43話 おっさんと勅使河原家

朝いっもの日課のトレーニングを一通り終わり、居間で新聞に目を通していると、最近また不可解な事件が多発しているらしい。菅原事件に似た犯罪だ。

『ダークマターが関係してるんだろうか…』

『キャサリンが警戒を強化してるから別件だと思うが…』


今日は、朝から新聞を読む時間があると言うことは!お休みでーす!

いつぶりだろう?こんな時間に新聞読んでくつろいているのは。


まあ、今日はお昼を勅使河原さん家でいただく日なので、休みにしました。


勅使河原さんが家まで迎えに来るって言ってだが、リムジンで来られると家族がびっくりするのでご遠慮した。


朝風呂入って、朝食食べてまだ8時ですよ。だから新聞読んでたわけです。


ただ、9時には家を出て一応手土産みたいな物を栄の街坂屋百貨店に買いに行くつもりだ。


手土産も準備したし、11時25分私は勅使河原家の門の前にランマル70を止めて、車から降りてインターフォンを押した。予定5分前である。


インターフォンから勅使河原さんの声が聞こえて来たと同時に門が自動で開かれる。


さすがブルジョワお金持ちの家だね。


ふたたび、ランマル70に乗り込み、勅使河原家本館のエントランスまで行き、出迎えの執事にキーを渡して、後ろにいる勅使河原親子に挨拶をした。


「本日はお招きいただきありがとうございます」


「いやぁ、硬くならなくて大丈夫だ。私の大事な娘の恩人だからね。気楽にしてほしい」


「ありがとうございます。堅苦しいのは苦手でして助かります」


「勅使河原さんも今日の衣装が良く似合って綺麗だね」

直樹の言葉に顔を赤らめる綾子である。

「まあ、綾子さん綺麗って褒められたわよ。良かったわね、衣装選びに三時間かけた甲斐がありましたわ」

と勅使河原さんのお母さんがちゃちゃを入れる。


『衣装選びに三時間?よかった…最初に褒めておいて』


「お母様、変なこと直樹君の前で言わないでくださいませ」


『年上だけど、この仕草可愛い』


「直樹君は18歳なんだよね。なんだか私の友人達と同じ威圧感があるし、私達の前でこんな威風堂々としてる若者はいないなあ」

と勅使河原さんのお父さんが言う。


『まあ、実年齢はお父さんと同じくらいか、それに一度社長も経験してるしね。あの頃会った人達も偉い人多かったし』


「少し、田舎で苦労しましたので、同年代よりは少し大人びていると自分でも思っています」


「玄関で立ち話もなんだ、さあ、我が家へようこそ」


そう言ってお父さんとお母さんが家に入って行く後に私と勅使河原さんが続いた。


玄関を入るとホテルのロビーを思わせる吹き抜けでバカラのシャンデリアが何個も飾られている。圧巻の玄関だ。


靴のまま家の中に入り、会食会場に入る。

『うちのホテルの少宴会場程の広間の窓際に5人分の席が用意された丸テーブルが一つあった。


私は二つある一つのゲスト席に案内され着座した。


もう一つのゲスト席は多分あの人だろう。


『本当にワールドツアー中に日本に来るなんて考えられないよ、プライベートジェットさすがドーダマドンナさんだ』

噂をすると2階のゲストルームからドーダマドンナさんが降りて来て私の隣の席に座った。


「久しぶりねナオキ!あれからもいろいろやらかしてる。ライブの写真ありがとう。部屋に飾ってあるわ」


「この写真私のところのプロにも負けない美しさだわ。特に私が綺麗なのがいいわ」


「いえ、ありがとうございます。平穏な毎日を過ごしてますよ。写真は自信あるんで喜んでいただき嬉しいです」


「貴方に平穏があるとは思えないけど」


「2人とも仲がいいね、私たちも話しに参加させてくれよ」


「ごめんなさい、淳弥。ナオキに会えたのが嬉しくてつい」


「直樹君はホテルのレストランでソムリエの勉強もしてるんだって。後で私のコレクションを見せてあげるよ」


「ありがとうございます。まだ習い始めたばかりで助かります」


「それでは、わたしの娘の恩人と友人にわたしのとっておきのシャンパンを乾杯用に出そう」


『多分わたしでも分かる銘柄を選んでくださったのだろう。銘柄はテタンジェだった』


シャンパングラスに注がれるゴールドの淡い色に弾ける泡…いい香りがする。


「それでは、恩人と友人に乾杯!」

「「乾杯!」」

それぞれがグラスに口をつけランチが始まり、それぞれの席にオードブルが運ばれる。

私はチラッとドーダマドンナさんのメニューを見たが私とは内容が違う。


『コースはそれぞれの好みに合う物が用意されているみたいだ。さすが勅使河原家』


会話を楽しみながら食べる料理は美味しく、時間の経つのも早いもので、開始からもう二時間半も経っていた。


「直樹君今から、わたしのコレクションを見せてあげよう」


とお父さんが言って席を立ったので、私も後に続いた。


どうやら、地下室がワインセラーになっているらしく、一万本以上のワインをここで管理しているとの事で、早速いろいろ見せていただいた。


セラーを管理しているソムリエさんを紹介いただき、いろいろワインについてレクチャーしてもらい、ワインを勉強したかったら、東京のホテル東洋銀座にいる田崎さんに会いに行くといいと、紹介状を頂いた。


楽しい時間を過ごすしていると先程の執事が現れ、部屋に戻る様進められた。


そして私以外が団欒している部屋に執事に連れて行かれた。

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