33話 おっさんとドーダマドンナ 4
ドーダマドンナはダニエルからの話しを聞いて、明日の『ブランチ』をホテルのメインレストランに頼む事とした。それに配膳ががりも指名して。
今日も朝からたくさんのお客様が来店され、イレギュラーなオーダーにも対応し本日も無事朝食を終了した。
『忙しいのにも大分慣れてきたな、占いの方も順調だしね。小川刑事の動きだけが問題だが。キャサリンがどれくらいサービスで記憶操作してくれたかなぁ』
「お疲れ様でした!」
と挨拶してから、休憩室に向かって歩いると、後藤さんが慌てて後から声を掛けて来た。
「直樹!ちょっと待って、社長が今から社長室に来てほしって」
「はあ、何のようですかね?」
「理由は知らないがとりあえず、急いで行ってくれ」
「承知しました。すぐ伺います」
私はすぐに社長室の前に行き、ドアをノックした。
「山田直樹です入ります」
「やあ、直樹君いろいろやらかしてるらしいじゃ無いか、こちら勅使河原さんから話しはもう聞いたよ」
「ああ、暴走族の事ですね、あれは運が良かっただけですよ。無我夢中でしたから良く覚えてませんが…ははは」
「今回呼んだのはその話しでは無くお客様より、直樹君の指名があってね、客室にブランチを運んで欲しいんだ」
「私を指名ですか?昨日か今日レストランで接客したお客様でしょうか?」
「いや違う、まあ行けば分かるよ。
インペリアルスイートだから」
「あ…ドーダマドンナ様ですか…」
「勅使河原さんと2人で来る様にとドーダマドンナ様から連絡があってね、先程、勅使河原さんにある程度話しを聞いたんだ」
「何があったかは勅使河原さんも知らないみたいだけど、なんか指名手配みたいな感じで、外国人が君を探してたらしね」
「まぁ、ドーダマドンナ様のSPの方だったらしく、彼が君を探していて君がウェルカムホテルのレストランで働いている事を勅使河原さんが教えた事まで聞いたよ」
「と言う事で早速頼むよ。よろしく」
社長にあーだこーだと理由を聞かれたが「さあ、理由はワカリマセン」
と答えて社長室を勅使河原さんと出た。
そしてレストランの厨房より直接ワゴンでインペリアルスイートにブランチを運んで行った。
『なぜこうなった?』
私は今、インペリアルスイートの応接間に座っている。隣に勅使河原さん、
向かい側にドーダマドンナ様。
運んで来たブランチは部屋の入り口に他りっぱなしである。
「綾子久しぶりね。元気そうで何よりだわ、この間のチャリティの寄付ありがとうと、お父様に伝えておいてね」
そう勅使河原氏はドーダマドンナ様の『身寄りの無い子供達』
を救う活動に多額の寄付をしているのです。
「父に伝えておきますわ。ドーダマドンナ様」
と普通の会話を私抜きで話している。
『私は必要無いんじゃね、帰っていい』
そう思っていると。
「君がナオキヤマダだね」
そういいながら私を睨むドーダマドンナ様。
「とりあえず、助けてもらった礼を言おう、先日は助けてくれてありがとう。」
「いえ、私はたまたま通りかかっただけで…」
「うちのSPも動けなかった中で貴方は、ものの10秒程で9人の裏社会の人間を制圧したわ」
「貴方はCIAやM I 6の様な国の組織に所属しているエージェント?それとも本物のジャパニーズ忍者なの?」
『面倒だなぁ。記憶操作して立ち去るべきだったな』
「どちらでもありません。ただの見習いホテルマンです」
そうしっかり答える。
「そうよね。はいエージェントですって答えるバカはいないよね」
「いろいろ聞きたい事はあるけど、ナオキも訳ありそうだからその追求はやめておくわ」
「ところで直樹はニューヨーク育ちかしら、会話してるととても綺麗な英語だから」
「いえ、生まれも育ちも日本です。もちろん両親も日本人ですよ」
「何処でそんなビジネスマン英語を覚えたの?」
「小学校から高校まで友人にアメリカ人がいたもので、その友人の家族に習ナライマシタ」
「そうなのか…まぁ、そう言う事にしときましょう」
「そうそう、私は人に借りを作ることが嫌いなの知ってる?」
「それで、直樹に今回助けてもらったお礼をしたいのだけど、率直に聞くわ何がいい?」
「ずうずうしいお願いだとは思いますが、よろしければ、今回名古屋で行われる公演のチケットを5枚いただきたいです」
「私も大ファンですが、友人達も大ファンなので」
「わかったわ、じゃあ特別席を5人分初日で準備するわ。他は何かない?」
「チケットをいただけるだけで、十分です。ありがとうございます」
それでもドーダマドンナ様は食い下がり勅使河原家で食事会に参加する話しになりました。なんで?
その後、こちらのシェフが作ったブランチを3人で会話しながら会食した。
公演初日、楽屋に我々5人はサプライズで『もちろん私と四天王』
は招待され、ドーダマドンナ様を囲んで記念写真を撮らせて頂きました。
出来た写真を私に送ってくれと言われたので、
ドーダマドンナ様のマネジャーと連絡先を交換して我々は特別席で公演を楽しんだ。
最前列のど真ん中!最高のショーを堪能しました。
ありがとうドーダマドンナ様。
公演の後、四天王と私はいつもの焼肉屋で焼肉を食べながら今日の話しを楽しんだ。また、朝までかよー
ドーダマドンナ様は、ホテルにお泊まりの間、毎日私の出勤日は部屋までブランチを運び、『ヒール』と言うマッサージを毎回して差し上げました。
もちろんブランチもご一緒させていただきました。
毎日私の専属スタッフになれって言い寄られたが丁重にお断りしました。
私のマッサージのおかげで名古屋公演は毎日全力で出来たと喜んでらっしゃいました。
私は何故か自分に『ヒール』を掛けても疲れの取れない日々でしたが…
こころの疲れはヒールじゃ取れないのかね。
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