第3話 おっさんと初仕事 1
我々の乗るYS11が無事に着陸した時に前の座席に座る女性が「キャー」と小さな声をあげたので、思わずその横顔をみてしまった。
『整った顔立ちの女優さんみたいな綺麗人だなぁ』と思っていると、
つられて妹も「キャー」と少し大きな声をあげ顔を赤らげた?まだ可愛げがあるね。
この前の席に座る女性が後から事件に巻き込まれる事は私もまだ知らない。
名古屋空港のロビーにはまだ若い兄さんが車で迎えに来てくれていた。
「九州からはるばる名古屋までお疲れ様みんなYS揺れて怖かったでしょ」
「大兄ちゃんお迎えありがとう、全然大丈夫だったよ。着陸する時怖かったくらいかなぁ。父さん母さんも疲れてるから早く車に乗って家帰ってゆっくりしょう」
確かに早く家に帰ってもよかったが、せっかくなので皆んなで懐かしい名古屋飯を堪能したいと私は思った。
「そうだなとりあえず腹減ってないか?空港のレストランで食事してから帰ろうか、お父さん達もそれでいい」
「私もお腹空いてる、大兄ちゃん何か食堂で食べて帰ろ」
「わしらも名古屋に着いて安心したのか腹へったわ」両親も同意した。
私はアイテムボックスにしまってある、ギャノンの一眼レフデジタルカメラを鞄から出して名古屋に着いた記念写真を撮ろうと思い、みんなを名古屋城のポスターの前に立たせてセルフモードで記念写真をはい!チーズ…パシャッと音がして写真が撮れた。
綺麗に撮れたか画像確認をしてと、
おー!昭和のフイルムの時代にデジタルカメラいいね。
みんな疲れた顔だが綺麗に撮れたよ。
その後、私も妹も両親も腹が空いていたので、空港のレストランで名古屋飯を食べに早速向かった。
私は慣れ親しんだ味噌カツ定食を何の躊躇もなくオーダーしたが、妹や両親は無難な刺身定食や唐揚げ定食をオーダーして食べていた。
「お兄ちゃんそをな黒いの食べて大丈夫?体に悪く無いっ!味噌汁も黒いし」
そのうちこの名古屋飯のトリコにみんななるのだがら、まあ今は知らなくていいか。
「いやあ、以外にとんかつと味噌合うよ!美味しい」
「この味噌煮込みうどんもいけるよ」
妹に変な顔をされたが気にしない。家族で初めて名古屋で食事を楽しんだ。
「味噌カツ以外と美味かっただろ」
一切れ妹にあげた味噌カツの感想聞いた。
「思ったより美味しいけどやっぱりカツはソースかな」
父や母にも一切れずつあげたが、やはり似た様な意見だった。
両親は地元から味噌や醤油を送ってもらって食べていた記憶を思い出して、特に父は名古屋飯になじもなかった様な記憶がある。
まあ、三重県の鳥羽とか行けば美味しい刺身も食べれるし、京都や大阪も近いからいろいろ食べ歩きに連れて行こう。
高山の温泉とかもいいね。
と話しながらレストランを出て空港の出口に歩いていると
『緊急!』『緊急!』
とキャサリンの声が頭に鳴り響き目の前に現れたタブレットのサーチに赤い人物が表示された。
「きゃー怖いだれか助けて!」
と女性の声が聞こえ、私は何が起こったか分からず身動き出来ずにいた。
再びキャサリンの声で
『しっかりしなさい、与えたチカラを使いあそこの2人をすぐに助けてあげて、1人はダークマターに操られているわ気をつけ』
我に帰った私は表示された赤い人物を鑑定した。
『鑑定!』
川口康隆
称号 無差別殺人前
年齢 28歳
性別 男性
住所 名古屋市港区〇〇〇〇
連絡先 052-000-0000
職業 会社員
勤務先 丸山建設 第一営業課
所持品 サバイバルナイフ3本
備考 職場の上司からのパワハラで自我崩壊『心身喪失』ダークマター20%
まさに無差別殺人を犯す寸前の犯人だった。
『心身喪失か…ダークマターってなに?』
妹に「沙織!急いで警備員を呼んできてくれるか」と頼んだ。
「お父さんとお母さんは兄さんと一緒に車に乗っててこっちは大丈夫だから」と車に急がせた。
それから私はまわわりの人たちに
「近くにいる方はすぐ避難してくだい!早くして!」
そう大声で叫んで、女性の側にすばやく『転移』し無差別殺人鬼との間に入った。
「もう大丈夫です。心配しないでくださいね」
と私は女性に確認した。
『飛行機の前の席にいた女性じゃ無いか』
女性は腰を抜かし震えて声が出無い。
「すぐ助けます。俺の後ろに下がってください」
と言って私の後ろに力ずくで下がらせた。
「えっととりあえず…」
『身体強化と後ろの女性にバリアーをかけなさい』
キャサリンが支持してくれたおかげで動く事が出来た。
『身体強化!』
後ろの女性に『輝のバリアー』
淡い光が私の体を包みこんだ。
『なんだか体の中からすごい力がみなぎってくる!うおおお』
後ろの女性も淡い光で輝いている。
薄い光のベールに体が全て包まれたその時、無差別殺人鬼がそこまで迫っていた。
「俺は誰でも殺せればいいんだ!みんな俺をゴミあっかいしゃがって!」
血走った目の殺人鬼は私目掛けてサバイバルナイフをすごい勢いで振り下ろしてきたので、周りの観衆から悲鳴や怒号がロビーに響き渡っり人々は逃げ回った。
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