第13話 一緒の部屋で寝ようね

 部屋空いてないの。親のベッド無理だし、兄貴のところに置くと犯罪だし、私の部屋しか無いよね。


 なぜか分からないが穂信の握る手は固かった。


 部屋に入ると本棚の中にきれいに整頓された教科書とぬいぐるみが多くてふわふわそうなベッドとおそらく勉強する用の小机が部屋の真ん中にあった。


「可愛いですね」


「加奈はさ、なんか大人びてるって言われたことない? 性知識は壊滅的に無いけどさ」

 確かに年齢にそぐわなくしっかりしてるねと言われたことはある。


「考え方がね。しっかりしてるなって思うことはある。もうダメ、加奈の事考えると好きになりすぎちゃう」

 そんな穂信の可愛さに私もきっと顔が赤い。


「私はどこで寝れば?」


「お布団が無いからベッドで一緒に寝よ」

 オセロやババ抜きをした。頭脳系は苦手でどうにも勝てない。0時前になった辺りで寝ることになった。


「どっちが耐えれるかゲームしない?」


「多分それは穂信がどれほど我慢出来るかゲームでは?」


「それでもいいじゃん。を我慢するゲームかお主分かってあるのか?」

 ゲームの合間にそういう雑誌を見せられたのだが、そういうのを自分もするという未来は想像出来なかった。


「ちょっとだけ、ちょっとだけしてみようよ。服から見えないところは触らないからさ」


「お任せします」


「いぇい、やったぜ。明るいと恥ずかしいから電気は消すね」

 壁側に私が、扉側に穂信が陣取った。


 背中から体に巻き付いた柔らかい腕、背中に擦り付けられる顔。


「こっち向いて」

 小さい声で穂信が呼ぶので穂信の方へ向くと唇に何が触れる。

「唇じゃないよ。指でした。残念」

 クスクス笑う穂信が生意気でむかっとした。


「加奈の顔、柔らかいね。どこ触ってもぷにぷにだ」

 背中の辺りがおかしい。どきどきじゃない、何か変な感じ。


「腰が変な感じでしょ? もっといいこといっぱいしようね。首筋はどうかな? 変な感じするね。首が好きってことは腕にかけてのラインもけっこういいかもね」


「服の中はっ」


「やめようね。もどかしいでしょ。もう少しドキドキしようね」

 手足首、手足の甲。硬いところだけではなく、皮膚の柔らかいところも手で触れて、それだけなのにくすぐったくなりそうでいつの間にか穂信は舌でなぞり始めた。


「汚いですっ、舐めたら、お腹、壊します」

 無言でひたすら舐める穂信、舐めないでという言葉が声に出せなかった。


「服の中もいっとく? ぜーったい気持ちいいよ。はーはーして可愛いね加奈ちゃん」

 穂信が服の下に手を入れた。


 その瞬間、拒否感が出た。


 漫画みたいになることがどこか不潔ふけつだと思ったのだ。穂信は楽しそうに解説していたけど、この一連の行為がそういう意味の導入であったと我に返った。


 だから向かい合った穂信を力一杯跳ね除けて、床に降りた。


「私、床で寝ます。おやすみなさい」

 ちゅーはされていないけどさ。でも。

 変なことはナシって言ったじゃん。

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