38話 おっさんと2人の彼女 3
ナビゲートを起動しているので、正確な住所は分かるのだが、覚王山の交差点手前でランマル70を止めてから、知恵ちゃんを起こした。
『この寝顔いつまでも見ていたい気もする…』『いかんいかん』
「山本さん…覚王山の交差点手前まで来たけど、後道案内してもらえるかな?」
「あ!私寝ちゃった。直樹君私の寝顔見たでしょ!」
「ああ、ターンと可愛い寝顔拝ませていただきました。よだれでてるよ、ははは」
知恵ちゃんは慌てて口をハンカチで拭いた。
「ウソだよ。スヤスヤ気持ち良さそうに可愛い寝顔拝ませいただきました」
「もう直樹君のいじわる!てか私の寝顔可愛いかったんだ…うふふ」
「直樹君は薫ちゃんに告白されたんだよね」
「ああ、ついさっきだけどね。私も好きって言ったよ」
「そうなんだ…直樹君。私も直樹君が大好き、いつも3人で遊んでいてもずーっと直樹君だけをみてた」
そう言うと、知恵ちゃんは私のくちびるに柔らかいくちびるを重ねてきた。
「私と薫ちゃんと3人で一度この話しをしたいの、それから誰と付き合うか直樹君が決めてくれたらいいよ」
「薫ちゃんフライングしたから、多分私が先に告白したら私のことを好きって言ってたと思うけど」
『おっしゃる通りだ、知恵ちゃんが先に告白されたら好きって言ってたね』
「薫ちゃんとは恋人繋ぎで手を家まで繋いで帰ったんだよね、更に別れのキス」
「はい、そうです…」
「バツとして、私をギュッと抱きしめてそれから直樹君から私にキスをしてね、はい、お・ね・が・い」
私は柔らかい知恵ちゃんの体を久しぶりに抱きしめた。甘く大人の知恵ちゃんのどくとくの香りが私を包み込んだ。
『この感触、香り覚えてる』懐かしい。
私の目から涙が少し溢れ落ちた。
それを見た知恵ちゃんは黙ってハンカチで私の涙を拭いてくれた。
「べ、別に直樹君を責めてるわけじゃ無いからね。泣かないで」
知恵ちゃんは私を更にギュッと抱きしめてくれた。
それからいろいろ話しをして、なんで私の家を知ってたのか聞いて見た。
知恵ちゃん曰く、毎回遊びに行くときに違う角度から家を限定できる質問をしてたらしい。
決めては家の斜め前にある喫茶店の名前だったそうだ。
そうこうしていると車がマンションの前に着いた。
「私も別れのキスもらっていい?」
私は知恵ちゃんのあごを引き、くちびるを重ねた。
『知恵ちゃんってキスする時いつもこの顔してたなぁ…若くてもこの仕草は変わらないんだ』
「じゃまた明日、薫ちゃんと3人で話しましょうね、今日はありがとう」
そう言うとスタスタとマンションの中に入って行った。
さてと、今度こそ家に帰って寝ますか。
ランマル70を我が家にナビゲートして帰った。帰り道2人とのキスや触れ合いのこと考えると、息子がぱんぱんになり痛い思いをしながら帰った。
次の日いつもの様に朝食から勤務して難しいオーダーも難なくこなして終了。
ランチタイムに同僚のオーダーミスをフォローしながらこちらも難なく終了。
今日は私は朝食ランチでお仕事終了。
知恵ちゃんと薫は今日は休みなので、18時半に栄にある手羽先で有名なお店風来〇待ち合わせをした。
どうやら2人は17時オープンから来て飲みながら話しを進めたらしく、私が到着した時にはもう出来上がっていた。
酔っ払っている2人の話しを要約すると、とりあえずこうやって3人で飲んだり遊んだりもして、交互に2人で遊びに行く事が決まったらしい。私の意見は一切ありません。
一時間ほどで全てを私は承諾させられて、場所を知恵ちゃん家に変えて飲み直しとなった。
ランマル70をマンションの近くに止めて、初めて入る知恵ちゃんの部屋へと向かった。
知恵ちゃんの部屋は私の知っている知恵ちゃんの部屋に何処似ていてホットした。
テレビの前にあるローテーブルを3人で囲み、途中で買い出ししたビールやおつまみを並べて乾杯した。
部屋を見回すと、2LDKの間取りでシンクの横にワインの空いたボトルがあった。その銘柄が問題だった。
前世で結婚したワイナリーの銘柄だ。
『この頃からもうワインが好きだたんだ…ここの銘柄か』
「直樹君知恵ちゃんのベッドルームが何処か気になるの?さっきからキョロキョロして」薫にチャカされる。
「いや、女性の部屋に初めて入ったから緊張するよ。山本さんってワインが好きなんだね」
「ああ、シンクにあるボトル?あれ先日宿泊したフランス人のワイナリーの方が日本にワインを売り込みに来たあまりを一本いただいたの」
「初めて飲んだんだけど、酸味と渋みのバランスがいい美味しいワインだったわ。普段はビールだけよ、ほら」と言って冷蔵庫を開ける。
『ああ、今回はここのワイナリーの人がホテルの常連になり知恵ちゃんと親しくなったのか』ここで前世と繋がった。
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