20話 おっさんと119係 3

俺は警視庁捜査一課119係の本部に戻り、係長に今日まで非番の日に調べた『鈴木アタル』

の資料を渡して眼を通してもらった。


「ううん…これだけではただの引きこもりが、仕事として占い師をやってたまたま言う事が上手く行っただけにも見えるが?何が事件性を感じるのか?」


「いえ、ただこの資料にあります通り私の心筋梗塞が完治致しました」


「彼の放った不思議な光に包み込まれたのが原因かと思われます」


「事故か事件あるいは詐欺なら動くが…どちらでもあるまい」


「持病が完治したなら良かったじゃ無いか」


「そうなんですが…分かりました、

自分が非番の日にもう少し調べます。ありがとうございました」


そう言って資料を下げた。


最近、私の後を非番の日には必ずつけ回す様になったあの刑事。


あの日助けた後に、こうなる事も予測してサーチ出来る様にマーキングしておいて正解だった。


私の半径500m以内に彼が入るとサーチが反応して地図アプリ上に彼の場所を教えてくれる。


お陰で彼の非番の日には占い師の仕事をした後、電車で自宅近くのスーパーまで移動し、買い物をしてアパートまで帰りわざわざ食事をしてから、部屋の電気を消し『転移』で名古屋の自宅の部屋まで帰ると言う日々が2か月近く続いている。


『いつまで俺をつけ回すんだ!

本当疲れる』


『やっぱり鑑定の指示通り救急車に乗るくらいまでの回復にとどめるべきだったな…』


やっと占い師の仕事が起動に乗り始めたところだと思っていたのに厄介だなぁ。


占いでの人助けも善行ポイントが貯まる事が分かり、せっせとポイントを稼いでる最中であるおっさん。


『キャサリンに頼んで記憶操作してもらおっかな』


『OKキャサリン』


目の前のタブレットから、今日は寝巻き姿のキャサリンが現れ少しドキドキした。


『久しぶりに呼んでくれたね。

最近占い上手く行ってるじゃ無い。

善行ポイントたくさん貯まってるわよ』


『キャサリン例の警察官、非番の日に俺の後をつけ回すんだよね』


『鬱陶しいから彼の記憶操作してあの日の出来事が私のやった事じゃ無い様に改変できる』


『出来ない事も無いけど時間が経つと記憶操作する人に相当負担が掛かるのよ』


『記憶操作によって彼の心筋梗塞が再発し最悪死ぬかも知れないけどいい?』


『それは流石にやりすぎです…』


『私も宇宙船から監視してるけど、貴方に悪意があって監視してる訳じゃ無いと思うわ』


『どちらかと言うと興味本意だね』


『本部にまで貴方のことは上げた見たいだけど、事故や事件また詐欺でも無いからと捜査までには至って無いから安心しなさい』


『分かったよ。ありがとうキャサリン』


私はどの程度彼の追求が続くかわからないが、当分非番の日だけなので今まで通りの生活をする事にした。


どうせ付け回されるなら綺麗なお姉さんがいいからそんな夢でも観ながら寝るか。


寝顔がいつもよりにゃついていたのはご愛嬌だね。


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