第40話 部活動見学

「それで何が好き?」

 今宮先輩に聞かれて私は初めて穂信ばかりで、穂信中心の生活をしてきた事を知った。


「分かりません」


「そうか分からへんか。一緒に見てこか」


 芸術系の部活、絵画造形写真彫刻デッサンデザイン。

 音楽系の部活動、吹奏楽団軽音民謡和楽器音楽研究。

 他にも、応援部にダブルタッチいうものもあった。

 体育会系だとソフトボール硬式野球卓球ゴルフバレーボールバスケ陸上ラグビーと様々だ。

 同好会になると球技やアニメ研究会など様々あったけど、どの部活にも興味を持つことが出来なかった。


「せやなぁ、激しいのはしんどい?」


「運動系は苦手です」


「じゃあ、おとなしい系?」


「どちらかと言うと」


「おすすめはボラ部かな。結構、ゆるいし月に一回出たらええし、部室も大きいで、一回見学で入ってみる?」


「お願いします」

 私は何となくボランティア部の門を叩いた。


「やっとるなー、人狼? うちもやりたい」


「宮ちゃん、またサボり?」


「ちゃうねん、見学希望の子連れてきたで」

 もう少し締まりがあって、シフト表がどうか決まっていると思っていた。


「へぇ、珍しいね。あれ? あの有名な桃谷穂信?」


「の本カノ子」


「えー、うちらの部見学に来てくれたの? 嬉しい。部の説明からした方がいいわね」


「頼むわ。うち、合宿の打ち合わせあるから、人狼は泣く泣くパス」


「こうも珍しいことが続くとまだ秋やのに雪降るかね」


「うるせぇ、じゃあな。加奈ちゃん」

 ちょっと待って欲しかった。どれほどでも元は陰キャの部類に入る。運悪く入った文化祭実行委員会でも仕方なく活動していただけなのに。


「安心して、ここに桃谷穂信の毒牙にかかった子はいないよー」

 対応してくださったのは標準的な見た目なのにどこかお母さん味感じる女性だった。


「そのあの」


「桃谷穂信はうちらの部活は危機感を持ってる子は多いけど、別にあなたがアレとは違う子やから関係なし」


「部長いいこと言うね。見直したよ。前に共用冷蔵庫に入ったコーラをこっそり飲んでても怒らないよ」


「名前を書いていないのが悪い」


「役職ある人ー」

 コーラの人は人狼に戻って行った。


「ルールは暴力的な事や勧誘はしない。アルバイトと掛け持ちはしてもいいけど月に一回はボランティアに出ること」


「月に一回って」


「この冊子から土日に行く感じかな、えーっと何さん?」

 自己紹介していなかった。


「文学部一年の仁科加奈と申します」


「私はボラ部の部長やってる阿部翼です。よろしくね」


「あの部費は」


「交通費と新しいゲーム買うのに折半でかな。買って一ヶ月いないに誰もやらなかったら、主催で買った子が全額払うよ。それ以外は学校からの予算でまかなうし、部屋は夜まで開けてるから、自習してくれてもいいよ」


「加奈ちゃんは英語得意?」

 ゲーム群からの質問に面食らった。


「びっくりしているでしょ。突然」


「外国語は前期秀でした」


「部長もう三年なのに外国語全滅でさ、教えてあげてよ」


「中間テストはクリアしているわよ」


「残念ながら、外国語は中間テストだけではございません。皆さん祈ろう。今期の部長の成績を」

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