第39話 珍しい友達
「部活は入らないの?」
その頭は無かった。穂信とコマが被らないことが多い。
基礎科目ではよく合うが、一緒になるのはお昼が多く、これからを考えると暇な時間が増えてしまう。
私は穂信と一緒の学校を選んだ。もちろん専攻も考えたし、それだけの理由では無い。でもずっと一緒だという保証もない。
「興味ない? でも私が行くと惚れちゃう女の子いるしな」
よく分かってるね。
そうだね気づいたのは成長だな。
被害者を作らないのは立派だね。
これを私が入学する前に出来ていたらもっとよかったね。
ん? 既視感。
「今宮さんはどこの部活ですか?」
プールに行く話で浮上した穂信に関しては珍しい同性の友人の今宮さんだ。
「あー、今宮は軽音だよ。興味ある?」
「ちょっとは」
「これ今宮の連絡先、今宮には次のコマ約束しているから、言っておくね。バンドマンかモテるだろうな」
「モテても困るのですけどね」
「略奪愛してみたいなー」
「別れてからにしてくださいね」
「加奈が浮気してくれたら出来るよ」
「それかなりややこしくないですか? 恋人が寝取られて」
「そこまでいくの?」
「浮気したらそこまでいくでしょ。それで浮気をされていることを知って、彼女である人物を逆寝取りして」
「寝取られて、今度は逆寝取りして取り返す。元に戻ってハッピーエンドじゃん」
「でも浮気したのは本カノ子に不満があるわけで、浮気子に戻るわけじゃないですか。床上手だったら余計にその可能性は増えます」
「とこじょうず?」
「それくらい調べてください」
食堂がうるさくて良かった。数人しかいなかったら、恥ずかしくて死んでしまう。
「うわー、これは大変だけど絶対私の方が上手いから安心していいよ」
そう言って薄い胸を叩いた。
穂信はけして体は小さい方ではない。
160はあるし、元々運動は適度にして、体重も50キロをキープしているが痩せたいとぼやいている。
痩せると叩いた部位から痩せていく。むしろ体のラインを隠しても、私が少し大きい。色々大きい。
「何か余計な事を考えているね」
「この大学には色々な人がいます。中にはプロのお姉さんがいるかもしれません。様々な性技を試されて、その人のとりこになるかもしれません。ダメと分かっていても床上手な女の子に恋をして、穂信から離れていくかもしれません。女の子同士なのにこんなのダメなのに。そうやってどんどん染められてしまう」
「あれ、どこかで経験した話だな」
「桃谷先輩はどれくらいの女の子狂わせて、今も狙われているわけですか?」
「狙われているというか何というか。ま、まぁ今でも連絡はちょくちょく来るよ。桃谷先輩の為に女の子相手のお店で働いているとかさ」
「穂信が寝取りの主人公になったら、さっきみたいな展開になります」
「乗ったらヤバいじゃん。でも、私は加奈が一番だよ」
「そう言う人が夜のお店にハマっていくわけです。最初は遊びでもどんどんその人の性技に染められていくわけです」
「じゃ、そう言う連絡は無視するね。でも、結構いるんだよな」
「どれくらいですか?」
「20は超えたな。そうだ加奈アーン」
口に入ってきたのは穂信のオムライスで穂信に差し出したのはカレー。かしゃりと写真を撮った。
「これで大丈夫。じゃなくて、なにか話していたよね」
「忘れちゃいました」
「予鈴なったよ」
「私、休講です」
思い出すのはこの日の夕方である。
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