48話 おっさんとイタリア 3
昨夜以来、私は旅行中毎日綾子さんにオイルマッサージをして差し上げた。
綾子さんがぎこちない触り方で私にオイルマッサージをしてくれた時は、さすがに申し訳無いという思いと、こんな綺麗なお嬢様に隅々までマッサージしてもらえて少し優越感に浸る。
入れたくなるのをひたすら我慢する日々が続いている。若い体には毒だ。
マッサージ以外それ以上の関係には流石になるつもりは無いけどね。
私には2人の可愛い彼女がいるからね。
これは浮気じゃ無いのか!と問われると、イエローカードかなぁ…
まぁ、バレないようにしょう。
イタリア旅行は電車の遅れがしょっちゅうで、予定通りに進みません。
30分ほどなら早い遅れだ。
最悪、乗る予定の電車が来ない事もある。
時刻通りに来る日本は素晴らしい。
我々はベネチアとフィレンツェを観光して今日、ローマに到着した。
「さぁいよいよ本日、明日でイタリア旅行も終わります。思い残す事が無いよう楽しみましょう!」
アンジェラが元気に声をかける。
今日はどうしてもひとりで行きたいところがあるので、綾子さんにお願いして、お昼から2時間だけ自由時間を頂きました。
まさか、この時に事件が起こるとは思っていませんでした。
私はタクシーに乗って、バチカンの近くにあるオステリアに向かいました。
店の名前はオステリア・アントニオ
私が居酒屋経営をしていた時にイタリア料理を教えてくれたアンジェロのお父さんが経営している店で、アンジェロもここの厨房で見習い兼ホールで働いていたらしいから、若いアンジェロに会えるかもしれないと思い来店した。
『来日前の若いアンジェロに会えるの楽しみだなぁ』
店に入り、アンジェロお勧めの豆の煮物とサルティンボッカとお勧めのワインをボトルで注文した。
オーダーした料理が来るまで、取り放題のアンティパストを取りに行くと、そこに追加料理を持ってくるアンジェロが来た。
『お!アンジェロじゃね。若い20歳くらい?そう言えば年知らないや』
「なぁ君、ここの料理どれも美味しいけど、君が作ってるの?」
『何?この東洋人?スゲーイタリア語うまいんだけど』
「いや、俺は盛り付けだけさ!作ってるのは親父さ」
「そうなんだ。君私と同じ年くらいだけど、18歳くらいかなぁ?」
「そんな若くねえよ。22だ、料理褒めてくれてありがとよ。そこのズッキーニは俺が初めて焼いたやっだ、よかったら食ってけ」
そう言うとお父さんに呼ばれたアンジェロは、慌てて厨房の中に帰って行った。
『アンジェロは今年22歳か、私より4歳年上なんだ。年齢が知れてよかった。
早速ズッキーニいただきます』
私はオーダーした料理を全て食べ終え、会計に入る前に厨房を除き、アンジェロに向かって、
「ズッキーニ美味しかったです。ありがとうまた来ます」
そう言って会計して店を後にした。
いっぼう綾子さん達は、ローマの観光名所を6人で大型タクシーを一台1日貸し切りにしてまわっていた。
6人がスペイン広場の名所の階段でジェラートを食べている時に、イタリア人男性に声をかけられた。
その男はアレッサンドロと自分のことを名乗り、勅使河原さんに名前を聞いて来た。
イタリア語のわからない彼女の代わりに、伊藤さんのボディガードである、加藤さんが答える。
「私達は、観光でローマに来ています、案内は彼女がするので大丈夫、ありがとう」
そう答えて、勅使河原さんを反対側に向かわせる。
反対側には、野田さんとボディガードの安田さんがいる為だ。
さすがプロの連携、さきなくた勅使河原さんを移動させる。
「ほー!なんかあんたともうひとりは
プロの傭兵っぽいね」
周りから10人ほどの男達が現れいつの間にか周りを取り囲まれてしまった。
白昼堂々と私達を狙って来たと言う事はこの3人が特別である事を知っていると言う事と、我々が今日ローマにくる事を知っているのなら、内部に裏切り者がいる可能性が高い。
そう考えるボディガード2人だった。
「3人は大声でアユート!と叫んで助けを呼んで下さい、お願いします」
2人のボディガードは前戦するも、
一対四で傭兵崩れに囲まれて1分ほどで2人とも落とされた。
残りの女性に戦う術も無く、呆気なく日中堂々と6人の女性をワゴン車に詰めて、合計5台の車がその場から走り去った後、パトカーとカリビニエーレが現れが一歩遅かった。
車の中では6人全員着ている服を脱がされ下着姿にさせられた。
綾子は思った…
『直樹君助けて…あの時の様に』
綾子達4人は手を後ろに縛られて、
ボディガードの2人は手足とも縛られた。
「おい、全員いいからだしてるぜ」
「ボディガードの2人とイタリア人の女はやっていいんだよな」
「ああ、この3人には手を出すなよ。金ずるだからな」
「後でアジトでたっぷり可愛いがってやるぜ!お姉さん達3人はよ」
アレッサンドロ達は誘拐を依頼人のいる市街地にある家に向かって行った。
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