4.漢字を成り立ちで攻略せよ‼

(1)運動会、おつかれさま!

第36話

 今日はレイアちゃんちで、運動会おつかれさま会をしている。

 大夫たいふも、もちろんいっしょだよ。


 大夫は、レイアちゃんちに入ると、レイアちゃんとユウコちゃんに「大夫ちゃん!」と言われ、ふたりの頭や肩や手のひらの中で、楽しそうにしていた。



 みんなでお菓子や飲み物を持ち寄って、「おつかれさまー!」。

 何しろ、おれたち、すっごくがんばったから!

 うれしい気持ちでいっぱいだった。

「ねえねえ、DVD観ようよ。運動会の!」とレイアちゃんが言い、みんな、

「観よう観よう!」と言った。


 運動会のシーンが映る。

 開会式、他の学年の競技、徒競走。

 走るの遅かったけど、でもいっしょうけんめい走れたからよかったと思いながら見る。


「次だよ!」



 黒くてすその長いはっぴを着たおれたち五年生が、画面左端から、わーっと走って登場した。

 そして、隊列を組んで、曲の始まるのを待つ。


 すごい。

 びしっとそろっている!


 曲が始まり、一斉に踊り始める。


 ジュンがいた。レイアちゃんも、ユウコちゃんもいた。そして、おれもいた。

 みんな、じょうずに踊っている。

 おれも、自分で思っていたよりも、じょうずに踊っていた!

 うれしい。


 隊形を変えるために、走る。

 ちゃんと走れている。

 ちょっと間違えたって思っていたけど、ぜんぜん変じゃなかった。

 おれ、自分で思うより、自信をもって踊っていたんだ。


 そうだ。

 がんばったもんなあ。

 背中の漢字一文字が、踊ったり走ったりするときに、くっきりと見えて、胸が熱くなった。



 ジュンの「幹」、いいな。ジュンはおれたちをひっぱっていってくれる、中心的な「幹」みたいな存在だ。そして、何より、親友でほんとうにだいじな友だち。

 ユウコちゃんの「潔」も、すごくかっこいい。難しい字なのにじょうずに書けているし、元気でかっこよくて、さばさばしているユウコちゃんにぴったりだ。

 レイアちゃんの「夢」もいい。「未来へのあこがれ」を込めた、「夢」。レイアちゃんはどんな夢に向かっていっているんだろう? 今度聞いてみたい。「夢」、よく似合っている。


 そして、おれ。


「識」。今までで一番じょうずに書けている! こうして見ても、とってもいい感じだ。おれ、「識」、似合っているかな。



「ねえねえ、タチバナの『識』、かっこいいね! よく似合ってる!」

 すごくいいタイミングで、ジュンがそう言ってくれる。

「うん、『識』いいね!」「すごくいい、ぴったり!」

 レイアちゃんもユウコちゃんも言ってくれて、おれはすごくうれしかった。

「ありがとう! ジュンもレイアちゃんもユウコちゃんも、すごくかっこいいよ!」

 みんなで笑顔になって、口々にほめ合った。


「漢字、じょうずに書けたよね!」

「選んだ漢字もよかった!」

「ダンス、びしっとできたよ!」

「かっこよく踊れたよね!」

 大夫も「よいのう、よいのう」と言って、ほわほわ光った。

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