第44話 クリスマスの夜
下の階から気配が消えた。
「どうせ彼氏の家よ。いつもそうなの、あーやだやだ」
「そのほのぶをすきにできる券とは」
「五回分よ」
「分かっています。承知しています。それで使い方は」
「一回使うごとに私のドキドキポイントを教えます。そこを触ったり、くすぐったり、舐めたりして、私が一回でもいったらそれ以降は好きにさせてあげます」
「その」
「十五分私が粘ったら、加奈を好きにする券に変わります。一晩で五枚使ってもいいわよ。今夜、使う?」
「先にシャワー浴びさせてください。薄いとはいえ化粧もしてきましたし」
「結局、ぬるぬるになるのに?」
「はいはい、うるさいうるさい」
「じゃ、一緒に入ろっか」
「入ります?」
ふぇっ。そんな声が漏れた。
「いや、加奈がいいならいいけど、中で襲っちゃうかもよ」
「お風呂の中で券を一枚行使します」
「へっ! そういうのはさ、ベッドでゆっくりと」
「どうせぬるぬるになるなら、お風呂で一発しておいてもいいでしょ」
「膝裏」
「じゃ、早く洗ってください」
私は五年間、穂信の体を知ってきた。時にはくじけてしまう事もあった。
自分の性技に自信を無くした事もあった。穂信と違って、私は他の子と遊ばない。だから、動画や百合物の書物を見て勉強をするしか無かった。
今、穂信が脇を弱いというのを知っているアドバンテージがある。それをここで使って、私の勉強の成果を生かすのだ。
「ほのっ、ぶ。や、やや。も、もうそんな」
「お風呂でして良かったね。ぬるぬるになるもんね」
いくら触っても、息を吹きかけても無理だった。お風呂のせいだ。これはベッドでじっくりしたら、ちょっとは勝てたと思う。
「もう一枚使う? どうする?」
「使います。上で暖かくして、待っててください」
「右足の裏、左足の指の間。頑張ってね」
穂信が脱衣所から出ていった瞬間、崩れ落ちた。分かっていた事だが場数が全然違う。
シャワーを流しながら挑んだが、もう無理だった。ぬるぬるだ。
「次は絶対」
「ほのっ、ぶ。や、やや。も、もうそんな」
「最初の勢いはどうしたの? 私を気持ちよくさせるんでしょ? どうするの? こんなに濡らして、どうやって私を気持ちよくさせるの?」
そんな甘い声で言わないで、おかしくなる。こんなに浮気上等クソ女なのに、向こうが悪いのに、またトロトロになっちゃう。
「むふふ、最終手段抱きしめか。少しは考えたか、でもこれでは加奈も動け、ぬ。おい、加奈。まさかおいまさか」
後に聞けばスースー眠る私、そうなんだよな。私、抱き枕無いと寝れないの。今日はお風呂で一発あったし、気も張ってたから疲れたのだろう。
ただ運の悪いことに色々大きい私の抱きしめを抜けることが出来ずトイレにも服を着ることさえ出来なかった女の子を生んだことだろう。
「加奈ー! 起きて起きてよー。トイレ行きたいよ! 服を着たいよ!」
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