第41話 発情はしてないし
後から今宮さんに聞いた話だ。
「加奈、どこに入るの?」
「言ったら荒らすから言わない」
「どうせ体験入部はボラ部でしょ。アイツらいくら誘ってもなびかないのよ。運動部は比較的簡単だったけど」
「そういうことしたら、フラれるでしょ」
「約束したから、もうしない」
「低めの声がいいんだって?」
「誰に聞いたのよ」
「アンタめちゃくちゃ存在感あるから、群衆の中で加奈ちゃんの低音ボイスで発情しているのをうちの部員が見たらしくてね」
「発情じゃないし、ちょっとギャップ的な」
正式にボラ部に入ったのはパーカーが必要になる少し寒い時期の事だ。
「らしいのですが、発情してるよね」
結局、今宮さんは穂信が帰って行った後にボラ部のみんなとゲームをしながら待ってくれた。
「今日、自習する人はいる?」
理系研究室の同級生が手を上げた。
「じゃ、鍵ここ置いとくね。今宮も加奈ちゃんも自習組がいるからここ使ってもいいけど、どうする?」
私とボラ部部長の阿部さんの視線は今宮さんに集まった。
「帰りながら話すから、ここは使わないよ」
「分かった。私、先に帰るからね」
そう言って阿部さんは駐輪時に駆けて行った。
「優しい人でしょ」
「とても」
「年の離れた弟を溺愛しているの。今日は誕生日プレゼント買うのにコンビニの夜勤入れてるってさ。バイトしないの?」
「仕送り貰ってますし、暮らしていく位のお金はあります」
「いいわね。仕送り組はそれでその穂信がさ」
「へぇ、発情ね」
床上手は確かにまだ穂信が優勢だが、余裕のあるときに低音ボイスでささやくと勢いが少し落ちる。
ささやきながら腕の根本を触るときに息を吹きかけたりしたら、顔が真っ赤になってそれはそれで可愛い。
そのあとが大変だけど、仕方ない。
「あの女もただの人ってわけやね。安心したわ。アレ、胸は薄いけど元気っ子だから、喋るだけでもファンが発生したわけ」
分かる。私も痛感した可愛いげのあるファンには手を出したくなる。
「それに比べて加奈ちゃんは大きいね。私的には大きい方がいいけど、私はちゃんとした理性があるから触らない」
「いいですよ」
「いや冗談だから」
「今宮さんは普通の女の子だし、私も女の子。触るくらいなら、全然いいですよ」
「浮気にならない?」
「これくらいならいいでしょ」
「ではお言葉に甘えて、おぉこれはこれは。うわー、こんなにずっしりと柔らかい。その奥には筋肉もあって、これは」
「ピヨピヨ、穂信警察です。他人の彼女のおっぱいに手を出すな」
「どこからわいてきたんだアンタ、加奈ちゃんが触ってもいいって言ったから」
「ホント?」
「胸くらいなら、セーフだと思って」
「加奈は頭の先から足の爪まで全部私だけの優先感です。言葉巧みに奪わないように! 加奈帰ろっか」
「は、はい」
「今宮にはどう触られたの?」
「その下の方を持ち上げられて、中心の周りをぐるぐると」
「じゃ、今夜は私が触ってあげるね」
「本当におっぱい好きですね。あっ、いいこと考えた」
「何々?」
「穂信ってバンダナ持ってますか?」
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