23話 おっさんと披露宴 3

ミーティング終了後、先輩スタッフよりスポットライトの当て方を指導してもらった。


披露宴での接客サービスの行い方を短い時間で詳しく先輩たちに確認できた私は緊張する事無くゆっくりくつろいでいた。


いよいよ、お客様を会場に招き入れる時間となり、スタッフは持ち場で待機した。


会場に静か音楽が流れると共に入り口が開かれ、続々と出席客が入場して来た。


私の持ち場にもお客様が現れる…


「おめでとうございます」


席の名前を確認して着座頂く。


お客様が全て席に着き、

後は新郎新婦、ご媒酌人の入場を

待つのみ。


いよいよ


「本日の主役である新郎新婦の入場です!」 


と司会者の高らかな声と共に結婚行進曲が流れ、お客様とは違う会場後部入り口が開かれた。


私も慌てず入り口にスポットライトを当てる。先導している田中さんから媒酌人、新郎、新婦、媒酌人夫人と続いて入場して来る。


媒酌人がいるとか昭和だよね。


スポットライトをメインで当てるのはもちろん新郎新婦、特に新婦さんが美しく見える様細心の注意が必要だ。


今日は新郎は紋付袴、新婦は打掛で

純和式。


この後披露宴2時間の間に新郎新婦は特に新婦は2回ドレスを着替える方が多いので、会場にいる時間が少ない。


和服からドレス→カクテルドレス→ウエディングドレスと着替えるのが昭和の結婚式だったよね。


「新婦主賓挨拶終わりそうです」


「各自乾杯用のシャンパンを渡すから受け取って」


そう言うとリーダーが各自にシャンパンをとりに来る様促す。


私も、抜けやすく仕掛けのしてある

シャンパンをわざと受け取った。


『身体強化』


シャンパンの栓を力技で元に戻した。ふふふ、これでケーキ入刀までに栓が抜けて『ポーン!』は私には絶対に起こらない。


その後、私は葉山用のシャンパンにそっと一捻りの細工をし栓が抜けやすくして2〜3回シェイクしておいた。

後のお楽しみさ。


自分のシャンパンの栓が抜けやすくなっている事に気づいた奴の間抜けな顔が浮かんでくる。


あいつの間抜け顔で私は笑い出さないか本気で心配だった。


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