5.あとがきと付録

あとがき

 みなさんは、「ディスレクシア」をご存知ですか?

 読み書きに困難がある障害のことです。

 だいぶ世の中に知れ渡ってきたと思っていますが、正直、日本では理解も支援もまだまだだと思っています。


 わたしの息子は、診断はされていませんが、書くことが非常に苦手でした。

 このお話の和樹のように、漢字一字を書くのにすごく時間がかかったのです。「一行書く」「ノート全部に漢字を書く」などという宿題は地獄のようでした。なぞって書くことも難しかったです。

 書くことが苦手な子は一定数いて、「ディスレクシア」でなくとも、いわゆる発達障害の子は漢字でつまずくとよく言われています。

 そう言った子たちは、書くことでは漢字は覚えられません。まったく。


 そこで、わたしはこのお話に出てくるやり方で漢字を教えました。

 すると、漢字は覚えられるのです。

 書くことが苦手な子にたくさん書かせても、苦痛なだけで漢字は少しも覚えられません。多くは間違えた漢字を書いているだけです。苦手意識や劣等感が増すだけです。


 目が悪かったら眼鏡をかけるように、字を書くことが極端に苦手であれば、その補助となるような支援があるといいのに、とこころの底から思います。例えば、筆記具の工夫だけでもかなり違います。わたしは、学校で、0.9のシャープペンシルを使わせてもらうために、かなり努力しました。学校では鉛筆しか使えなかったのです。本当はフリクションがよかったけれど、そこは断念しました。何しろ、ペンを学校へ持って行くこと自体が禁止されていたので、ハードルが高かったのです。

 自宅ではフリクションを使っていました。とてもよかったです。もっと簡単に使わせてくれたら、もっとずっと楽なのに、と思います。


 文字がうまく書けないことと、頭が悪いことはほんとうに別物です。

 どうか、そんなことで傷つく子が少しでも減りますように。


 学校の先生がきちんと、こういうことを理解して勉強を教えていってくることを祈っています。一人でも、工夫して教えてくれる先生が増えたらいいという願いでもあります。

 漢字で困っている子はけっこう多いです。


 最後に、付録として本文中に出て来た「漢字の覚え方」をまとめておきます。

 小学生のお子さんがいる方、これから小学校に入るお子さんがいる方、よかったら参考にしてください。

 漢字が苦手な子にも、そして得意な子にもたいへん有効です。

 文字数と文章の構成の都合上、五年生の漢字の間違えやすいものだけになりますが、これだけでもぜったいに便利です!

(五年生から漢字が一段難しくなると思ったので、五年生を主人公にしました。)



 読み書きが苦手な子たちの「できなくて苦しい」という思いが、少しでも減りますように。こころからの祈りを込めて。

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