51話 おっさんと3人の彼女 1

「まもなくこの飛行機は名古屋空港に到着いたします…」

機内アナウンスが流れてくる。


「ああ、楽しかったイタリア旅行が終わっちゃったね、直樹君」

勅使河原さんが私に聞いてきた。


「そうですね、いろいろありましたが楽しい旅でした」


「これで、直樹君と会えなくなっちゃうんだけど、教えてもらった電話番号にたまに電話していい?」


「都合が合えばまた私の家にも遊びに来て欲しい…」


「電話なんていつでもかけてくださいね。都合が合えば遊びに行きますよ」


そんな会話をしていると飛行機は着陸体制に入り名古屋空港に到着した。


私達が到着ロビーに現れると、各家の迎えが待っていた。


勅使河原家の執事とメイドさんが、

「綾子様おかえりなさいませ」

と声を揃えて頭を下げる。


「それでは直樹君、ここまでが貴方の事件です。ありがとうございました。おかげで楽しい思い出がたくさんできました。また、何処かに旅行に行く時はボディガードの仕事を引き受けてくださいね」


「ええ、うちの社長の許可があればいいつでも行きますよ。ははは」


「「直樹君!おかえりなさーい!」」

到着ロビーの外から知恵ちゃんと薫が声をかけてきた。

それを見て綾子さんが私に聞いてきた、

「あちらの方々は直樹君の知り合い?」


「あの2人は私の彼女です。おかしいですよね、2人と同時に付き合ってるなんて」


「直樹君に彼女が2人ですか…知りませんでした。私もこの旅行でますます直樹君が好きになりました。お父様には直樹君のひととなりをもっと知ってから告白しなさいと言われましたが、旅行中何度も助けられて…、楽しい2人の時間もつくりました。

今、私もいいます!私とも付き合ってください!」

それを聞いていた伊藤さんと野田さんが「「キャー素敵!綾子ステキ!」」

と声を揃えて叫んで抱き合っている。


それを聞いていた知恵ちゃんと薫は、


「貴方誰?私達の直樹君に勝手に告白しないでくれる!直樹君の彼女になりたいのならまず私達の許可が必要よ」

と綾子さんを睨んでいい放った。


「知恵ちゃん薫、綾子さん…明日にでも時間を作って話し合おう。2人には私から綾子さんの事は説明しますので、ここで揉め事はやめよう」


「いえ、今から皆さんで私の家に行き話し合いましょう。それでいいわよね。岩田」

岩田とは勅使河原家の執事さんの名前のようだ。


岩田さんは最新のショルダーフォンを車に取りに行き、綾子さんから事情を本家に電話してもらい場所を準備してもらったみたいだ。


綾子さんは勅使河原家の車で、私と知恵ちゃんと薫の3人はランマル70に乗って後を着いて行くが、道中車の中で綾子さんのことを2人に聞かれたので、かいつまんで話した。


私が初日のレストランの仕事の時いろいろ教えてもらい、その後の私の歓迎会に来てもらい暴走族に綾子さんが襲て助けた事。


ドーダマドンナさんと勅使河原家で会食した事、今回のイタリア旅行で誘拐事件にあったこと、夜部屋で綾子さんをマッサージした事など話した。


「「勅使河原さん私達以上に直樹君と進んでるじゃん!」」


「ずるい2人っきりではだかでマッサージなんて、勅使河原さんのはだか毎日旅行中見てたんだ…最後まで行って無いんだよね本当に?」

と知恵ちゃんが言うと、


「あんな美人と2人きりで怪しいな…

でも隠さず話してくれてありがとう。

直樹君が私達2人だけで収まるとは思ってなかったけど…こんなに早くライバルが現れるとなんて…」

薫がそう言ってくれた。


「直樹君、今日の話し合いが終わったら、私達にもオイルマッサージをお願いね。今度は私の部屋で」

と薫がにやけて言ってきたので、


「疲れてるけど、2人に悪いとも思ってだから、分かりました後で2人にもマッサージするよ」


「「やった!嬉しい」」

2人が同時にそう言って私にキスをしできた。


そうこうしてしていると、車が勅使河原家に着いた。


「「うわ、でかい家…勅使河原さんてあの勅使河原財閥のお嬢様だったの…」」2人はびっくりした様だ。


車のキーを若い執事に渡して私達も綾子さんの後に着いて歩いて行くが、ホテルのロビーの様なエントランスに2人は呆気にとられ、空港ロビーの勢いがなくなっている。


この間ドーダマドンナさん達と会食した部屋に4人分の席が用意されていた。


綾子さんが先に下座に座り2人を上座にうながし座らせ、私はその間の席に座ってる。


席に座るとテーブルの上にフルーツカットの盛り合わせと、アフタヌーンティー用と思われる軽食セットが各自に配膳された。

あとはコーヒーと紅茶とオレンジジュースがテーブル中央に置かれた。


始めに綾子さんがティーカップに紅茶を入れ、次に私がコーヒーをいれ、2人に私が何を飲みたいか聞いて入れてあげた。


綾子さんが紅茶を一口飲んでから、

「私は勅使河原綾子と申します。

直樹君に私し彼女がいる事を知らず、今回イタリア旅行のボディガードを依頼して、直樹君の人となりを見極めてから告白するつもりでしたが…」


静かに話しを聞いている2人。


「先程空港で直樹君と別れる時、私は直樹君の重荷になるのではと思って、告白をためらいました。そこに貴方達お2人が恋人だと聞き、今告白しないと後悔すると思いましたので、告白しました」

ここまで一気に話しをした綾子さんは紅茶をまた一口飲んでから、


「お2人には申し訳ありませんが、私の直樹君に対する気持ちは変わりません!」2人を見ながらいい切った。


知恵ちゃんと薫は顔を見合わせて、無言で語りあっているようだった。

それからしばらくして2人がうなずきながら、

「直樹君これから女性3人で話し合うから、しばらく庭を散歩して来てくれる?話しがおわっあらメイドさんを呼びに行かせるから」


そう言うと私は部屋を追い出される。


私は仕方なく中庭のベンチに座り、アイテムボックスからスマホを取り出して、まだ前世で観ていなかったアニメを観ることにした。


数話見終わったころ、メイドさんが私を呼びに来たので、一緒に部屋までついて行った。


部屋の扉を開くて静かな部屋の雰囲気に少しだけビビりながら、自分の席に座った時すぐに、知恵ちゃんが、


「直樹君、結論から言うね。綾子さんも入れて3人と、これからお付き合いすることになったから、よろしくね。」


「あと、綾子さんとは濃密な時間を2人でたくさん過ごしたから、これから二週間は私と薫ちゃんと濃密な時間を過ごすこと!」


綾子さんを入れた3人は昔からの友達の様な気さくで飾らない話方をしていた。

「いつのまにか3人仲良くなってるし、綾子さんそれでいいの?」


「私は大丈夫よ。私と2人の時に私だけ愛してくれたら、知恵ちゃんや薫ちゃんとも知り合えて嬉しい」


「と言うことで、直樹君帰って私の家でマッサージお願いね」




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