21話 おっさんと披露宴 1
今日は土曜日です。
何が言いたいか?
私が初めてレストラン朝食サービス終了後、宴会場にて披露宴での接客サービスをするんです。
土日祝日、特に大安の日は披露宴が多い、一会場で3組とかやってましたね、懐かしいなぁ。
披露宴終盤になると空いた器やグラスをどんどん下げて行き、次の会場設営がいかに早く出来るかを競い合ってたなぁ。
私が、初めて披露宴のサービスをした時、緊張で乾杯用のシャンパンを音を立ててケーキ入刀に合わせて抜栓するところを…
フライングで「ボーン!!」と静かな会場に鳴り響きましたよ!
「ポーン!」
咄嗟にプロの司会者の方がその場を取り繕って頂いき、大事にはいたらなかったが冷や汗が止まりませんでした。
マジで、今思い出しても笑え無い。
だいぶ後から、田中さんから聞いたんだけど、私のシャンパンの栓をわざと抜けやすくしておけと、葉山悟と言う宴会課の若い社員がバイトリーダーに言ってやらせたらしい。
その後飲み会でこのリーダーからも裏取りましたよ。なんて奴だ葉山悟なんの恨みがあるんだよ。
また、最後の新婦さんの両親へのお手紙を読むシーンで、私はピンスポットを新郎新婦のご両親に当てる担当を任せてもらいました。
その時のスポットライトの中の新婦のお父さんよりもしっかり涙した事、を今でも鮮明に覚えています。
泣きじゃくりましたよ。周りのスタッフにドン引きされるほどに。
今度は年頃の娘を持つ父親の気持ちを味わえるだろうか…見た目は18歳中身は55歳のおっさん!
ウェルカムホテル最大の宴会場である鳳凰の間が本日の私の仕事場とでございます。
鳳凰の間は立食パーティーで1,000人程入る大きさで、初めて見た時は広間の広さにびっくりしたけど、
上には上があり、名古屋では中堅の格式のホテル。
今日は、大安では無いので鳳凰の間でひと組の予定みたいです。
従業員用エレベーターで地下更衣室から5階まで上がり、パントリーを目指す。そこには見慣れた顔が沢山…みんな若い。
「おはようございます!今日初めて披露宴の接客を担当します山田です。よろしくお願いします」
そこにいる全スタッフに聞こえ様に大きな声で明るく笑顔で挨拶をした。
何事も挨拶が大事だからね。
「おはよう!直樹君今日はよろしくお願いね」
と田中さんから返答を頂いた。
「私がサブキャプテンの葉山だ!
社長の親戚だろうが容赦しないからな。しっかり先輩の言う事を聞いて、お客様に失礼の無い様にいいな」
でだ!葉山悟だ。
何かに付けて私にいちゃもんを付けて来てた。
痩せて筋肉も無く標準語も話せない田舎者だった前世の私は、このホテルで一番嫌いで、奴の餌食だったよな。
このホテルを辞めて自営業を始めるキッカケになった奴。
なんか元ヤンキーだった?事が自慢で、ケンカしてた頃の自慢話し良くしてたっけ。
男女問わず上から目線でものをいい、口癖が「使えねえ奴」
裏表の激しいやつで、気に入らない男子はすぐ睨むし激怒するが、気に入った女の子には、いやらしい位優しいえこ贔屓ヤロー。今回は私の中身はおっさん、適当にあしらいましう。
「おはようございます!葉山さん。
今日はご指導よろしくお願いします」
睨みかえさしてやった!
今日は前世のお返しやらせて頂きますか!
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