40話 おっさんと119 係 6

あれから何度か3人で、飲みに行ったり遊びに行ったが、どちらか1人とはまだ遊んでいない。

へなちょこなおっさんです。


東京ではここ2ヶ月119係の小川刑事と、警察庁の賀茂さんが私のことをいろいろ調べ、また、毎日尾行も行われていた。


2人に話しかけられた内容などは、ダミーから全て送られてくる為、私が2人にあっても違和感無く対応出来る。


俺はここ2ヶ月非番の日を中心にアタルの事を調べあげたが、これと言った特別なことは何ひとつ出て来なかった。


小学校から友達はおらず、小学校、中学校の同級生に話しを聞いても誰も記憶に無いと言う。


みんなの卒業写真なども確認したが、1人丸く写っている。存在はしたらしい事が分かった。


中学から家に引きこもり気味で実家から出る事がなかったらしい事を実家近所で聞き込んだ結果だ。


なんとも、今の占い師アタルとは印象が違うところがおおい。


まあ、大人になって弾ける奴もいるが、アタルはそんな雰囲気では無い。


昔からあんな感じだった雰囲気を持っている不思議な奴だ。


『私の思うアタルの人物像と過去があまりにも違いすぎる。違和感ありありだなぁ』


そう感じる小川刑事であった。


一方賀茂警視もまた、アタルの事を部下に任せて見張らせていた。


毎日上がってくる情報が変わりばえせず、何か企んでいるかも知れないと、明日占いの館に自分が出向く事を部下に伝えた。


家の部屋で久しぶりにゆっくりくつろいでいると、


『直樹君、女の子と遊ぶのは楽しいと思うけど、たまには私も呼び出してくれてもいいんじゃない』


と金髪美女でナイスバディのキャサリンが現れた。


『やあキャサリンひ、久しぶりだね…なんかあった?』


『私は用事が無いと出て来ちゃいけませんか!』


『いや〜そろそろキャサリンに会いたいって思ってだんだ』


『ちょうしいいんだからもう。直樹君も分かってると思うけど、東京が慌ただしくなって来てるわよ』


『明日、賀茂警視があなたの店に行くっ言ってるわ、さすがにダミーでは鑑定などできないから、あなたが相手すべきね』


『明日はあの2人や四天王から誘いがあっても断って東京に行きなさい。分かった』


『分かったよ。とうとう賀茂さん本人が占いに来られるのか』


『あの人、得体が知れないから何するか分かん無いんだよね』


『何をしても貴方の情報は出ないわ。それ以上彼女に分かるわけないわ大丈夫』


『後、小川刑事も貴方の実家まで行って、いろいろ調べているけどこちらも情報が集まらず焦っているわ』


『2人とも私にこだわりすぎだよね、本当困るわ』


『それだけ貴方に魅力を感じているのね、あの2人も』


『とにかく明日は必ず貴方が占いの館に行くのよ、絶対だからね』


キャサリンに念押しされてしまった。


『そう言えば、久しぶりの東京だなぁ少し早く行って店開きするか…』


今日は仕事のシフトが16時上がりなので、2人と30分位話しをして今日は家庭で用事があるから早く帰ると伝えて、私服に着替えてランマル70でひと気の無いいつもの場所に行き、東京のアパートに転移した。


「いつもわたしの代理ありがとう」


とダミーに言って、これまでの全ての行動記録を私の中にコピーして、ダミーをアイテムボックスの中にしまった。


それから、いつもの様に占いの館の自分のブースに行く前に、腹ごしらえする為、当時六本木にあった有名なイタリアンの店に入り、ディナーを1人で食べた。


周りはカップルばかりだから悪目立ちしたので、当時流行っていたデザートのティラミスは食べずに食後酒のレモンチェッロを一口に飲み干して店を出た。


『こんな味が流行ってだんだな』


今日もバブル真っ盛りの六本木は人で溢れかえっている。


『さあて、今日はどんなお客様が来るか楽しみだ』


サーチには相変わらず5人の刑事がマークされている。


『もっと凶悪犯とか、犯罪者に張り付いて欲しい物だ』


と考えながら人混みの中を少し肌寒くなった夜の六本木を占いの館に向かい歩いて行った。

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