第11話 水野真希 1

私の名前は水野真希、本名では無い。


家のメイドの子様と同じ歳なので名前をお借りしているんです。


名古屋では有名な勅使河財閥の三女、

勅使河原の名前でアルバイトなど出来るはずが無い。


大学はもちろん成金大学の純金育ち。


こんな私がなぜホテルのレストランで配膳のアルバイトをしているのか不思議でしょう。


単に庶民の生活を味わう社会見学がしたくて父の知り合いのこのホテルで安全に働けるところだからです。


自社ホテルでは私を知る人達が多すぎる為、私に気を使い社会勉強勉強にならないとお父様に言われたの。


このホテルで働き出して、今日私は初めて庶民の男性から喋りかけられたのです。


ここで働き出して約3ヶ月誰も私のオーラに気兼ねしてか男女問わず気安く話しかけて来なかったのです。

朝でも昼でも「おはようございます」がこの業界のあいさつらしいが今でも

「こんにたは」といいそうになる。

そんな挨拶だけの会話しかしてこなかった。


私は庶民の方々のお話をたくさん聞き勉強したかったのですが、もう後一月でこのアルバイト生活も卒業です。


父との話で社会見学は4か月だけの約束だからです。


今日初めて山田直樹君と言う、庶民のそれも男性から話しかけられました。


17時から22時まで、こんなに楽しく仕事のことや、音楽や映画や芸術について、庶民の男性と話すのは初めてでした。


『山田直樹君か面白い子だなあ。』


仕事の後初めて庶民の飲み会に誘われて嬉しかったので、すぐ家に職場の方と食事に行くと電話して了解を得たのでした。


初めての庶民の方々の飲み会楽しみ。


小型の車二台で焼肉屋さんと言う食事処に向かう事になったのでした。


焼肉屋さんは私の家のトイプードルの犬小屋みたいな小さなお店。


6人で入っていき狭くて小さなテーブルに6人で腰掛けたんだけど、肩があたりそうなくらい密着して少し緊張した。


『でもこれが庶民の食事会なのね!

何だか楽しみ。ワクワク』


私は初めてワイン以外のアルコールでよく庶民が嗜むビールを口にしわ。


『思ったより苦味が美味しいんだでも炭酸がいい飲み心地だわ』


その後セルフサービスで肉を焼く焼肉を嗜んだ。山田くんお勧めのホルモンを初めて食べだけど旨みのある脂が癖になりそう。


山田君と焼肉の部位や焼き方や、仕事場での話しやプライベートの話しは少しぼやかしましたが、会話も弾み楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいました。


私は勅使河原綾子これが本当の名前このホテルで私の本名を知っているのは社長だけ…。


時はさかのぼり『仕事中ではあったが、失礼だが私は水野さんを鑑定した、葉山とは違うが何か隠し事をしている様だ』


『鑑定』


本名 勅使河原綾子

学校 成金大学『純金』…


なるほど、これは訳ありだ。

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