第18話 文化祭二日目

「やってまいりました。逢坂女子高校の体育祭です。この後、男子といちゃいちゃしようと思っている大馬鹿者、男なんて知ったこっちゃっねぇべと思っている健全な生徒諸君。大馬鹿者に思い知らせてやれ」


 放送席にいるのは高等部二年の高窓たかまど先輩だ。


「なぜ私は男ではないのだ。せめて共学でイチャイチャする男どもを眺めたかったのにパパの馬鹿野郎。私は胸を張って年末のコミケに行きます。パパには友達の家に行くって言ってます。どうか皆さん私と一緒にコミケへ、あうっ」

「と、ということで先生に早く始めろと言われたので選手宣誓ということで、あっ皆さん安心してください。ここに今男はいません。ではどうぞ」


 高窓先輩、お父さんとお兄ちゃんの存在を抹殺した。


「宣誓、私たちはスポーツマンシップに則り正々堂々と競技に勤しみ」

 中等部三年の先輩で中等部のリーダー的存在だ。


「あぁ来週、模試もし。来月も模試。もしもボックスがあれば模試のない世界を実現することを誓います」

 三年生で一番頭がいい人らしい。私もこうなるのか。


「令和五年十月三十日。高橋たかはしのぞみと」


「あぁ、もう十一月か。池田高子いけだたかこでした」


「それではみなさん各自で体操をしてください。それでは一つ目の競技に移ります」

 体育祭が始まると二つに別れる。友達と一緒に楽しくやるタイプとガチで行くタイプ。


 どちらも相容れない存在なのできれいに別れる。楽しくやるタイプと男なんてどうでもいいタイプはブーイングや野次が飛ぶ。


 去年も思ったけど、体育祭ってこういうものだっけと今年も思った。穂信の騎馬戦はお昼前だ。私のリレーが一番早いので召集されて行く。


「それではお待ちかね。リレーに参加するメンバーを紹介するぜ。第一走者五人の説明を、その第一走者しか紹介しちゃダメって言われたの。お前の口上長いって、第一走者!」

 私が第一走者じゃなくて良かった。五人いた。

 大食らい四合半彼氏なんざ興味無し飯に生きるが最近は漬物にこってる斉藤杏奈さいとうあんな

 両親には親父とお袋って呼ぶのに五個上の兄貴にはおにいちゃんと言ってすり寄るブラコン田森たもりゆずか。

 何かわからないものはまず食ってみる腹を壊したら次から食べない野生児要優子かなめゆうこ

 先生を誘惑しようとしてちらちら見るも、目つきが悪いから睨まれてると勘違いをされて、生徒指導の先生からマークされている堂島どうじまかのん。

 腐女子の私が仕込んだBL最強モンスターそんなのはBLよりもかなり有り得ねぇよクソ野郎、稲田聡子いなださとこ


「本当は第二走者もネタたっぷりなのですが、皆さん、この際物きわものたちへの応援よろしくお願いします」


 位置についてよーいスタート。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る