第4話 おっさんと初仕事 2

ガチーン!と音が響く。


振り下ろされたサバイバルナイフをさらに強化した両手でしつかり受け止めると火花が飛び散った。


ナイフを奪いとりその後、彼のみぞおちに素早く一発パンチをぶち込んで吹き飛ばした。


軽くあてたつもりだったのに凄い勢いで飛んで行くっちゃいました。


『あちゃまずい!やりすぎた』


すぐに『転移』で彼を後ろから抱きしめて着地した。


『鑑定』で素早く体を観ると、肋骨が数本折れて内蔵にもダメージがあるので『ヒール』を密かにかけて治しておいた。汚れた服は浄化で綺麗に直して完璧だね。


「ふぅ、あやうく加害者になるところだった」


危ない危ない危ない、力の制御を早く覚え無いとな。


「川口さん!川口さん大丈夫ですか?」


「何で俺の名前を…君が知ってるの」


素早く私は彼のカバンから社員証を出して彼の首にかけて社員証を指差す。


「こんな時まで社員証をつけたままなんてバカですね。」


「川口さん貴方はさっきまで心身喪失状態だたようです」


「自分がここまでどう来たか、何したか覚えてますか?」


「ええ、ここへ来るまで会社で上司に怒なられてるとこまでは、はっきり覚えているのですが」


「その後の記憶が曖昧で、ただ…ダークマターの力を授けると変な老婆に頭に手をかざされました」


「それから記憶が曖昧になって怒り狂ったと思います」


『ダークマター20%って鑑定で出てたな、なんだろう…その老婆気になる』


考えながら3本のサバイバルナイフを私のアイテムボックスに収納した。


『困ったな、サバイバルナイフが消えたら変だよなこの状態で』


『関係者の記憶を貴方の望む様に改変しますか?』


『キャサリン!そんな事出来るの?』


『はい、私はこの世界の神を創造した宇宙人ですから』


『ただ通常は1人に付き「善行ポイント10」頂きます。今回初めてなのでサービスしときますね』


『ありがとう!じゃあ私望む通りに記憶改変早くお願いするよ』


『ああそれからキャサリン!ダークマターって何?』


『ダークマターの事はまだ気にしないで下さい。時がくればお話し致します』


『分かったよ。とりあえず記憶改変お先に願いするよ』


川口さんと彼女や周りの人達の記憶からサバイバルナイフを消し拳で襲ってきた事に記憶を改変してもらった。


私は川口さんに

「怒りで普通は通行人にあの勢いで殴りかかりませんよ!」


「その老婆に催眠術でも掛けられたんじゃないですか?とりあえず、あそこの震えている彼女に誤り許して貰ってください。」


「彼女が許したら今回私に殴りかかった事は無しにしましょう」


「ありがとうございます!分かりました。すぐ謝罪して来ます」


それから我に返った川口さんは被害女性に土下座で平謝りし、彼女は私が許すならと示談金50万円を受け取り書類にサインしてその場を去っていった。


その時ひとりの老婆から鋭い視線を感じたので見返したが、雑踏の中に紛れて消えて行った。



『あれが、彼をダークマターに変えた老婆だろう』


老婆の消え方向をしばらく睨んだ。


ちなみに示談を進め示談金も私が第一K銀行アプリからそっと出しておいた。


何故か封筒に入って出て来たし、示談書まで用意されているとはすごいね。


この辺はおっさん力が物を言うね。


「お兄ちゃん大丈夫!」

警備員を連れて帰って来た妹だ。


「すいませんか大丈夫もう片付きました。話し合いで解決しましたので」

警備員達はそれを聞いて何事もなかった様に帰って行った。


「お前もお父さん達と先に家に帰ってくれよ。私はこの人と少し話してから帰るよ」


家族には先に家に帰ってもらい私は川口さんと少し喫茶店で話しをすることにした。


近くの喫茶店に2人で入って席に着くと、川口さんはプライベートで彼女に振られ、仕事では毎日上司からのパワハラで精神が病んで行った事など堰を切ったように話し始める。


喚く様に泣く川口さんが落ち着くまで側で見守った。


落ち着きを取り戻した川口さんは私にお礼を言って示談金を分割払いで毎月5万円ずつ支払うと連絡先を交換し感謝して帰って行った。


川口さんの連絡先が本当かって?鑑定で確認済みだから大丈夫。


「初ミッションクリア!」


『おめでとう!直樹。祝福です』

キャサリンのささきが聞こえ、少し頬に唇が当たった気がした。


何で示談金まで払い川口さんを助けたかと言うと、善行ポイントはもちろん

人物鑑定の時、その人の年表の様な物も一緒に見えるみたいで、彼は35歳の時ネット通販サイトの運営会社の営業マンとなり頭角を表して58歳で社長になる人だったんだ。


今世での人脈作り大事な仕事だね。


後、この示談した彼女が後に川口さんの奥さんになるって年表に書いてある。

あんな綺麗な女性だから川口さんが一目惚れしたかなぁ。


これから川口さんとも示談金を受けとるたびに飲食を共にして仲良くなろうそう考える私だった。


出会いっていろいろあるんだね。


今回の善行ポイント 100ポイント


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