらすぐに学校だ。
そうか穂信は策略じゃなく、正々堂々と伝えたのか。
「やっかみとか、意地悪をしていることがわかったら、学校から追放するって」
こちらに攻撃が来ない様なアフターフォローをしている。
「あんた高二の先輩手玉に取るってヤバいね」
「井上! 山口先生窓から見えるよ!」
「ま? 行く行く。じゃ、幸運を祈る」
放課後、生徒会室には夏休み前にあった活気はなさそうだった。少し戸惑ったが扉を開けた。
穂信しかいなかった。
窓から外を眺めていた。音で気づいたのかこちらを見た。とても寂しそうな顔をして、半泣き顔でつぶやいた。
「何だか寂しくなっちゃったね。文化祭実行委員会もほとんど解散か。これからどうしようね」
「何であんな宣言したんですか?」
私は生徒会室の長机に荷物を置いた。
「簡単で難しいの。体育で走り高跳びしている姿がきれいだなって、中等部なんて前まで小学生だよ。ロリコンだよ。自分と近いところで楽しいことしたいって思ったの」
「近くで見て分かったの。目元が切れ長で好き、
「誰かを本気で好きになったの初めてなの。委員会もこんなんだし、解散かな。でも仁科さんと仲良くなりたいの」
「あなたがこの委員会に来て奇跡だと思ったの」
ため息をついた。
困ったな、学園一の美女に告白をされている。手を掴んで止めた相手だ。ここで止めにするわけには行かない。
それにこの話は全国生徒が知っている。断る? その方が地獄だ。
「仮ならいいです。お試しで」
これが妥協ポイントだろう。
「ホント? ありがとう。今度は策略じゃなくて本当に大切にするね! 作戦は少し使うけど、それはいい?」
「過度で無ければ、あとしばらくは登下校は一人で」
「何で?」
「お試し期間に誰かからの
「それも確かにそうか。信用してもらうように頑張るから」
この日を境に文化祭実行委員の再募集が始まった。
掲示板に貼る文書は私が作った穂信のチラシはあまりにも内容が薄かったからだ。
冷やかしに桃谷と付き合っている女を探しに来たという雰囲気を覚えたら、穂信はノーを突きつけた。
そうこうしているうちに八月も終わりになった。
「結局、八月になっても落とせてませんね」
「もうその話はしないで、困ったな。どうしよ」
生徒会室の扉が叩かれたのは九月の一週目のある日だった。
失礼しますと入って来たのは玉造さんだった。続いて入って来たのは森ノ宮さん、元メンバーの人々だった。見ない顔もあった。
「仁科さん。穂信さん申し訳ございませんでした」
みんなが土下座をした。
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